回顧
少女を襲っていた怪人は、GUYコツの声に反応し、勢いよく飛びかかった。
怪人は攻撃中の刹那、その現れた人物が自分の探し人と気が付くやいなや、口からは粗暴な言葉を繰り返して、腕に一層の要らぬ力が込められる。
しかし、その力を込めたことで攻撃が雑になり大振りな攻撃となってしまった。
結果として、その攻撃はGUYコツに当たる事なく、容易に回避されてしまったのだった。
大ぶりの攻撃をすかして、体勢を崩している怪人も宙では身動きが取れず、横っ腹に蹴りを喰らい、教室の外に吹き飛ばれしまった。
GUYコツは怪人が襲いにかかってくるときに、投げとばされ、壁に崩れるように背もたれている少女の元に駆け寄る。
「おい、君、大丈夫か?」
「うぅ……」
GUYはうめき声をあげる少女の手を取り脈拍を確認する。
脈は動いており、まだ生きている事を確認して胸を撫でおろした。
(どうやら無事なようだ。)
命に別状はなさそうだが、頬と目元は痛々しく赤く腫れている。
(可哀想に……たった一人であの怪人から立ち向かってたのか……)
GUYコツが少女の手をそっと床に置いて、先の怪人と戦いに行こうとした。
(あの怪人……俺が怪人協会から抜けていくときにであったリンドウの部下だった子供の怪人か。あの一瞬とはいえ物凄い殺意だった。放置はできない。)
ゆっくりと少女の瞼が開いていく。
「あのっ、貴方は? 助けにきてくれたんですか?」
警戒しているのか少女の表情は暗い。
「俺は小宮っていうものだ。君が無事でよかったよ。」
GUYコツの言葉を聞いて、少女ほっと安心した表情に変わる。
「ありがとうございます。私は草薙凪って言います。あのっ、小宮さんは何でここに?」
「あぁ、悲鳴を聞いて駆けつけたら、こんな場面に出くわしてな。間に合って良かった。それじゃ――」
(この子から話を聞きたいところだが……まずは蹴り飛ばした怪人をどうにかする方が先だ。)
GUYコツは立ち上がる。すると服を小さく掴まれてしまう。
「アタシ、本当に怖かったんだよー。小宮さん行かないでよ……」
「さっきの怪人が戻ってくると思うから様子を見てくるだけだよ。直ぐ戻ってくるって。」
そう説明するGUYコツを潤んだ瞳で凪はじっと見つめる。
襲われた恐怖からか人が恋しいのだろう。
傍に居てほしいという無言の圧力がGUYコツを襲う。
先に折れたのはGUYコツだった。
「そんなにマジマジ見られると困る。」
GUYコツは見つめられるのは慣れないな。と思いながら、照れ隠しのように凪から視線を外して頬を掻く。
「あはは。小宮さん、照れ屋なのー。」
「ははっ。まぁ見られる事に慣れてはないな。」
少しだけ空気が和んだところで、凪は顔を青くしながら、ガイコツの背後を見てそんな事をつぶやいた。
「ひっ、化け物……」
GUYコツは勢いよく、後ろを振り向いた。
「糞ッ! もう、戻ってきやがったの――」
GUYコツが見ると、そこにはキャットシーが居たたまれない様子で立って居てパリパリと頬を掻いていた。
「化け物とかにゃんとも失礼しちゃうわ。」
確かにキャットシーは猫の怪人だ。人から見れば化け物に分類できるだろう。
GUYコツは大きなため息を吐き出した。
「だから、人皮を着て行こうと言ったんだよ。」
「だって。めんどいじゃん。」
GUYコツとキャットシーのやり取りを見ていた凪は混乱した様子だ。
「えっ? えっ? 小宮さん、この化物と知り合いなの? 一体何者?」
「にゃー! 誰が化け物だって!!」
「ひぃっ!」
GUYコツは化け物と言われて凪を威嚇するキャットシーの頭を軽く叩いて、「こら。悪ふざけが過ぎるぞ。」っと注意をつつ、目の前で起きている事が理解できない様子で、首を傾げている凪に対して、「こいつは君に危害を加える悪い奴じゃないよ。見た目は怪人だけど、安心してくれ。」と説明するのだった。




