怪人として生まれ変わって…
疑問を持ちながらもふもふとして毛の生える顔を押さえている私に博士は話かける。
「全く、あんな吹雪く外道を防寒具もなく軽装で歩くなぞ自殺行為じゃ。儂が怪人化させねば、お主はそのままのたれ死んでいたのだぞ。」
「あの……そもそも怪人とは一体?」
「人を超えた異形の者。怪人という名前に相応しいじゃろ? 人と分けるために儂が命名した。」
自分の顔がライオンになったのは目の前のお爺さんの所為という事は理解できた。どうやら私は怪人というものになったらしい。
「お主は儂の作った怪人第一号じゃ。人体で初めて試したが――おっと、何はともあれ、成功して良かったわい。もうお主の怪我はないだろう。どれ動いてみるがいい。」
体を起き上がらせた。
凍傷による損傷もなく、あの死闘で受けた小さな裂傷の痛みもない。
それどころか力が体の奥から漲ってくる。生きる活力が、眠っていた怒りの感情が……
自分に望まぬ死闘をさせたあの白衣の集団。
「おい。随分と怖い顔をしておるぞ? 大丈夫か?」
「あっ、すみません。今までの事を思い出して……」
「ほぅ?」
――なぜだろう。自分の事を話す気になったのは。
目の前の人物は私を知る人ではない。自分の境遇に同情をしてほしかった訳ではない。
しかし、不思議と吐露していた。
「――という訳です。」
「そうか……」
私が話終えた時、お爺さんの顔は浮かない物だった。
当然と言えば当然だ。あまり楽しい話ではい。
「……」
博士は黙ってしまう。
「つまらない話でしたね。見ず知らずの人に申し訳ない。」
私は頭を下げた。ついつい身の上話をしてしまった。
他人の人生になんて興味はないだろう。
「お主の不幸。今まで舐めてきた辛酸。よーく分かった。」
お爺さんは大きく頷きながら、そう言った。
「……へっ?」
思いがけない返答に思わず聞き返してししまう。
「お主はライ雷オンだ。百獣怪人ライ雷オンと名乗るが良い。お主さえ良ければ、是非儂の右腕となってくれ。お主にはその力が素質がある。」
「ライ雷オン? 右腕? 何をなさるのですか?」
「そうじゃ。怪人なら当然怪人名が必要じゃろう。 ……儂はな、この世界を正したいのだ。」
「世界を正す? どういう事ですか?」
「この世界は今や侵略されておる。これは儂がどうにかせんといかん。そのための怪人だ。」
「世界が侵略されているですか? 私にはよくわかりませんが……」
何をとち狂ったことを言っているのだろうか。
「お前を地獄に突き落とし、強化兵士として改造をしたのは、侵略者の仕業なのじゃ。」




