輝く新星たち4
眼に映っている客の中にライバルが二人いるから、いなくても油断はしないけど。
二人は立ち寄ったかもしれない可能性がある。
俺は絢音と話して好感触を掴み交渉時に畳み掛けよう。
自身の算段を考えて絢音の歌を聴く。
ライバルの一人は席を立ち帰って行った。
残るは一人、接触するなら少し警戒しないと。
ライブが終わり客はそそくさと帰って行く。
ライバルはどうなっている?
流れ込んでくる客とステージにいる絢音とライバルが話している姿が重なり見えない。
すぐに、絢音の姿が見えた。
ライバルはいない。
気付けば俺の横を通り帰って行った。
名刺渡しただけか?
俺は絢音の許に歩いて行く。
「ライブ、とても良かったよ」
「本当? ありがとう。お客さんあんまりいなかったけどね」
「それでも、一生懸命に歌っていたのは伝わっていた」
「私は元気に歌うのが一番だと思っているから。何事も元気が一番だよ」
絢音は人差し指を立てて言う。
この漲る元気が俺のスピリッツを熱くさせている。
「おっと、名刺を渡さないと」
俺は胸ポケットから名刺を渡した。
名刺はプロデュース科が持つ事が出来る。
「鷹月凱斗。凱斗って呼ぶね。私の事は絢音で良いから」
「よろしく。絢音。ここで立ち話するよりも、どこかゆっくり出来る所で話さないか?」
「そうだね。じゃあ、上の階にあるカフェはどうかな?」
「分った。そこにしよう」
「先にカフェで待ってて。着替えて来るから」
「ああ。待っている」
絢音は舞台袖に入って行き、俺の視界から消えた。
俺はカフェへと足を進めた。