気が付くとそこ……
GUYコツはアンザイに負けてしまった。
手も足も出なかった。悔しさで痛みすらも感じない。
(俺はまた負けたのか? ミュエや陽平はどうなった? 他の人質達は? なんか体が揺れている気がするな。)
GUYコツはそう思ったものの、直ぐにその思考を放棄した。今は何かを考えるのも億劫だった。
瞼が重く開かない。暗闇の中だ。
カズノコ学園での戦いが始まってから、GUYコツは負け続けている。
怪人としてのGUYコツは弱いという事実を改めて知ることになった。
(俺は一体何をしたんだろうか?)
守ると叫びながらも、何も守れない。
何もできない己の不甲斐なさに打ちひしがれていた。
(俺にもっと力があれば……思い通りにいったのだろうか?)
力への渇望がGUYコツの心を蝕んでいく。
GUYコツは気が付いていない。GUYコツの怪人が力が強くなればなるほどヒーローの力から遠ざかっている事に。
本人すらも知らずのうち無意識に口にしていた「人を守る」という言葉に感情をなくなっていたのだ。徐々に怪人の力に飲み込まれていた。
しかし、今は何もする気が起きない。活力が全く沸かず、今はただただ眠りについていたい。
ふとそこで思考が途切れた。
―――
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移り変わりに見えてきたのは自分が人だった時の姿。
GUYコツは小宮司を目の前から見ている。
しわの多いスーツを着ている自分はくたびれた顔をしながら満員電車に揺られていた。ただし小宮司だけじゃない。電車に乗る多くの乗客も同じような顔をしている。
その目はまるで死んだ魚のような目だ。
扉が開くたびに多くの人波に押されてしまい、もみくちゃにされてしまっている。
この時は司はまさか自分が骨の怪人になることなど知る由もない。
変わらない日常が続くものだと考えている。
正直に言うとこの時の司は人が好きだったわけではない。寧ろ人は嫌いだったことを思い出した。
どうして、人を守る必要がある?
司の死んだ魚の目でGUYコツを見ながら、そう訴えてくるようだ。
―――
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GUYコツはざわざわとした喧騒の音によって目が覚めた。
そこは知らない場所だった。
顔を起こして辺りをきょろきょろと見渡す。周囲には異形の怪人ばかりだ。見知った顔も見える。
GUYコツが起きたことで大きな野次を飛んでくる。
「俺はアンザイに負けて…… ここはどこだ?」
状況を理解しようと集中しようとしたとき恐ろしいほどの重圧を感じた。
寒気がGUYコツの体全体を襲う。
(なんだこれ? 体の震えが止まらねぇ……)
息ができなくなるほどの武者震い。
その正体は直ぐに分かった。自身に向けらた殺意だ。
殺気のする先を見ると、そこにはライ雷オンが怒りの形相を向けてGUYコツを睨んでいた。




