音響戦隊ビートレンジャー[ブルー] vs ライ雷オン
「ゼクス!!!」
ビートブルーは叫ぶ。
この最悪な事故を引き起こした男を前にして、感情が抑えることができなかったのだ。
背中に感じるクラスメイト達の視線が熱い。
何か策があった訳じゃない。
あるのは一発だけでもゼクスを殴りつけたい気持ちだけだ。
幸いなことに周囲で見張りをしていた怪人達は自分が出てきたことで怯んでいるようにも見える。
もしも、怪人達が一斉に襲ってきたらその場でやられてしまっていたかもしれない。
今は誰一人動かずに、こちらを見ているだけだ。
ならば、この好機を逃す必要はない。
ゼクスの方を見据えると、この場をずっと取り仕切っていたライオンの顔を持つ怪人が悠々とこちらに向かって近づいていた。
「やれやれ。情けない。たった一人のヒーローが出たところで何を驚いているんです。」
叱咤をされたことで怪人達は顔を見合わせている。
「いや……ヒーローがいるなんて聞いていなくて――」
言い訳のような言葉を投げた怪人の首が胴から離れ、地面に落ちる。
数秒の間をおいて胴から噴水のように緑色の血が飛び散りだした。
まるで、自分の状態がどうなったのか理解するのに数秒の間を置いたのかのようだ。
「!?」
絶句するしかない。
ビートブルーだけではない。人質になっていた学生も同様だ。
誰かが大きな悲鳴を上げる。
その悲鳴のおかげでビートブルーがその状況の理解が追いついた。
「お前!? 何しているだ?」
「何、とは?」
何を聞いているのかときょとんとした顔で返される。
「そいつは仲間なんじゃ?」
「仲間――」
ライ雷オンは一瞬だけ考え込んだ後に、
「あぁ。仲間ではない。部下ですよ。不測の事態に対応できない役立たずを置いておく余裕はありませんからね。」
と、冷たい言葉を言い放った。
「そんな……」
「良かったではないですか。君らとしてはこんな目に合わせている怪人が消えて嬉しいでしょう?」
「お前!!!」
握った拳から力がこもる。
「やる気になりましたか? 来なさい。GUYコツの前に少しだけお遊戯をするのも一興ですから。」
「お遊戯だと……! 舐めやがって!」
ビートブルーはギターを握りしめ攻撃をしようと構えた。
――刹那。
「【豪雷】!!!」
ライ雷オンの体から光が散乱し、雷が落ちた時の爆音が体育館の中に響いた。
一瞬だった。
ビートブルーは何をされたのかはわからない。
感じるのは体中から激しい痛み。
「あぅ……」
うめき声が口から自然にこぼれる。
霞む目の先から、さっきまで前にいたライ雷オンが消えて明るく照れされている電球が見える。
自分が天井を向いていることに気が付いたのにそう時間は必要なかった。
見ていた生徒達も
「おい……おい……陽平の奴……あんなに吹っ飛ばされて壁に叩きつけられているぞ……大丈夫かよ……」
「一瞬かよ。なんだよあれ。反則じゃん。」
現れたヒーローが成すすべなくやられる姿を見てより落胆の色が強くなっていく。
ビートブルーの体は重力に逆らうことなく、壁から地面にずり落ちていく。
ビートブルーは起き上がることなく、その場に崩れてしまった。




