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運命の大・決・戦がここにはある2

「今年も新規気鋭のアイドルたちが目白押しだー。誰がどの子を取るかは君たちの手に懸かっているぞ。己が手で掴み取れ―。では、ドラフト会議の始まりだー」

 火野先輩の開催宣言でドラフト会議の始まりの鐘を鳴らした。

 円卓の机の中央にはボックスが置いてあり、そこに各席に置かれた紙に指名するアイドル生の名前を書いて入れる。

 俺は最初に絢音の名前を書く。

 彼女はリーダーだからね。

 いざ、ボックスにどーーん。

 歩夢も指名権を入れたが、誰を選んだのだろう?

 少し気になる。

 自称ライバルとして。

「では、一巡目の発表をします」

 壇上にある大型モニターに枠組みされたプロデュース科の名前一覧。

 大型モニターでも全員の名前は入りきれないから、何回かに分けての発表だ。

「一巡目に選ばれたのはこの女の子だ」

 一斉にドンっと映し出された名前。

 圧倒的に多いのは一番人気のアイドル生。

 名前は南野愛奈。

 黒髪のツインテールで小柄な女の子。

 歌声も甘い歌声だと評判が高く、ダンスも見事らしい。

 一番は歌っている途中に見せる屈託のない笑顔とウィンクがファンやプロデューサーの心を掴んでいる。

 ファンサービスも欠かさず、アイドルとしての心得も見事と賞賛の声も多い。

 次に表示された名前も愛奈が多い。

 さすが、南野愛奈。彼女の人気を認めるしかない。

 次に出された俺の名前、だが、隣には歩夢の名前。

 ここまで隣にいるとは運命の悪戯に思えてくる。

「続いての一巡目の指名者はこの子たちだー」

 俺は海崎絢音。歩夢は久遠光璃というアイドル生を指名した。

 どやーーーーーーーーーーーー。

 あいついきなり人気ランキング五位のアイドル生を指名したぞ。

 なんて奴だ。歩夢はこんな大物と契約の約束を取り付けたのか。

 敢えて、俺はドラフト人気順位を気にしないアイドル生の選択をしていたけど。

いざ、こう見ると実力の差を感じる。

もし、俺も順位を気にして高順位のアイドル生を取りに行っていたら、どうなっていたのだろう?

約束出来たのだろうか?

(歩夢はすごい奴かもしれない。ライバルと言える立場に俺は立っていないかもしれないな)

 今は彼女たちと契約を結びアイドルグループを作る事だけ考えよう。

 歩夢の事は考えてもしょうがない。

 一巡目の指名は終り、次は二巡目の指名へと移った。

「一気に二巡目の発表に行きますよー。二巡目の指名者はこれだー」

 俺は桜川詩乃を指名したが、他にも数十人同じ者がいた。

 久遠光理ほどではないが、詩乃も人気ランキング入りしているアイドル生。

 だって可愛いよ。詩乃。

 他の子も可愛いけど。

オレだけではないのは分ってはいた。

 交渉権は平等には与えられるが、契約を結ぶかは彼女たちの選択次第。

 歩夢の二巡目のアイドル生は知らない。

 パンフレットには載っていたと思うが見たことはない。

「次は三巡目も発表だー」

 俺は真田心美を指名。心美にも数人の指名者がいた。

 確実性があるのは絢音だけか。

 二人も確実性が無いわけではないが、女心は秋空。油断は禁物。

 ドラフトは十巡目まで続いた。

 俺は三人で指名は終り、歩夢は五人で終わった。

「やっぱり、詩乃ちゃんを取ったんだね」

「まだ、分らないよ。歩夢も人気順位五位の久遠光璃を指名して。やるな」

「僕もまだ分らないよ。けっこう、ライバル多いからね。でも、僕は引き下がらない。彼女を必ず取りに行く覚悟で交渉するよ」

 イケメン特有の爽やかさがない歩夢の顔は真剣そのもの。

 彼の双眸は静かにも燃えていた。

「必ず獲得しろよ。他の奴らに敗けるな」

「ありがとう。凱斗君も全員獲得してよ。僕だけ獲得しても意味ないからね」

 おお。良い奴だ。イケメンに良い奴とは反則だろう。

 俺でも惚れてしまうやろ~。

 ドラフト会議は終り、各々は指名したアイドル生との契約交渉に移る。

 人気のアイドル生との契約交渉は待ち時間が長い。

 絢音は俺一人だから関係ない。

 詩乃と心美には待ち時間あるけど。

 アイドル生たちはこの日だけ渡されるタブレットで指名されたことを知れる。

 人数、名前、プロデューサー生の顔も分かる。

 幾多にある控室にアイドル生は待機しているが、どこに誰がいるかはプロデューサー生との端末で連絡するしかない。

『俺、凱斗、絢音、今どこに居る?』

『校庭にいるよ。お昼食べている』

『ちょ! お前、ずいぶん余裕だな。普通は緊張するものだぞ』

『だって、腹が減っては戦が出来ないって言うでしょ』

『いや、お前は戦しないだろ。俺だよ! 俺、戦をしているのは』

 軽く突っ込みを入れる。

『あー。そうだったたね。でも、凱斗が指名するって約束していたから。心配はしてなかったよ』

『そうだけど。とりあえず、そっちに行くよ』

 肝が座っているのか、お気楽なのか、絢音は凄いよ。

 俺は絢音の片鱗を見えたかもしれない。

 その片鱗がどちらの意味で凄いかは、まだ分らないけど。

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