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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
カズノコ学園の死闘!!
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全校集会

「という事で、全校生徒集会をやることになったから適当に体育館に行ってくれな。それじゃよろしくな。」


 陽平のいるクラスでは担任の先生が朝礼でぶっきらぼうにそれだけ伝えて職員室に戻っていってしまう。

 このクラスは放任主義なところがある。

 そのため、規則正しく並んでいこうという事もないが、根は割と真面目な子が多い。

 皆文句を言いながらも友達同士でグループを作り、体育館にぽつぽつと移動を始めていく。


「陽平、体育館に行こうぜ。」

「おう。」


 友達に誘われ、席を立ちあがる。

 その時、ミュエの姿が目に入った。

 まだ転校してきたばかりで、このクラスの独特な移動も分かっていないのだろう。

 席に座ったまま、ぼぅっとしているようだ。


「わりぃ、先行っててくれ。」

「そっか。後でなー。」


 既にクラスの中の人は疎らになったタイミングで頬を掻きながら陽平がミュエを誘う。


「よう、ミュエっち! 体育館に行こうぜ。」

「おはよー。陽平くん! 全校集会だって。ミュエ初めてだからワクワクするよ!」

「えー。校長の話なげーし、難しいしーしで良いことないぜ。」

「初めてって事が大事なんだよ!」

「初めては大事か。そうだよな。分かるぜその気持ち。経験すりゃ嫌でもわかることってあるからな。でもきっと校長の話は一回聞けば満足するぜ。」

「あはは。そうかも。ミュエ難しい話はよく分からないもん。」


 陽平はミュエと一緒に体育館に向かう。

 ミュエを誘うのに時間がかかってしまったため、大分遅くなってしまった。

 既にほとんどのクラスから集まった生徒達が綺麗に整列しているようだ。


「わぁ、凄っ! 人が多いね!」


 ミュエはそう言うのだがその数はいつもより少ない。しかし、これはサボっているというわけではなく、単に学校に出席している人が少ないのだ。


「怪人の事件が頻発した所為もあってこれでも生徒が少ないんだぜ。本当はもっと人が埋もれて分からなくなるくらい多いんだ。ほら俺らのクラスはバラバラに並んでるし、薫のクラスはきっちり並んでるとか見えるだろ。」

「へー……薫ちゃんのクラスはどこなの?」

「右から二番目って……薫の奴いないな。」

「お休みなのかなぁ?」

「サボってるんじゃねーな? 菊水も居なくなって真面目ストッパーが壊れたんだろうなぁ。それより俺らも並ぼうぜ。」


 陽平とミュエは自分のクラスの列の後ろに並ぶ。


 それから、しばらく待っていると、マイクを持った司会者の先生が壇上に立ち、てきぱきとした様子で進行し始める。

 急に開催が決まった割にはしっかりとした進行がなされているようだった。

 司会の先生が簡単な式の開会の言葉を述べると、「それでは校長先生、挨拶をお願いします。」と、校長に促す。

 すると、校長が丸々とした体を揺らしながら非常にゆっくりとしたペースで檀上に上がりマイクの前に立った。


「えー。最近は、怪人が街を襲ったり―――

 ―――

 ―――

 そして、―――

 ―――

 であるから、―――

 ―――


 始まった。この要領の得ない話が長々と続くのだ。

 隣に座るミュエが頭をこくんっこくんっと揺らし始めている。

 寝そうなのだ。いや、ほとんど寝ていると言っても過言ではない。

 少し面倒な事が起きる前に、ミュエの身体を小さく小突く。

 陽平の出した肘が、ちょうどミュエの体に当たった時、「はわっ!」っとびくりと体を震わせてミュエが小さな声を上げてしまったのだ。

 しまった。陽平がそう思うのも束の間、校長の話が中断してしまっている。


「えー、私の話をしている時に声が聞こえました。大変、残念です。―――

 これは、―――

 君たちが、―――


 そうなのだ。いつもこれだ。

 自分が話をしている時に音が聞こえたり眠っている人がいるとそれまでの長い話を中断して説教を始める。

 多分、今皆心を無にしているだろう。

 しかし、陽平の横ではミュエが凄く申し訳なさそうな顔をしていた。そんなミュエに陽平は手を合わせて謝罪をする。


 一通り説教が終わったところで、校長は一息つき始めた。


「えーっと……どこまで話したかな? あっー―――」


 校長が再び口を開き話を再開した時に、それは突然起きた……

 眩い閃光が弾け、雷が落ちたような轟音が静寂した体育館の中を席捲した。

 突然のフラッシュによって壇上を向いていた全生徒、先生の目を押さえて蹲る。

 何人かの生徒から小さな呻き声が漏れ出していた。

 勿論、同じように檀上を見ていた陽平も例外に漏れず。


「あっぁ……くそっなんだ? 全く、何の悪ふざけだよ?」


 周りにつられるように陽平も光にやられた目を押さえて愚痴を零す。

 悪戯と呼ぶには何とも手の込んだことだ。

 ちかちかとする目尻に力を入れていると、突然呻き声から大きな悲鳴が聞こえてくる。


「きゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


 女の甲高い悲鳴だった。

 目を見開き、壇上を見やる。

 陽平はその悲鳴の原因を一瞬で理解した。


 スピーチをしようとした体勢を前のめりになった姿のまま、衣類は消し飛び真っ黒になった校長だったものが見えたのだ。


 光から目が慣れた生徒たちもどんどん目を開き、壇上を見て、悲鳴の原因を理解すると騒ぎはだんだんと大きくなっていく。


「なっ、なんだ! あれ!?」

「やべーぞ! てかあれ校長、死んでねーか?」


 陽平の周りの友達もそんな会話を続けていて、その輪がどんどんと広がっていってしまう。

 ガヤガヤとする生徒達を見かねて一人の男の先生が壇上に上がりマイクを取った。


「落ち着きなさい!!! 皆、落ち着いて!!!」

 

 だが、そんな静止する声に耳を貸すものは少ない。

 状況が一切読めずに混乱する場では騒ぎは収まるどころか、更に激しくなっていく。


 陽平はゆっくりと辺りを見渡す。

 混乱している場所では、まずは何が起こったのかを理解するのが先だ。

 ヒーローとしていくつかの戦場を駆け抜けてきたこともあり、目の前で起きた怪死事件を見ても他の皆よりも幾ばくかは冷静な思考をすることが出来た。

 天井にぽっかりと大きな穴が開いていることに気が付く。


(あれはなんだ?)


 その穴から黒い影が飛び込んできたのだ。

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