カズノコ学園襲撃作戦
「同士諸君! これらからは我ら怪人達の時代が幕を開ける!!! 我らの存在を公の場に晒すための大舞台を用意した!!!」
「ライ雷オンってば、盛り上げてるね。」
大ホールには大勢の怪人達が一同に集まっていた。
旧怪人協会が解体した後もネオ怪人協会に残留していた怪人達だ。
キュエと玉置梢を引き連れて遅れてやってきたフェーンは感嘆の声を上げた。
その後ろに小さくなっている梢はキュエの手を握りしめ、ビクビクと震えている。
怪人が多くいる場所が怖いのだろう。ずっと下を向いたままだ。
ネオ怪人協会になって初めての集会という事もあり、多くの怪人達も盛り上がりを見せている。
ライ雷オン!
ライ雷オン!
ライ雷オン!
壇上に立つライ雷オンが何を喋る度にコールを上げる奴までいる始末だ。
「なんともテンションの高いことで」
やれやれと傾げるフェーンの存在に気が付いた一体の怪人が近寄ってくる。
「フェーン様ではないですかな。」
「やぁ、アンザイ。最近の調子はどうだい?」
「ええ、お陰様で色々とやらさせてもらっていますとも。」
ネオ怪人協会に変わった時に必要な物資を集めてきた手腕を買われて、重役を任されている事もあり、アンザイはご機嫌な様子だ。
「そっか。それは良かったよ。」
「しっかし、フェーン様が怪人協会の残るのは意外でしたな。支部長クラスで残るのは、我くらいなもんだと思ってましたでな。」
「僕にもいろいろとやることがあるからねぇ。」
「ほーん。我には思いもよらぬ企みですかな? もしも金になりそうなら、一枚かませてほしいもんですな。」
「そうだねぇ。これからやることは聞いてるの?」
「いえいえ。それどころか、ライ雷オンが怪人協会を表に出す計画をしていたなんてことを知りない有様でしてな。」
「ふーん。まっ、そんなもんじゃないかな。僕も知らなかったよ。」
「それでは、我らが最初に行う特別任務を発表しよう!!!」
歓声が大きくなり、自然と壇上に上がるライ雷オンに目が向く。
「我らの襲撃先に選ばれたのはカズノコ学園!!! 束の間の平和を貪る奴らに怪人の恐怖を与えるのだ!!!」
おお!!!
学校!!!
ぶっ壊せ!!!!!
梢は顔を上げて息を飲む。
ライ雷オンが述べた襲撃先は紛れもなく自分の母校。
先のシラセとの戦いによって疲弊している状況なのだ。
この数の怪人達が押し寄せてきたら……
そう考えると自分が今ここで止める必要があるのだろう。
でも、怪人を前にしただけで体が震えて仕方ない。
この二週間の間で梢が受けた拷問の数々は対抗意識を消すには十分なものだった。
守らなきゃいけないのに、体が竦む。脳が拒否する。
どうして良いのか分からず息が苦しくなってくる。
「どうしたの?」
手を握ってくれていたキュエが梢に優しく話かけてきた。
「さっき襲撃言ってた場所、カズノコ学園にはあたしの友達がいっぱい居る場所なの……」
「そう。友達がどうなるのか不安なのね。」
「うん。」
梢は小さく頷く。
「大丈夫よ。なるようになるわ。それは運命に導かれた結果になのよ。そして想いはきっと叶うわ。」
その言葉の真意はわからなかったが、励まそうとしてくれているのは伝わってきた。
(そうだよ。
学園にはSUMOライダーもビートブルーも居るんだもん。
二人ともイクラシティでの戦いを経験してから強くなっているから。
今なら、これだけの怪人を相手にしても勝てちゃうかもしれない。
それにカズノコ学園はヒーローの拠点を兼任しているんだから。
もしかしたら、もっと強いヒーローが偶々来ているかも。)
「あのっ、お姉さんありがとう。お姉さんは怪人じゃないの?」
梢の質問にキュエはその端麗な美貌を曇らせる。
「私は有翼人よ。怪人ではないわ。」
一息ついてそう返事を返してきた。
梢は怪人でないというその返事に少しだけ安心をして、手を強く握った。いつの間にか動悸が収まり体から震えが消えていた。
「そして、カズノコ学園にはこいつが居る!!!」
ライ雷オンが大きな垂れ幕を下げた。
そこには骸骨の面をした怪人が移っていた。
紛れもない。その怪人は梢が探していた怪人GUYコツだった。
「こいつをおびき出す餌は用意してある!!!」
梢にスポットライトが当たる。
「小さな魔女だ。」
怪人の視線を浴びて梢は体が震えだす。
睨む目、恨みの目、好奇の目、怒りの目、卑猥な目。
その視線全てが梢にとっては恐怖でしかない。
「決行は一週間後だ!!! それまで皆、英気を養うと良い!!!」
盛り上がりを見せていた会場が盛大な熱気を帯びたまま幕を下ろしたのだった。




