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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
新人怪人歓迎会
10/214

☆幕間☆

ご覧いただきありがとうございます。

1章部分は完結です。

なんとかここまで制作できました。見に来て頂いてる皆様のおかげです。


まだ話は続きますので、今後もよろしくお願いします。

先のGUYコツと切り裂きジャンパーの戦いを遠くで見ていた2つの影があった。


「博士、あれが面白いものですか。成る程……怪人のヒーロー……確かに、面白い!」

「フォッフォッフォッ。ライ雷オンよ、主も良いシーンが観れたのでは無いかの?」

「正直、私の内心で燃え上がるものがありますね。」

「フォッフォッフォッ。儂はのぅ、未来を変えねばならぬ。」

「未来ですか?」

「少し話しすぎたの。 さて、奴らの決着も近い、儂らも行くぞ。GUYコツを回収せねばな。」


***


閃光が弾ける。相対していた二人の怪人は立っていない。一人はうつ伏せの状態で倒れ、一人は完全に潰され原型が残っていない。


「リボーンさん!」


玉置梢は自分の為に戦い傷ついたヒーローの元に駆け寄る。


酷い怪我……


両腕は吹き飛び、身体中の骨にヒビが入っており、赤黒い体液が付着していた。あまり変化はないようだが、変身後に巻いていた赤色のマフラーは消えているのを見るに、恐らく変身は解けているのだろう。


胸部に耳を当てると鼓動のようなものはしているようである。


良かった、無事みたい。ありがと、骨のヒーローさん。凄くカッコ良かった。


はぁぁぁ……こわかったぁぁぁ……


率直な感想だった。ヒーロー狩りを行なっている凶悪な怪人の噂は聞いていたが、それは聞いていたモノよりも悍ましく狡猾な化け物であった。1年ほどヒーローとして活動をしていた梢だったが、あれ程の恐怖は感じた事が無かった。安堵したためか、急に体から力が抜ける。怪人によって切り落とされた左腕を見て、少し涙が浮かんでくる。


……これ治るのかな。治らなかったらどうしよう……


ヒーローに変身していたお陰か切り落とされた左腕に既に痛みや出血は無い。ただ、見た目は凄くグロテスクである。


これ、変身してなかったらあたし死んでたよね?


そんなことを考えていると不意に何処からともなく自分に話しかける低い男の声が聞こえてくる。


「タマキキャット。そいつを殺せ!怪人は敵だ!」

「だ、誰?」


声のする方向を向くとぬいぐるみが立っている。それはピカリンであった。いつものような可愛らしさはなく、どことなく余裕が無いようにみえる。


「えっ、ピカリン?声どうしたの?」

「タマキキャット、怪人を殺せ!タマキキャット、怪人を殺せ!タマキキャ、ぷぎゃっ!」


様子のおかしいピカリンは踏みつけられると霧散して消えてしまった。そんなピカリンを踏みつけた二つの影、変なおじいさんとライオンのマスクに筋骨隆々の男、ヒーローの間でも有名なライ雷オンというS級怪人であった。


「全く煩い獣じゃのぅ」

「あなたはライ雷オン!なんでこんな所に?」


弱った身体臨戦態勢を取ろうとする梢に対して、ハハハと笑いながら、宥めるように手をひらひらさせてライ雷オンは戦闘の意思がないことを伝える。


「お嬢さん、我々はそこの骨を拾いにきたんだよ。ここで戦う気は無いよ。」

「この人をどうするの?」

「人か……必死の威嚇のところ悪いがのぅ、どうするもこうするも、儂らは怪人協会の者じゃ。儂らがどうするかは……フォッフォッフォッ。魔法少女タマキキャット、いや、玉置梢くんと呼んだ方がいいかの?無駄な争いはしなくてよかろうて。」

「お嬢さん、我らの言うことを聞かないなら、君は、ここで……」


息が詰まるほどの重圧、先の戦いで経験した怪人への恐怖心も合わさり、玉置梢の意識は深い闇の中へ落ちていった。


はっ、はっ、はっ、息が出来ない。骨のヒーローさん、ごめんなさ……


その場に倒れた梢の耳には遠ざかる足音だけが残響する。


***


見覚えがある薄暗い部屋の中、ここは、最初にあの博士に出会った場所?まさか今までの事は夢だったのか?


