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青の戦域    作者: 綿乃木なお
第二章  絶望のインターバル
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やぶ医者


「夜叫って、やつかな」


「やきょう?」


 ケイはミニシャと向かい合わせに座って、自分の診断結果を聞いていた。


「うん。文字通り、睡眠中に突然悲鳴を上げて起きてしまう。何らかの原因で、精神不安定になった幼い子供に多い症状だ。君の場合は、アウェイオンとヤガタの戦いで精神的にショックを受けたのが原因だろうな」


「はあ。でも俺、幼い子供じゃないし」


 ケイはあからさまに肩を落とした。


「それって、俺が精神的に弱いってことですよね」


「そんなことないよ、ケイ」

 

 ミニシャはペンを指先で器用にくるくると回しながら言った。


「初陣は誰しも精神的苦痛が半端じゃない。防衛本能が働いて、アドレナリンが大量に噴き出して脳を恐怖から守るんだけど、その後が問題だ。ショックで身体に変調を来たして動けなくなる兵士だって大勢いる。君はアウェイオンの激戦に耐え抜いたし、初めて乗った生体スーツでドラゴンと戦って、勝ったじゃないか。その位で済んでいるんだ。大したものだよ」


「そうでしょうか…」


「ああ。最初から屈強な精神の人間なんて、そうはいないよ。ただ、まあ、同じ悪夢を頻繁に見るっていうのは、精神の不安定だけが問題じゃないかも知れない」

 

 ミニシャの顔が真剣になるのを見てケイの心臓が、どくん、と鳴る。


「やっぱり、その、生体スーツの人工脳と同期(シンクロ)する副反応ってことですか?」


 恐る恐る聞いてみると、うーんと唸ってミニシャが頭を抱えた。


「結論を出すのは早いけど、現状ではそうなるのかなぁ。恐怖で飛び起きる程の悪夢を見るっていうのは、副反応としては軽くはないんだろうけれど。それでも、病気っていう程の症状ではないしなぁ。頭痛も再発していないようだし、フェンリルとのシンクロに慣れてくれば、その悪夢も次第に収まってくると思うんだけど」


「はあ」


 ケイは項垂れるようにしてミニシャの話を聞いていた。何とも頼りない診断だ。


「生体スーツのパイロットとして体調管理は重要だからね。安眠は大切だ。私も一応医者だからね、酒飲んで寝てしまえっていうのも、大きな声で言えないしねぇ」


 未成年にそんな事言っていいんですかと、突っ込みを入れたいのを我慢する。


「分かりました。休めるときに身体を休ませます。


「あ、それ、良いね。名案だ」


 にっこり笑うミニシャに一礼して、ケイは研究室を出た。


自分の話で恐縮ですが、参考資料にと思い傭兵の歴史の本を読んでから寝たら、時は戦国時代(中世ヨーロッパの傭兵の本にもかかわらず)戦で籠城している城の中にいる夢を見ました。

しかも雑役夫!足軽ですらない・・・。

突然門が破られ、城内に敵兵がなだれ込んできた。逃げ惑っているうちに敵に囲まれて正面から槍で突かれそうになって飛び起きました。

まさに悪夢( ̄▽ ̄;)


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