☆幕間☆
世界最大の都市マテンロウ。ここは世界の中心で、世の全てが手に入る場所とも言われている。
カズノコシティより引っ越しをしてきた榊勇二はこの新しい場所に住むことになった。
20階を超えるような大きなビルが並び立ち、カズノコシティとは別の世界のようだ。
空を見上げると狭く暗い。
「勇二! ほら、引っ越しの準備手伝いなさい!!」
大きな荷車に運ばれてきた家具や箱が業者の手により留めなく家の運ばれてくる。
既に部屋の一角が未開封の箱の山で埋まると、大きなため息が出てきてしまう。
母親の怒号に呆れながら勇二はやる気のなく「うん。分かってるよ……」と返事を返した。
実際、勇二はこの引っ越しに乗り気ではなかった。
母親の提案で急に決まったのだ。
理由は、梢――タマキキャットが怪人シラセにやられている映像を見て、勇二を危険な目に合わせられないという物だ。
一緒に避難をしていた歴にだけは伝えられたが、薫や陽平、そして梢とは話す機会すらなかった。
最近、皆とは少し気まずくなっていたとは言え、引っ越しするという事を伝えられなかったのは心残りではあった。
書きかけのメールが今も編集中のまま残っている。
「はぁ……お母さんは心配し過ぎなんだよなぁ。今の僕なら、怪人ごとき絶対に負けないのに……」
一人で戦い怪人を何体も消し去ってきたのだ。
少年の目には憎悪の炎が静かに燃えていた。
☆☆☆
「フォーフォッフォッフォ!!! やっと直ったぞい!」
ずっと何かの機械を弄っていた博士の大きな笑い声がアジトの中に響く。
「うっさいにゃー!」
「おい! 博士、真昼間だぞ! 学生が居るのに大声出すなよ!!!」
その声に驚いたGUYコツとキャットシーが隣の部屋から顔をだす。
「おおっ! いいタイミングに来たの! GUYコツよ。ついに直ったぞ!」
「何がだ?」
GUYコツを満面の笑みを浮かべる博士にドン引きしながら、GUYコツは聞く。
この機械が何なのか。全く知らないのだから当然だ。
「これじゃこれ。次元の歪みを捕らえる装置、ディメンション・オブザーバーじゃよ。」
「ディメ? にゃんだって?」
「前に言うたろう? これは次元統合獣|≪カオス・ビースト≫の出現位置が予測できる装置じゃ。やっと反応が出おったぞ。フォッフォッフォ。」
「つまり? どういう事だ?」
「奴の出現先に移動をするって事じゃな。」
「そのカオスにゃんちゃらってのは、どこに出るにゃ?」
「世界の中心。マテンロウ。次の出現は一月先じゃな。準備は十分にできそうじゃな。」
「マテンロウ!!! 手に入らないものはにゃいって場所じゃにゃいか!!! 旨い酒も手に入るにゃ。」
どうやら、キャットシーは酒をイメージしてか顔を綻ばせている。
「ちょいちょい。いつ移動すんだ?」
「今直ぐじゃ! 奴を待ち受ける準備もしなきゃいかんしのぅ。」
「「あー……」」
GUYコツとキャットシーが空を見ながら、言い淀む。
「ん? どうしたのじゃ?」
「今すぐはちょっと無理だな。」
「何故じゃ!!! 貴様は自分の役割を分かっておるか? GUYコツよ。貴様の役割は次元統合獣|≪カオス・ビースト≫を滅することじゃぞ。日和ってどうする!!!」
喝っと言わんばかりの迫力で
「そんなに怒るなよ。そうじゃなくてだな……今、アレグラ達が出かけてるんだよ。移動はあいつ等が戻ってきてからでもいいだろう?」
「そうか。 ――まぁ、主がそういうなら仕方ないのぅ。そのくらいなら待つしかないのぅ。」
「あぁ、美味しい酒が今から楽しみだにゃー。早く呑みたいにゃー。」
「ホントに酒がすきだな。楽しみにしすぎだろ。」
体を左右に揺らすキャットシーに突っ込みを入れつつも、
「でも、違う町か――」
新しい町。イクラシティに乗り込んだ時の景色を思い出す。海の綺麗な町だったな。
同時に、次元統合獣|≪カオス・ビースト≫に壊され、何もなくなった町の姿も思い出し、
「二度とあんな風景にはしないさ。」
と、決意を新たにするのだった。
「それじゃ、キャットシー準備しよう――」
GUYコツがそう言いかけた時、大きな爆発音と聞こえた。
「なっなんだ???」
爆発音に遅れて部屋が大きく揺れた。




