暴露
GUYコツから紹介された猫の化物。
凪は確かに敵意は感じないかったが、キャットシーの人ならざる外見をマジマジとみて、
「……本当ですかぁ?」
と凪は疑いの眼でGUYコツとキャットシーをチラチラと見ながら呟いた。
当然と言えば当然だ。
先ほどまで怪人に襲われていたのだ。
同じような化け物を見て、安全だと言われてもすんなり信じるほど頭がお花畑というわけでもない。
寧ろ凪の疑いは、そんな化け物と仲良さげに話しをしているGUYコツに向いていく。
「そもそも、小宮さんって一体何者なんですかー? 生徒でも先生でもないですよねー? アタシ学校で小宮さんの事を見たことないもん。」
「あー……(流石に、『怪人で学校に住んでる者だ。』とか言えないよなぁ……)」
自分の説明をGUYコツは言い淀む。
その態度は凪により猜疑心を与えるには十分なものだったのだ。
「うわっ、なんか凄っごくあやしいぃ……」
さっきほどまでの信頼から一転、疑いを念がこもったジト目で見つめられてしまう。
空気に負けてGUYコツの口から自然に乾いた笑いがでてしまう。
そんな空気に割り込むように、この空気を作った原因が、
「にゃはは。GUYコツって、ほんと、幼女に弱いのねー。お嬢とかヒーローのあの子らとか。やらしー。サイテー。」
っと、小馬鹿にするように言いながら、GUYコツをおちょくり始める。
GUYコツは「おいぃー!」っと言い、頬を膨らませながらキャットシーに近寄る。
「誤解が過ぎするだろ。俺は博愛主義者なの。別に子供だからとかじゃないっての。」
GUYコツはおちょくるキャットシーの頬っぺたを引っ張る。
「にゃ! いたっ! ちょ、痛っ! GUYコツ痛いってば!」
そんなじゃれ合う二人の後ろで凪は「がいこつ……? さっきの化物が言ってた?」っと小さくつぶやいていた。
凪の呟きが聞こえて振り向くと凪はなにやら難しい顔をしながら、何かを考えているようだ。
「えーっと、凪? どうした?」
GUYコツは心配そうに声をかける。
「ねぇ、……小宮さん、がいこつって何? なんでそのキャットシーは小宮さんをがいこつって呼ぶの? 小宮さんのニックネームなの? それにさっきの化物も、がいこつって奴を探していたの。もしかして、小宮さんを探していたの? それは、今の学校に起きてる異常事態に関係あるの?」
凪は色々な事情が起きて混乱しているのか、疑問に思った事が口から次々に出てきてしまい、真剣な表情で、GUYコツに質問を浴びせかけてくる。
「……あいつが俺を探してた?」
その言葉に出てきたリンドウの部下だった怪人が自分を探しているという事に引っかかった。
理由が全くわからなかったのだ。
(つまり怪人の襲撃が地震の正体? いや、そもそもネオ怪人協会は俺がここに居ることを知らないはずだよな。なんでこんなピンポイントで攻撃をしてきた?)
凪の質問に答えずにGUYコツは頭を悩ませてしまう。
「あのっ! 小宮さん!」
「あぁ……すまない。で、大丈夫か?」
「先にアタシの質問に答えてよ!」
質問をはぐらかされたと思った凪は顔を膨らませている。
「あぁ……そうだよな。」
歯切れの悪いGUYコツに呆れながら、凪の質問には、横からキャットシーが口をだす、
「GUYコツはコイツの名前にゃ。正体はあたいと同じ怪人よー。そして、この異常事態はあたい達は全く知らにゃわ。にゃぜにゃら、あたい達はずっと学校に住んでいたんだもの。今回は異常事態があったから、その原因の調査しに来てるだけにゃのよ。」
「おい、キャットシー。話過ぎだって。そんなに言われたら凪も困るだろう。
凪、色んな情報が入ってきて混乱するのはわかるけど、俺らは本当にお前らに危害を加える気はないってのは間違いない。」
GUYコツは慌てながら、体裁を整えようとしてキャットシーを静止しつつ凪に呼びかけた。
しかし、むなしくも凪は通じなかった。
「つまり小宮さんもそいつと同じ化物って事? そんな人の言い分なんて信じられる訳ないでしょ!!」
「いや、俺は、怖がらせないためにだな……」
「はぁ……GUYコツ、この子はどうするの? あたいが始末つけてもいいけど?」
キャットシーはするどい爪を凪に見せつけながら言い放つ。
凪はひっと小さく竦みあがってしまった。
「キャットシー、やめろって。揶揄うのは俺だけにしとけよ。初めての奴に冗談なんて通じないんだから。」
GUYコツ目頭を押さえながら強く注意をした。
「凪からは今の学校の状況を聞きたかったんだよ。でも、今の様子じゃ無理だな。」
震えあがっている凪を見て、
「怖がらせて悪かったな。」
とだけ言って、GUYコツは大きく肩を落とすと、トボトボと教室の出口に向かっていく。
「ど、どこに行くの?」
凪はGUYコツを引き留める。
「さっきの凪を襲っていた怪人は明確な敵だ。多分、直ぐにここに戻ってくるだろう。ならば、こちらから会いに行ってやるさ。」
『ウォオオオオオオオオオオオオォォォォォォオォオォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
廊下の先からは、恐ろしい獣雄たけびが轟いている。
「キャットシー、凪を少しの間頼んだ。変な冗談いうんじゃないからな。」
キャットシーにそれだけ告げると、GUYコツは雄たけびするの方向に向かい走り出した。




