客人
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ここは体育館。
既に怪人達の襲撃が起きてから数時間が経過していた。
普段ならどこかのクラスが体育の授業で開けた場所で元気よく動きまわっている時間だろう。
しかし、今日は違う。
生徒の代わり、不気味な見た目の化物たちがウロウロとさまよい続けていた。
生徒達は体育館の一画に設置された冷たい檻の中に詰め込まれていた。
最初は檻を揺さぶって抗議の声を上げる者もいたが、そういった者は容赦なく、外に連れ出されてしまった。
戻ってきた体に付いた傷と死んだ目は、何があったかを語るまでもなく想像することが容易だった。
それは反抗の気力を消すには十分だった。
檻の中では誰かの小さな嗚咽がやけに大きく聞こえてくる。
体育館の中では怪人達の拠点が完成を迎えていた。
部屋の中には禍々しい彩色が施され、異形の姿の化物が闊歩する様はまるで異界の土地に迷い込んでしまったようだ。
檻の中から反撃の機会を伺っていた陽平が落胆し肩を落とす。
既に怪人達の準備が整ってしまい反撃が出来る状況ではない。
「ははっ、薫の奴も来ないし、ここまで準備されっちまったらどうしようもないかもな。」
陽平は弱気な言葉をミュエに囁く。
「大丈夫だよ! きっと! 根拠はないけど、ミュエはそう思いたいよ。」
「そうだよな。ミュエっち、ありがとう。俺が気弱になってちゃ駄目だよな。」
陽平は自分の頬を小さく叩いて神経と研ぎ澄ます。
檻の中に居る人質の中に反撃の機会を知る由もなし怪人達は基地作りに一段落付いたところで、怪人達は一か所に集まり雑談に花を咲かせている。
「大分、完成したんだな。これならここを拠点に数か月程度なら立てこもることも余裕で出来るんだな。」
「ええ、助かりましたよ。アンザイ殿。この設備を用意してもらうのも大変だったでしょう?」
「カカカッ、ネオ怪人協会の幹部としてはこの程度の準備当然の仕事ですがな。」
丸々とした体を大きく揺らしながら、独特の笑い声をあげている。
「しっかし、レットの奴が出て行って数時間経ったけど、戻ってくる気配もないんだな。」
「ふむ。そうですね。我々の拠点も完成できたことです。ここらで、GUYコツの探索班を作っても良いかもしれませんね。」
ライ雷オンがぼそりとそのような言葉を呟いた時に、フェーンが声をかけてくる。
「ねぇ、ライ雷オンちょっといいかい。お客さんだよ。」
「客? こんな所に?」
細見のスーツ姿の男が怪人達の横を通り颯爽と歩いてくる。
檻の中に閉じ込められていた陽平とミュエは目を丸くしていた。
「陽平君! 見て!」
「あの人は!」
視界に入った人物を見て、チャンスを伺う陽平に手には力がこもる。
「あはぁ。学校をこんなに禍々しく改造しちゃって。全くやりすぎだよぅ。ここまでやるなんて許可してないんだけどねぇ。」




