☆幕間☆
怪人達が闊歩する体育館。その中で玉置梢は見ていることしかできなかった。
ゼクスの裏切りや陽平がライ雷オンにやられた時も、その光景を黙って見ていた。
まるで、違う世界の話を見学している観客のように……
今もそうだ。
ミュエと陽平が怪人達に運ばれてどこか遠くへ運ばれていくのを黙って見ている。
全く動けない。梢は今、恐怖のみが心を支配しているのだ。
同級生が怪人におびえてびくびくとしているときも、逃げた生徒が無残に心された時も、ゼクスが裏切ったと知った時も、陽平がやられた時も……
「……」
隣に立っていたキュエが梢の頭を優しく撫でた。
「梢ちゃん、貴女は何も悪くないわ。」
自分と同じように怪人の奴隷をやっているキュエは怪人に捕まっている時に梢の身の回りの世話をしてくれていたのだ。
梢はキュエも自身の故郷でも似たような怪人に襲われた話を思い出す。
その時のキュエと今の梢を重ねているのかもしれない。
梢はそんなことを思いながら、ぼんやりとした視線で空を見つめている。
ただ、キュエに対して何か言う気は起きなかった。
「……」
何も言葉を発さない梢の心中を察してかキュエは何も聞かず梢の頭を撫で続けていた。
***
現在、カズノコ学園に怪人が襲撃されている。
町に繰り出していたアレグラ、スルメン、テッペキンはそんなことも知らない。
今日もデパートに買い物に来ていた。
買い物を一通り終えた三人はフードコートに座り雑談をしている。
「……お嬢、買いすぎでは……?」
スルメンは、アレグラの買った大量の袋を見ながら苦言を言う。
「だって、欲しいものが沢山あるんだもの。仕方ないじゃない。それに、司も外に出れないんだから、いろいろお土産買ってあげないと。」
「外でれないのは、もしゃ。GUYコツの兄貴の、もしゃ、所為だから、お土産、もしゃ、とか気にしなくても、もぐ」
「……おいテッペキン、食うかしゃべるかどっちかにしてくれ。」
「そうよ。お行儀が悪いわ。」
胸を軽く叩き、口に入れていたものを飲み込みんだテッペキンは
「いやー、ここの飯旨くてつい。」
頭を掻きながら、言い訳じみた感想を言った。
「……はぁ……そろそろ戻るか。」
スルメンがそう言ったと同時に、辺りの声が騒がしくなってくる。
ただ事でない様子だった。
フードコートで話をしていた女性のグループの中に、別の一人が血相を変えて飛び込んできたのだ。
――ねぇ、学園の方が何か変なのよ! なんか雲で覆われているっていうの?
そんな会話が聞こえた。
「わたくし、ちょっと様子を見てきますわね。」
「……俺も行こう。テッペキンは飯を食い終えて荷物を見ててくれ。」
「へーい。」
テッペキンを残しアレグラとスルメンは外にでて学園の方を見る。
同じように遠目で学園の様子を伺っている人も多い。
どう見ても異常だったのだ。学園のある場所は陰気な空気を出しながら大きな雲に覆われていた。
「何が起きてますの?」
「……さぁ。でも、早めに戻った方が良さそうかもしれない。GUYコツもキャットシーも全然連絡が取れない。どうなってんだ?」
スルメンが携帯電話をいじりながら、アレグラに伝える。
「何か嫌な予感がしますわね。」
「……まぁ、GUYコツ達の事だから無事だろう。しぶといしな」
「これは、ヒーローズの出番かもしれませんわね!!」
ヒーローズ、それはアレグラが考えたスルメン達がヒーローのコスプレをしてヒーロー活動をすること。
つまり、怪人がヒーローを真似た活動をすることだ。
GUYコツに影響され過ぎではないかとスルメンは考えなくもない。
「……あれが怪人の所為ならば、な。早く戻った方が良さそうだな。」




