vs 兄妹怪人 烈火のザ・レット&凌治のジ・オレンシ
オレンシの登場で形成は完全に逆転してしまった。
向かい合う敵はやる気も十分。
レットとオレンシはGUYコツに向かい、瞳を燃やしている。
(二体一か……)
GUYコツの体中から冷や汗が垂れてくる。
(流石にこの状況はまずい……)
GUYコツは身を翻して、この場を離れようとした。
しかし、それが許されるはずもなく―――
レットの音速のタックルをその背に受けてしまう。
「がはぁっ!!」
そのまま吹き飛ばされて壁に激突する。
最初の時の再現だった。
「おいおい、待てよ。逃げるのか? 卑怯者。」
「逃げられると思わないで。ばぁか! レットぉ! やっちゃえ!! やっちゃえ!!」
背後からレットとオレンシの声が聞こえてくる。
これほどの危機は中々来ないだろう。せめて一対一の状況に持ち込まないと勝ち目は薄い。
「…っっっ……」
体をゆっくりと起こしながら、「二体一で襲ってrくるお前らに卑怯者とは言われたくないな……」とそんな負け惜しみを言った。
挑発する意図もある。
激昂してくれれば、チャンスも作れるかもしれない。
しかし、そんな淡い思惑は容易に砕かれることになる。
「はん。俺たちゃニコイチの怪人だ。卑怯もクソもねーよ。」
「そーよ。そーよ。」
苦虫をかみつぶしたような表情が自然と湧いてきてしまう。
「まぁ、そんな難しい顔するンじゃねーよ。ここからが本番だ。オレンシもきたしな。見せてやるぜ。俺の技を! 『オーバー♰ドライブ』!!!」
レットの姿が消える。
地面が揺れて、断続的に周囲からがらがらと崩れ始める。
高速で移動しているのだろうが、GUYコツは視界で追うこともできない。
次第に、右から、左から、正面から、天井から、物音が聞こえてくる。
音のする方に必死に首を動かす。
しかしレットの姿は既にそこにない、あるのは砕け散った破片だけだ。
(くそっ! やっぱり見えねぇ……)
瞬間、ガイコツの頬の何がかすめて頬を切る。
何かの破片が飛んできたわけでない。
見えない何か。それがGUYコツを襲ったのだ。
レットを追う事を辞めて正面を向き直す。
「!?」
目の前の空間が歪み始め球体を作っている。その光景にGUYコツは驚愕してしてしまう。
何か不味い事が起きているのはわかるが、何が起きているかはわからない。
「……なんだ。なにが起きている……」
その球体を避けるように、横からオレンシが顔をだす。
「ふふーん。レットの音速移動が生み出す衝撃波の爆弾! とくと味あうと良いよ!!」
(爆弾!?)
圧縮された空気の球体は、今にも破裂せんと限界がきている……
オレンシがドヤ顔をしながら、背中から伸びる触手で、歪んだ空間に触れた――
まるで薄膜が割れるように、空気圧の衝撃がGUYコツを襲う。
衝撃だけじゃない大きな爆発音が遅れてやってくる。
すべてが襲いくるのだ。
「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
脳天をかち割られるような揺さぶりを受けてGUYコツは大きな悲鳴を上げてしまう。
痛みでじたばたと地面をもがき苦しむGUYコツの頭が掴まれる。
「おい。寝てンじゃねーぞ。起きろよ。」
そう言ってGUYコツをつかむのは攻撃の反動の所為か体中が傷だらけとなったレットが視界にはいる。
「おらァ!!」
レットはそのまま、GUYコツを窓から外に投げ捨てる。
積もる雪がクッションになってくれたおかげで、地面に落ちるダメージはそこまででもない。
空を見上げると、窓からGUYコツを見下ろす緑色に光りながら傷が癒えていくレットとオレンシの姿が見える。
レットはそのままオレンシを担ぎ、GUYコツの傍に降りてきた。
「さっきは狭い場所だったからな。ここのなら思いっきりやれるってもんだぜ。」
再びレットの姿が消えた。
(まずはオレンシからどうにかしないとじり貧だ……レットの様子を見る限り、さっきの技は自傷ダメージが大きいはずだ。)
辺りから聞こえる音を無視して、オレンシに向かって走り出す。
「わたし狙いってわけ? 間抜けね。」
オレンシの背から生えた触手がGUYコツ目掛けて伸びてくる。
動きは遅い避けるのは容易だ。
GUYコツは避ける。すると、触手のから別の触手が枝のように生えてきた。
「なにっ!」
GUYコツはオレンシの触手に触れる。
ぬるぬるとした粘膜が触れた部分を溶かしていく。
「わたしの触手は触れた物を溶解させるのよ! ばぁか!」
身の危険を感じたGUYコツは距離を取るしかなかった。
(近寄れねぇ……)
そうこうしている家に空間の歪みが大きくなっていく。
(ピンチだな……)
「にゃはは。GUYコツ、随分と苦戦してるじゃにゃいか!」
その声のする方を振り向くと、そこには先ほどGUYコツが落とされた窓があり、そこから見下ろすキャットシーの姿があった。
「さぁ、助太刀と行きますか。」
そう言って窓から飛び降りたキャットシーは空中から長い爪を研ぎ澄ましながら飛び落りた。
そのまま、オレンシの触手を爪で叩ききったのだった。




