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祓い屋からの招待状②


こんにちは、姫木心優(ひめらぎみゆう)です。


私の家に届いた一通の手紙、そこには陰陽道連盟からの招待状でした。


私とカケル君は、指定された場所に行くと全国各地から沢山の祓い屋が集結していました。


陰陽道連盟会長の神宮寺一成により、祓い屋の威信をかけたデスゲームが開始されたのでした。


私とカケル君は、姫木の祓い屋本家の看板を守り抜くことができるのでしょうか・・・。




* * * * * * * * * * * * *



「ーーよっしゃー、捕まえたぞ!!」


神職服姿の男性が妖魔を両手で捕まえた。そしてすぐに妖魔の額に呪印札を貼り付けた。


「あとは、コイツを神宮寺様の元に届ければ終了・・・」


男性が戻ろうと振り返った時には、すでに遅かった。


「な、何だ。お前たち・・・」


三人の男たちが不気味に笑みを浮かべ男性を取り囲んでいる。男性は、捕まえた妖魔を盗られないように必死で抱えている。



「ーーコイツは、やっと捕まえたんだ。お前たちに易々と奪われてたまるか!」


男性は、力強く言い放つが「ぐはっ」問答無用の蹴りが腹部に入った。


「悪いな、コイツはいただいて行く」


やっとの思いで捕まえた妖魔をいとも簡単に奪われてしまった。


「ち、チクショーー!!」


地面に膝まづき、男性の断末魔は薄暗い山中に響いた。


去って行く三人の背中に天王寺の家紋が刺繍されていたーー。



静かな心地よい風と草木の匂いが漂う山中に、似つかわしくない叫び声が先ほどからいつも聞こえてくる。


その叫び声が聞こえる度、カケルの服を引っ張り怯える心優。


「心優ちゃん近いってーー」


顔はにやにやと崩れて、まんざら嫌でもないが一応照れ隠しで言ってみるカケル。


「カケル君が言った通り、祓い屋同士で妖魔を奪いあっているんでしょうか?」


怯えたうるうるした瞳でカケルを見つめる心優。思わずキュンっとなってしまうカケルであったがそこは男らしく、


「だろうな。ーーだけど僕に任せてよ!必ず妖魔を手に入れてこのミッションをクリアしてみせるから」


「・・・うん」


心優はこんな危ない事にカケルを巻き込んでしまった後悔の念を抱いていた。




「心優ちゃん隠れてーー」


カケルたちの前方より三人の男たちが歩いてくるのが見えた。一人の男の手には、呪印札を貼られた妖魔を手にしている。


「カケル君まさかあの人達から妖魔を奪うつもりなの?」


「ああ。この山中を他のターゲットを見つけて探すより、今ここでコイツらから奪った方が早いだろ」


「相手は三人もいるんだよ?それにあの家紋は、天王寺の家紋よ」


「天王寺だろうが、神宮寺だろうが僕には同じ、ただの祓い屋さ。何も変わらないよ」


おろおろする心優を他所(よそ)に、カケルは軽く準備運動をしているのかポキポキと指や首を鳴らし、「待ってて」と右手を心優に突き出し三人の前にカケルは立ちはだかったーー。




