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輝く新星たち8

 まさに、小動物と思わせる小さな背丈。

 長く綺麗に伸びている黒髪の左右には小さなリボンを付けている。

(さすが、ドラフト五十以内だけに入っているだけはあるな。歌が上手い。甘く聞き惚れる声をしている。これが、ドラフト候補に挙がっている実力か)

 前にパイプいすが数十台かはあるが満席。

 三十人以上はいる。五十人いるのではないかと思うくらいだ。

 ほとんど、観客で埋め尽くされているが、俺と同じは九人。

 俺の左右に二人と三人だから、俺を合わせて十五人か。

 これは競争率激しいぞ。

 彼、彼女らも敵だが一番は詩乃が最大の敵だ。

 彼女を上手く説得しないと契約の約束が出来ない。

 気合入れて行くしかないぜ。

 彼女は手振りだけのダンスしかしていない。身体全体を使ったダンスはしていない。

 苦手なのか、ダンスをして歌うことが出来ないのかは分からないけど、これは、後々、改善すべき点だと思う。

 エメラルドに光る双眸に観客は一殺。

 その可愛らしさからトドメにはウィンク。

 彼女は自分を可愛く見せる術を知っている。

 意外に策士だな。

 俺も一瞬、見惚れてしまった。どーーんと射抜かれた。

(彼女は取るべきだな。取れればだけど)

 拍手喝采が鳴り響きライブは終わった。

(さて、いざ、出陣だ!)

 詩乃の許へ行こうと足を進めたが、我先にとプロデュース科の生徒たちが詩乃の許へ行く。

(最初だろうが最後だろうが同じだ。焦っても意味ない)

 我先に詩乃の許へ行くプロデュース科の生徒たちの背中を見て、俺は鼻で笑う。

 詩乃は名刺を次々と貰い、少し苦笑いを浮かべてた。

 そんな表情にはお構いなしのプロデュース科生徒たち。

(取りたい気持ちは分かるが、少しは詩乃の気持ちを考えるべきだ)

 生徒たちの悪態を見ながら憤りを感じた。

 詩乃はこれで全員だと思い、背を向けて足を歩かせた。

「桜川詩乃」

 名を呼ぶと詩乃は振り向いた。

 振り向いた時に靡いた黒髪が美しく、ライブの時とは違い今の詩乃の顔は険しく見えた。

 無理もない。あんなに寄ってたかって名刺を渡されての談合の約束を右から左へとうるさく言われていたのだから。

「何でしょう?」

「ライブ、良かったぞ。歌もさることながら笑顔も可愛く、俺も見惚れてしまった」

「ありがとうございます。あなたも私との約束ですか?」

 淡白な礼に本題に話を変えられてしまった。

 ライブの時とは全然違う詩乃。

 嘘とは言わないが、本当にライブで見せた笑顔が嘘に思えるくらい。

「そうだ。あいつらと同じだ。俺は最後でいい。あと、気が向かないなら、話し合いしなくても構わない」

 ここは、無理強いすべきではない。

 本当は詩乃が欲しいけど、優先すべきは彼女の意思。

(答えはどうでるかな?)

「いえ、一応、お話だけは訊きますので、控室で待ってて下さい」

 そう言い残し詩乃は去って行った。

 俺も控室へと向かう。

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