vs 兄妹怪人 烈火のザ・レット Part1
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【体育館】
狼顔の怪人が校舎に向かって走り去ってからというもの、怪人達は何かの準備をしているようで、人質となっている生徒や先生に直接手を出すこともなく、部屋の中をウロウロと動き回っていた。
体育館の中に大きな動きはないものの、怪人達が完全に支配する環境の空気は重たい。
反撃の機会を伺う陽平はじっと怪人達の様子を伺っていた。
ふと一人の少年――フェーンが、壇上に陣取るライ雷オンに近寄り軽口を告げる。
「ライ雷オン、よかったのかい? 彼らを行かせて。もしかしたら、GUYコツの事を倒しちゃうかもよ?」
「そうですね。本当なら私自身の手で抹殺したいところではありますが……
それは、仕方ありません。
怪人協会が組織として成り立つ為には部下の思いを尊重せねばなりませんからね。
レット君の方はレット君の自由にやらせるとしましょう。」
その返事を不服そうな顔で聴きているようだ。
「ふぅん……なんなら、ライ雷オンもGUYコツを探しに行けばいいよ。ここは僕に任せてさ。」
「ご提案ありがとう。ですが、奴は来ます。……きっとね。ならばこそ、私がやるのは奴が来た時に万全の体制で受け入れることのみです。」
そんな二人が会話している中に一人の怪人が緊張した面持ちで間に入ってくる。
「ライ雷オン様、準備が整いました!」
その報告を聞き、ライ雷オンが「そうですか。」と言いながら立ち上がった。
「それでは、この人質達はGUYコツの事も知らないようですし……ここの居る人には怪人のための礎になって貰うとしましょうか。」
その顔には邪悪な笑みが含まれていた。
その後、怪人達の不気味な歓声が、館内に響き渡ったのだった。
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さっきの咆哮。
あいつは起きたのだろうか?
GUYコツは警戒しながら廊下を駆けていく。
その途中、不意に強烈な殺意を感じた。
GUYコツは反射的にしゃがむ。
すると、頭の上を風を切った。
あのまま立っていたら頭と体が分かれていただろう。
冷や汗が頬を伝わってくる。
すると横っ腹に衝撃があった。
「ぐうっ!」
ガイコツは呻きながら、そのまま地面に倒れた。
よろめきながら上体を起こすと自分を見下ろす視線を感じる。
視線を感じる先をみると先程、凪を襲っていた怪人がニヤニヤとしながら見ていた。
顔は嗤っているものの、その瞳には怒りの感情がみてとれる。
「よぅ、GUYコツ。久しぶりだな。俺を覚えているか?」
そいつは襲い来るわけでもなく、話をかけてきた。
「俺が博士と共に怪人協会から出てきた時に会ったリンドウの部下だった子供だろう。覚えているさ。随分と印象的な目をしていたからな。」
「ふぅん。覚えてくれて嬉しいぜぃ? なら話は早ぇ。さっさと死んでリンドウの兄貴に土下座してこいや。」
怪人の脚が地面にめり込む。
GUYコツは構える。
そして姿が消えた。
正確には、GUYコツの目で見えたのはそこまでだった。
――次の瞬間、GUYコツの背中に衝撃が走る。
体が飛んで壁に激突していたようだ。
風を切る音や壁にぶつかった衝撃音が今になって聞こえてくる。
まるで時間が遅れてやってきているようだ。
そして、そのことを 知覚できた後に痛みがやってきた。
「がはあっ!!」
そのまま壁から滑り落ちるように、ずるずると地面に向かって堕ちていく。
それでも気を失う訳にはいかない。
顔を上げて直ぐに態勢を整え敵を見据える。
先までGUYコツが倒れていた場所には笑みを浮かべた敵が立って居た。
「やっぱり、テメェ、クソ雑魚じゃねーか。シラセのジジイをぶっ殺したのはまぐれだった訳か。」




