新人怪人歓迎会での争い
俺たちの呼び声は虚しく、凹凹マンは血飛沫を飛ばしながらステージの上で倒れる。俺はその光景をただ眺めるだけであった。隣にいるキャットシーもステージを観ている多くの怪人達も呆然と立ち尽くしその場面を見つめている。
何が起こった?この状況は一体なんだ?
頭を振り、考えをまとめるために目の前のステージを見つめる。
刀を持った身長が5mをゆうに超える怪人がこちらに気がついたのか一瞥する。その時、その怪人と目が合うが狂気を宿したその目に気後れしてしまう。俺たちに興味が無いかの様に、すぐに、アレグラの方に視線を戻して、また一閃を振らんと刀を構える。
アレグラの後方に立っていたライ雷オンの怒り混じりの大きな声が響く。
「スラッシュ殿!話が違うではありませんか!?アレグラ様の御身を預かることで吸血鬼とは対立ではなく、協力関係を築く。そうする事で決議会での可決がされた筈では!?」
その言葉に応じるかのように怪人は構えを解く。そして、ライ雷オンへと返答をする。
「それは先ほど覆ったのだ。お前が抜けた間にな……」
「何っ!?」
「この吸血鬼の娘は、吸血鬼の王からそれはそれは大層大事にされていると聞く……その娘の首を吸血鬼どもに送りつけ戦争を始めるきっかけを作れるだろう。この戦争を起こせる事は紛れもなくお前の動きがあってこそ。感謝するぞ、ライ雷オン。」
「只野博士がこの事態を許すとでも!?」
「ライ雷オン、貴様、臆したな。我らが悲願、怪人による世界の為ならば我々はどれだけでも非情にならなければならない。人との調和を掲げる邪魔な吸血鬼どもは全てを殲滅し、吸血鬼の強大な力を我ら、怪人協会の手中に抑える必要がある事は以前より明白ではないか?」
「只野博士がこの事態を許すとでも!?」
「この件に関して、全権は我が握っておる。これは博士から与えられた任だ。貴様はそこで見ておれ……」
スラッシュと呼ばれた怪人はライ雷オンへそう告げると再度、アレグラに殺意をむき出して、巨大な刀を構える。
「にゃーっ!!!GUYコツ、これはどういうことにゃの!!?あたい達は歓迎されるんじゃにゃいのー???」
「俺に聞くなよ……でもアレグラの奴は助けないと!」
突然の事態にキャットシーも困惑しているようだ……
俺はキャットシーと共にステージの上に上ろうとしたが、ステージの周囲に透明な見えない壁があるのか阻まれる。俺とキャットシーで力一杯に透明な壁を叩くがビクともしない。
「アレグラ!!!」
アレグラに呼びかけるがその声に何ら反応を見せない。座り込むアレグラは涙目でうつむいたままだった。
俯いた状態でアレグラの口が小さく動いている様に見える。
「あのガキはにゃんで逃げにゃいのかにゃー???この透明にゃ壁のにゃんにゃの!??」
こちらに気がついたライ雷オンが俺たちに語りかけてくる。
「キャットシーさん、GUYコツ君、良いところに!!!突然の事態で混乱させてしまっているかもしれないが、どうかアレグラ様を守ってほしい!」
「そうしたいのはやまやまだが、ここに見えない壁があって近づけないぞ?」
その透明の壁は固く俺とキャットシーの二人で強く叩くが全くビクともしなかった。その壁は俺達とアレグラとの物理的な距離だけじゃなく、隔たりのような感じだ。




