極寒土地
私と博士の出会いは施設であった――
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「被検体100番。おめでとう。君が最後の生き残りだ。」
肉片が転がり赤く黒く染まった部屋で息を切らしてぽつり立ちつくす私に声がけられた。
突然映像が映り、白衣に身を包んだ数人の人影が見える。
私は他の被験者を殺し、生き残った。
「実験は成功だ。この強化兵士を使うことで、怪物どもへの対抗策にできる。」
「いやはや、人類にとっての救いになりますね。」
映像の向こうにいる白衣の男たちは談笑している。
なぜ自分がここ居るのか。なぜここで生きていくことになったのかわからない。
たった一つ言えることがあるとするならば、ここは弱肉強食の世界。
「被検体100番、君はここでお役目ご苦労。晴れて自由の身さ。」
一人の男の合図とともに扉が開くと、突然吹きすさぶ猛烈は寒さに身震いをしてしまう。
ちらりと見えるあたり一面が白銀の世界。ここは、極寒の地に建てられた世間から隔絶された建物。
「ではアディオス。」
映像は突然ぶつ切りに切れてしまい、白衣の男たちの姿すら見えなくなった。
私は死を覚悟した――
その状況に置かれて数時間もしないうちに体は自由を失っていく。
これが人生。碌でもないものだ。
事業の失敗で私は仕事と愛する者を失った。
残ったのは莫大な借金。それを返すべき自暴自棄になり飛び込んだのが強化兵士になるという怪しい仕事だった。
実験と称して行われて数々の非人道的な試験。
そして、最後の試験として行われた同期達との殺し合い。
その果てが極寒の地への遺棄だ。
「可哀そうに……」
寒さで動けなくなった私の耳にふと、枯れた声が聞こえた。
不幸にどん底にいる奴には迎えに来る天使すらも枯れているのだろうか。
そう思うと笑いがこみあげてくる。
「――ん? 笑った? お主、まだ息があるのか?」
どたどたと近づいてくる足音を振動を感じならが私の意識は黒く染まっていった。
―――
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気が付くと、私が居たのは小さな小屋の中だった。
目の前には一人の男がいる。
体中から痛む。
ひっきりなしに辺りを見渡しても見たこともない場所だ。
ただただ暖かい事だけはわかる。
そんな私に気が付いたのか男は声をかけてきた。
「起きたか?」
「ここは? 私は雪の上で倒れたような――」
「おう。酷い有様じゃったよ。体中の傷も凍傷も酷かった。よく生きていたものじゃ。」
「貴方は?」
「儂か? 儂は只野――。」
只野といった後に少しだけ逡巡する様子を見える。
「博士と気軽に呼んでくれ。お主は?」
「被検体100番。それが今の私の名前です。名前は捨てました……それよりも体中が痛いのです。」
「……お主を救うためとは言え申し訳ないことをした。」
博士は鏡を取り出して、私に見せる。
そこに映っていたのは、ライオンの顔を持つ化け物。
「これは?」