「何だ餓鬼、どういうつもりだ?」

「そこをどけ邪魔だ」


男二人がカケルに詰め寄る。ーーが、一歩も引かず余裕な表情を浮かべている。


「貴様、祓い屋じゃないな?なぜこの場にいる。関係ないなら去れ」


「悪りーが、僕は心優ちゃんの助手兼ボディーガードなんで、彼女のメンツを守らなくちゃならないんだよ」


カケルは落ち着きなく地面の砂利(じゃり)を足で払って喋っている。


「あっ?そんな事知ったことか、痛めにあいたくなかったらそこをどけ!!」


男の一人がカケルに触れようとした瞬間ーー「バカ、離れろ!!」男の仲間一人が叫んだが遅かった。


「ぐっ、う、動けない・・・」


「一人完了、残り二人ね!」


カケルは、唇をペロッと舐めた。カケルが落ち着きなく地面の砂利を払っていたのは、地面に術式を書き込んでいたのだ。


「祓い屋ではないのに、縛りの術式を・・・」

「お前は下がっていろ!」


驚く妖魔を抱えている男に命じる。


「餓鬼だからと容姿はしない!」


懐から呪印札を数枚取り出す男。


「起爆札かい?かなりガチじゃん」


それに動じないカケルは右手をぷらぷらとさせている。


「死んでも知らねーぞ!」


天王寺の男はトランプのカードを飛ばすように起爆札を三枚同時にカケル目掛けて投げつける。ーーカケルに命中したのか大爆発が起こり地響きが鳴り響いた。


「ははは、馬鹿が大人に盾突くからだ」

「ちょっとやり過ぎたんじゃないか?」


安堵の表情を浮かべる天王寺の男たち。

砂煙が舞い上がりカケルの様子が分からないが起爆札は何かに命中しないと爆発が起こらない仕組みなので確実に命中はしたと確信していた。


天王寺の男たちの表情は一瞬で凍りつくことになる。ーーカケルは無傷でその場に立っていたのだ。


砂煙が晴れた向こう側に半透明な結界が貼られていたのだ。


「ま、まさか術式の結界・・・貴様本当に祓い屋じゃないのか?」


「祓い屋?僕はただの探偵だよ。世界で唯一の霊能探偵、神崎カケルだよ」


「ーーーー!!」


天王寺の男たち二人の表情が一瞬で変わるのが目に見えて分かった。


祓い屋の間では、【有名な噂話】があったーー。


そこで出てきたワードに『カンザキ カケル』の名前があったのだ。


「か、カンザキ。貴様が・・・あの」


後退りする天王寺の男たち。先ほどとは一変し顔は青ざめている。ーーまるで、命だけは助けてくれと言わんばかりに。


カケルが一歩近づくーー。


「た、頼む。こ、これは置いて行く・・・」


妖魔を抱いていた男は地面に妖魔を置いていた。すでに腰を抜かし立っていられない状況だ。


「ーー何?おっさん達、僕のこと知ってるの?」


地面に置いてある妖魔を取り上げたカケル。

顔を上げたその目を見た瞬間に天王寺の男たちから血の気が去っていくのが分かったーー。


「姫木には、僕がいること忘れんなよ」


カケルは、妖魔を抱え男たちに背を向けその場を後にした。


カケルが去った瞬間に張り詰めていた糸が切れたように安堵の空気が全体に流れた。


「な、何だったんだ?あの圧倒的な威圧感と重苦しい空気は・・・」


「瞬きすら出来ないし・・・あの目はヤバ過ぎる」


先ほどまで、縛り術式にかけられていた男が現れ、


「【零フィールド】だよ・・・全て奴の計算通りに運ばれたのさ」


「こ、これが零フィールド。【死神】を相手にしたの初めてだよ」


「所詮俺たちは、天王寺の分家に過ぎないからな」


「・・・神崎カケル、関わらない方が良い。奴は危険過ぎる」



その時、三人の男の内の一人の携帯電話に着信が入ったーー。


「・・・すいません。妖魔を手に入れるまでは順調でしたが、邪魔が入り・・・申し訳ございません。ーーいや、その、相手はあのカンザキカケルだったもので・・・本当にーー」


男の電話は途中で途切れたーー。


「本家からか?」


「ああ、カンザキカケルに遭遇したと話しても信じやしないよ」


「無理もない。あの噂自体が、【都市伝説化】してるよ」


三人の男たちは、ふと我に返った時にはすっかり落ち着きを取り戻した静かな山中に変わっていたのだったーー。




ーー カケルの正体と過去の秘密とは ーー


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