vs 兄妹怪人 烈火のザ・レット Part4
(ここで、終わり?)
それはGUYコツが思った事だった。
先に起こされた地揺らしで倒れた体を起こす暇もなく、レットの振り上げた大きく太い腕がGUYコツの姿を完全に覆い隠す。
体を大きくすることで、攻撃の面積増やして、レットの放つ不可避の一撃。
先ほど単純な腕力のみで大地を割ったのだ。
その拳をまともに受けて無事で入れる保証はない。
「ふぅ……」
小さく息を吐き出して小さくつぶやく。
「……変身……」
―――しかし何も起こらない。
GUYコツはこの相手に自分がヒーローになれない事は薄々感ずいていた。
諦めのように、「やっぱり、駄目か……」と呟くとGUYコツの瞳から光が消える。
瞼を閉じたという行為が近いだろう。
(復讐……か……こいつらには俺を殺す理由があった……)
GUYコツが変身できるのは誰かを何かを守るためだけだ。
そういう時は自然と体に活力が漲ってくる。
今回のレットの戦いからずっと活力は湧いてこない。
自分を傷つけながらも襲いくるレットに虚勢を張るしかなかった。
(それも、これで終わりか……)
この戦いの原点は人を守るための戦い生まれた新たな争いが火種なのだ。
自分が原因で起きた争いでヒーローになれるのか?
否。
自らのために力を振るう事はヒーローに非ず、それが世の、GUYコツの信じるヒーローの道理なのだ。
GUYコツはこの時が来る事は薄々予感はしていた。
戦う意志を無くして者に戦う力が湧くはずもない。
空気の淀みも、レットの咆哮も、何もかもが遅くれてやってくる。
眼前の状況を前に体は動かずとも、思考のみが違う時間軸の中であふれ出す。
(これは……走馬灯って奴か?)
――レットと戦ってきた今。
――怪人達と戦ってきた歴史。
――骨の姿になった始まり。
(思い返せばGUYコツとして生きた第二の怪人人生は悪いものじゃなかったな……)
「悪かったな。お前らの大切な人を奪って……リンドウには伝えてやるよ。お前らは強かったってさ。」
心根からの言葉をレットに伝える。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!」
返事の咆哮は何を意味しているのかは分からない。
レットの力が込められた拳はGUYコツに向かい振り下ろされた。
空を切る音すらもGUYコツには遅れて聞こえてきた。
☆ ☆ ☆
何かの水しぶきが頬を伝う。
―――不思議と痛みはない。
耳には劈くほど大きいレットの咆哮が聞こえてきた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!」
GUYコツの瞳に光が宿る。
その目に入ってきたのは、腕が引きちぎれたレットが腕を押さえている。
「レット!? その腕? 一体何が?」
体の水を拭うと真っ赤な血がべっとりと付いている。
レットの腕から垂れる血液が飛び散ってきたのだと理解するのに時間は必要なかった。
攻撃を仕掛けていたはずのレットがダメージを受けている。
その原因も直ぐにわかった。
肩に乗せられたオレンシの小さな本体が二つに切り分けられている。
つまりオレンシの回復で無理やり押さえつけていた強化の反動がレットを襲っているのだ。
回復手段の失ったレットの崩壊は一瞬だった。
まるで膨らんだ風船が割られたかのように体の繊維ちぎれていく。
「ガイ゛コ゛ツ゛ゥ゛!!!!!! テ゛メ゛ェ゛は゛コ゛ロ゛ス゛!!! テ゛メ゛ェ゛だけ゛でも゛俺の゛手でえええええええええええええええええ!!!!」
何が起きたかはわからない。
しかし、目の前いるレットから視線は離すことなどできなかった。
そう怪人協会から出たあの時と同じ瞳。
レットの最後の咆哮はGUYコツの胸に刺さる。
「……すまない……俺は……」
何を言えるというのか。
完敗だった。
キャットシーが来なければ既にGUYコツは消されていただろう。
何も言えずにレットをじっと見ていると、レットの体が弾け飛び宙に霧散する。
「……」




