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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
暗躍する影
115/214

日常

 学校に怪人が秘密基地を作っているとわかっても様子を見ることにした。

 ヒーローとしての正しさを優先するなら報告をするべきだろう。

 だが、梢が探していた怪人なのだ。

 ならば合宿から帰ってきてから、梢を交えて判断をする方が良いだろう。


(もしも、あいつらが何かを起こしたら……私がちゃんと責任取らないと。)


 薫はそんな思いを胸にしまいこむ。

 その日は既に夜になっていたこともあり、中学生の面々は挨拶もほどほどに帰宅をした。


☆☆☆


 それから数日後。

 GUYコツ達と出会ってからも薫の日常は変わらない。

 学校に通い、クラスメイトたちと談笑しながら、授業を受けて、放課後は部室による。

 その後、学校に潜む怪人の様子を見に怪人達の秘密基地に顔を出す。

 不思議なもので、怪人が常に傍にいる環境も、慣れると日常の中に溶け込んでしまうものだ。


「くぅー。今日も一日平和ね。陽平、ミュエっち、今日も怪人達の様子を見にいくよー。」


 薫は体を伸ばしながら、いつも部室にいる二人に話しかけた。

 返事はなく、聞こえてきたのは男の声。


「ここが、ヒーローの基地なのか。もっとこう、ヒーローって感じのものは無いんだな。梢の部屋の方が色々ヒーローグッズがあって面白かったぞ。」


ガタッ!


 驚きで思わず飛び上がり後ろを振り向いた。

 そこにはいたのは陽平ではない男。――GUYコツだ。

 そして、その横にはミュエと陽平が立っている。

 ニコニコしているミュエと気まずそうにしている陽平。

 その様子からなんとなく何があったのかを察することができる。

 驚いている薫に対して、GUYコツは気軽に挨拶をしてきた。


「よっ! 薫。」

「あんた! なんでここに!?」


 薫の質問に横にいたミュエが口を開く。


「あのね~。司君が外出したい。外出したいって騒いでて、皆からね、煩いって言われての見てて可哀想だったから、ミュエが連れてきたんだよ!」

「俺は反対したんだぜ。でも、ミュエっちからもお願いされちゃったらよ。」

「って事で、ミュエにこの部室を見せてもらうことになったってわけ。」


 頷きながらGUYコツは満足そうにしている。


「あんた、自分の立場ってものを分かってるの?」


 呆れたように頭を抱えた薫が、大きく溜息を吐く。


「だってよー。」

「でもも、だっても、ないわよ。ミュエっちもだけど。ここはヒーローの拠点なの。怪人を入れるなんて駄目よ。変な事するなら捕まえちゃうんだから。全く陽平もしっかりしてよ。」

「だから俺は反対したって。」

「でも、こうして部室に居れちゃってるじゃん。」


 薫が陽平を責めると、その間にGUYコツが入ってくる。


「まぁまぁ、二人とも喧嘩はよせって。」

「誰の所為よ!」

「俺らの秘密基地にもよく来るんだから多少は多めに見てくれよな。」

「それは、あんた達の見張りと言うか、見逃した以上はちゃんと見ておかないといけないからだもの。」

「俺達は何もしないよ。」

「あんた達はヒーローの真似事してる変な怪人だけど、まだ完全に信用してるわけじゃなんだから。」

「えー、薫ちゃん、そんな事思ってたの? アレグラちゃんも司君もそれに基地に居る皆だって、わるい人じゃないのに。」

「ミュエっちは、もうちょっと危機感を持ちなさいよ。」

「そうだぜ。そこは花村に同意だな。一応、小宮も怪人なんだから。」

「一応って……」


 GUYコツは陽平の言葉に苦笑いをしながら頭を掻く。


「で、ヒーローの何を知りたいわけ?」

「うーん。何かを知りたいって言うか―――」


 単に興味があってな。

 と、恥ずかしさ交じりにおずおずと話す。

 その姿は歳よりも幼く見える。

 子供の好奇心に近いのだろう。


「小宮は玉置並みのヒーローオタクなんだぜ。ヒロマガ持っていくとめっちゃ喜ぶし。」

「陽平もいつからそんなに仲良くなったのやら。」

「まぁ、怪人との練習試合とか勉強になるし。」

「男の子はちょっと拳を交えると仲良くなるもんね。」


 ミュエがからかう。

 そう、薫達は怪人の様子を見にいくと同時に、訓練と称した練習試合を何度かやらせてもらっていたのだ。


 平和な日常とはこうして過ぎていくものである。


☆☆☆

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