「やっと目覚めたか、GUYコツ、君はいつも寝てばっかじゃな。」


只野博士がフォッフォッフォッと笑いながら目が覚めた俺に話しかけてくる。


骨になっている自分の手を見て、夢では無いことを実感する。骨の手で顔を抑える。しかし、あれが夢でないとなるとあの後どうなったのか気になり始める。博士に問いかける。


「俺の近くにいた少女はどうなった?あの後の街は?あの化け物は?試験は?そもそもヒーローや怪人ってなんだ?変身ってなんだ?異形化ってなんだ?」

「これこれ、まくし立てるでない。しっかし、君は自分自身の事に関心がないのかの?」


そう言いながら博士は俺の手をちょいちょいと指差す。そういえば、腕が吹っ飛んでたな。腕は見事に戻っている。


「儂に感謝せいよ。治してやったのだからのぅ。自分のことより他人の心配、流石はヒーローを自称するだけあるの、フォッフォッフォッ。」


そう言うと近くに置いてあったカップに手を伸ばし、飲み物を飲み始める。


「君の質問についてじゃが、2つだけ答えてやるぞい。」


指を1本立て質問に答え始める。


「1つ、あの少女、魔法少女タマキキャットは無事じゃわい。そもそも、ヒーローは内臓が弾けようと、分子レベルで分解されようと変身してる限り、死にゃーせん。きっと元の生活に戻っておろうよ。」


指を2本立て2つめの質問に答え始める。


「2つ、試験は終わりじゃ。合格者は君ともう一人。晴れて君は怪人協会へ加入した訳だ。ヒーローや怪人についての話は怪人協会で調べれば良いぞ。自分で調べるのも大事な事じゃからな。」

「いや、大事なことはちゃんと説明しろてくれよ。あのままだったら俺は梢に殺されてたんじゃないか?ともあれ、梢は無事だったのは良かったけどさ。」

「君は怪人協会の正式な入会式を1週間後にやるからの。それまではカテキョーカイでの仕事を頑張るんじゃぞい。」

「そういえば、カテキョーカイってなんなんだよ」

「……まぁ、所謂フロント企業ってやつじゃ、怪人協会のな。深くは気にするでない。」

「そうか。俺はカテキョーカイの仕事は好きだから良いんだけどさ。」

「フォッフォッフォッ、楽しむのも人生の一興じゃ。そうそうマンションに戻りたいなら一眠りしてくれて構わんぞ。寝ている間に君のことはマンションまで送ろう。それまでここで適当に時間を潰しているが良い。」


そういうと博士は部屋の外へと出て行った。


***所代わり


「はい、終わり。動かしてみて!」


元どおりになった左手を動かしてみる。違和感なく動く。


「うん、大丈夫。きみちー先生、問題なく動くよ。」


ここは私立カズノコ学園にある医療機関。目の前に居るのは、機関で働く若い男の先生。きみちー先生は七三分けでキッチリ整えられた髪の毛、スラリとモデルのような高身長の身体、嫌味がないお洒落な眼鏡、シミひとつない真っ白な白衣に身を包み、できる大人な男性の理想形のようなその人だ。あたしの切り取られた左腕の接合手術を行ってくれたお医者さんだった。


「よかった、よかった。よく、頑張ったね。」


うんうん、頷きながら治療を頑張った事を褒めてくれる。

『きみちー』というのは、いつのまにか広まった先生のニックネーム。そういう親しみやすさも人気の理由なんだろう。


「梢君も大変な目にあったね。報告書みたよ。怪人のヒーローね…なんか変な奴もいたもんだ。」

「きみちー先生から見ても変なんだ。」

「ヒーローが怪人になることはあっても逆は聞いた事ないね。そもそも、理論的に成り立たない筈なんだけどね。」

「きみちー先生も信じてない?」

「梢君を信じたいという気持ちはあるけど、医学的、倫理的に見解からは信じないかなぁ。あっ、そう膨れないで。」

「うー、そういう難しいのはよくわかんない。実際に骨の怪人さんがヒーローに変身して悪いあたしを守ってくれたんだからのは事実なんだから。」

「梢君が言うんだから実在するんだろうとは思ってるよ。こんな嘘をつくような子じゃないし。ただ、まだヒーロー協会からの見解がないから、他のヒーローには他言しない事。いいね?」


そう言い終えると、「はい、治療や診察は今日で終わり。傷跡が気になったらまたおいで」ときみちー先生はあたしに声をかけ、その後、大きな声を出し、看護師さんを呼び出す。


診察室を出ようと扉の前に立った時にピカリンはどうしたのか、気になった。様子がおかしくなった後、一度も目にしていない。

「そういえば、報告書にも書いたんだけど、ピカリンはどうしちゃったの?」

「そのうち帰ってくるさ。あの子は魔法少女のマスコットなんだから。」


なんでかわからないけど、その返答をしている時のきみちー先生はいつもと同じ様子で答えてくれたけれど、ほんの少しだけいつもと違う怖いものを感じた。


あたしは診察室を出て、いつもの教室へと戻った。

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