喧騒の宴
ライ雷オンの視界の先にはヒーローが立っていた。
青いスーツを身に包んだそのヒーローは、監視をさせていた怪人を地に叩きつけてこちらに殺気を向けている。
「ほう……? ヒーローですか?」
そのヒーローを自分の記憶を辿るが、見覚えはなかった。
ライ雷オンは突然のヒーロー介入の事態を理解するために、誰かに説明を求めるように周囲を見渡す。
「なるほど。そういうことですか。」
捕らえた生徒の中に混じっていたのだろうと至ったのは、目の前にいるゼクスが明後日の方を見ていたからだ。
ライ雷オンはあきれるように、小さなため息を吐き出した。
「あはは、ワタシは何も知らないよ。」
ゼクスとしては、自分が来たタイミングで計ったかのようにヒーローが現れたのだ。
怪人達が疑惑の目を向けるのは当然だろうということはすぐに理解する。
そのぶつけられる痛い視線に答えるようにゼクスは呟いた。
無論、それで周りの目が消えるわけではない。
客人から敵に代わりそうになる中、
「ゼクス~、生徒の中にヒーローがいるなら言っといてよね。」
茶化すようにフェーンが言った。
「アハハ、そうですネ。でも、あの程度のヒーロー、怪人の王ならば何も問題ないかと。」
「ゼクスはこういう試したがりのところがあるよね。本当に悪い癖だよ。」
「で、他にもいるの?」
「あと一人、白いスーツの子もいるはずだヨ。でもどっちもタマキキャット程でもない。つまり」
「ふーん。だってさ。ライ雷オン。」
フェーンの様子を見るにゼクスはあのヒーローと内通している訳ではないことはすぐに分かった。
そう理解すると、ヒーローが怒りの矛先を向けるのは自分ではなくゼクスがいるようにも見える。
ヒーローとこの場数十体の怪人。
戦況は火を見るように明らかだった。
例え、名も知らぬヒーローが出たとしても大きな問題はない。
しかし、怪人は突然のヒーローの出現に少しだけ浮足だっているように見える。
人質達もクラスメイトが突然変身したヒーローに困惑を隠せないのか騒めている。
このまま放置していて騒ぎが大きくなって、GUYコツが来た時に奴を潰す準備ができていないという状況は避けたい。
「うん。そうですね。」
そう呟くとライ雷オンは立ち上がり、ヒーローに向かいゆっくりと歩きだした。




