人質救出作戦
「GUYコツちゃん、戻っても声は出しちゃ駄目だよ。扉一枚隔てた先にアンザイちゃんがいるから。」
空間が切り替わる前に、凸de子からそう注意を受けた。
GUYコツが気が付くと元の世界に戻り目の前には豪華な扉が見える。
その扉の前には凹凹マンが立っており、GUYコツがやってきたことに気が付くと手を大きく上げた。
ゆっくりと辺りを見渡すとこの広い廊下にいるのGUXコツと凹凹マンと凸de子だけだった。
人はおろか怪人の気配もない。
GUYコツは言葉を発さず目線と表情で凹凹マンを問う。
凹凹マンは静かにこくりとうなづいた。
視線の意味が通じたのだろう。凹凹マンは親指で中を示すジェスチャーをする。
中に目的の人物がいるということなのだろう。
GUYコツは息を吐き出して、ゆっくりと扉に近づいていく。
一歩近づくたびに扉から漏れている負のオーラは禍々しい瘴気となっているようだ。この部屋の中で何が起きているのか。
GUYコツが扉に手をかざしたときに、凹凹マンはひそひそと耳打ちをしてきた。
「ここから先、自分達は助けることはできません。是非とも、負けないように頑張ってくださいね。」
「勿論。」
GUYコツは首を縦に振る。小さな声で答えた。
GUYコツが扉に力を込めると、ぎぎぎ、と音を立てながらゆっくりと開いていく。
目に入ったのは丸々と肥えた大きな怪人と、数人の人間。その中の数人には明らかに乱暴された痕跡も見える。
GUYコツにはその大きな怪人は見覚えがあった。いつかの会議で出会ったアンザイだ。面影がある。
握りしめた拳に力が自然とこもってしまう。
GUYコツは部屋の中を見渡してミュエや陽平の姿を探す。
部屋の隅で力なく横になっている陽平と、その近くで暗い表情をしながら項垂れているミュエがいた。
「あぁ? なんだな?」
しかし、二人に駆け寄る前に大きな怪人がGUYコツを睨む。
大きな怪人の目線が急に開いた扉に向けられていた。
そこから入ってきた新たな侵入者を見てぴくぴくと眉が動く。
「お前、俺が楽しみ中に入ってくるとはいい度胸なんだな。名前と所属を言うんだな。」
「お前がアンザイか? 前に見たときより大分肥えたな。」
「あぁん?」
GUYコツの挑発にアンザイは苛立ちを隠すつもりない様子だ。
今に殴りかかってきそうな形相でGUYコツを睨みつける。
「お前、俺の質問に答えるんだな!!」
アンザイは怒号にも近いがなり声で捲し立てくる。
「俺はGUYコツだ。」
「GUYコツ……あぁ、お前が。」
GUYコツの名前を聞いてもアンザイは興味がないかのような対応だ。
「で、何の用なんだな? ちょこまかちょこまかと逃げてここに辿りついたのか? ならさっさと出ていくんだな。」
「ここにいる人を解放しろ! 俺の要件はそれだけだ。」
「カカッ、そんなの許す訳が無いんだな。怪人達から逃げているお前に何ができると。」
GUYコツは拳を構えながら叫ぶ。
「俺は逃げてる訳じゃない。無意味な争いを避けているだけだ。もしも、人質を解放するなら、お前も見逃してやる。もしも解放しないなら力づくで言うことを聞かせるだけだ。」
「俺がお前の言うことを聞くメリットもない。まさか、威勢だけで俺に勝てると思っているのか?」
アンザイはGUYコツの正面にやってくる。
その巨体はGUYコツの二倍以上の身長がありそうだ。




