凸de子の世界 --ファンシー・ファンタジー-
GUYコツ達は教室を抜け出して、学校の中に移ろうとした。
廊下に出てGUYコツは感じ取る。
レットと戦った時には気配もないほど静寂な空間だった場所が嘘のようだ。
廊下の奥から聞こえてくる物音や呼吸音。そして、その先に感じる殺気は決して嘘ではないだろう。
静かに息を飲み込んだ。
横ではキャットシーが毛を逆立っていることがわかる。同じように警戒しているのだろう。
凹凹マンが来た時点で気が付くべきだった。
この学校内は既にGUYコツを探す怪人達によって支配されてしまっている。
「なぁ、凹凹マン、今ここにはどんだけの怪人がいるんだ?」
「それは残念ながら細かい数字はわかりませんね。少なくても100体は優に超えてるでしょう。」
「そっか……」
「全員の戦う必要はありません。と、言うよりも戦っているのは無駄です。ライ雷オンさんの所にたどり着く前にやられちゃいます。」
「どうするんだ?」
「えぇ、策はあります。凸、お願い。」
「分かった。でもリスクは凹ちゃんで対応してね。」
それに頷いて同意を示す。
それを見た後、凸de子は自身の胸の前で手組みんで祈りをささげるように瞑想をし始める。
「おい、何を?」
「しっ!」
人差し指を口の前で立てて凹凹マンはGUYコツを静止するように促す。
凸de子は皆に見られながら瞑想を続けている。
――ピチョンッ……
水面で水音が弾ける音がした。
一瞬の瞬きの間。目の前に広がる背景が変わった。
それまで、学校にいたはずだ。しかし、今、GUYコツ達の目の間に広がるのは可愛い空間だ。熊のぬいぐるみが踊り、花が歌を歌う。ハートマークの雲が花火のように弾けて消えていく。現実には考えられない物が辺りにゴロゴロとしている。
ここでは先ほどまで感じていた敵意も殺意も一切感じない。
何が起きたのか。理解ができない皆は顔を見合わせる。
そこに一つ違和感があった。凹凹マンの姿がないのだ。
「ここに入れてあげるのは凹ちゃんに頼まれたからだからね。」
凸de子は、気だるげにしながらGUYコツに話かける。
「ここは?」
「私だけの私の世界。それ以上でもそれ以下のでもないわ。」
強い怪人だけが作れる空間。
凸de子はそこにGUYコツを閉じ込めた訳だ。
「これから、私と凹ちゃんで、外の世界を回ってくるわ。GUYコツちゃんの目的地に着いたら呼び出す。それでいいわね。」
凸de子はそれだけGUYコツに伝えると、世界から姿が消えた。
不思議な世界だ。見た感じはファンシーな空間だが、完全に安全な場所とは思えない不思議な空間だ。
「にゃぁ、GUYコツ。ここは大丈夫にゃのかー? にゃんかピリピリしてくるにゃあ……」
キャットシーもぞわぞわしているのか顔をしきりに掻きいている。
「猫さんのピリピリしているってどういうこと? アタシは特に何も感じないよ。むしろ学校よりも可愛い物が多いから良いところって思う。司さんはどう思います?」
どうやら凪は特に何も感じていないようだ。
「そうだなぁ。確かになんか不安になってくる場所ではあると思うな。凸de子も凹凹マンも、どこまで協力してくるかはわからない。もしかしたら、このまま閉じ込められたままってこともありうる。
とは言え、今はあの二人を信頼しよう。沢山の怪人達がいる場所をつき進めるほど今の俺は強くもない。二人も今は休んでくれ。」
GUYコツはそう言ってその場に座りこんだ。




