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運命の大・決・戦がここにはある

 今から戦地に赴く一等兵の鷹月凱斗であります。

 今日はドラフト会議当日。

 会場は学校の大―ホールであり、我らプロデュース科一年生が参加者。

 もはや戦場味方などいない。周りは敵だらけ。

 獲るか獲られるかのシンプルな戦いだが、その戦いに俺たちは今まで賭けて来た思いがある。

 見えてきた戦場である大ホール、周りでは敵が続々と大ホールへと突撃を敢行。

(三人とは約束をしたから大丈夫だ。三人さえ獲得できれば良い。あとは、見て感じる女の子がいれば交渉してみるだけ)

 いざ、戦場へ。

 イエッサー!

 大ホールは某野球ドームと同じくらいの大きさを誇る。

 円卓の机が幾重にも設置してあり、その周りには椅子が囲んでいる。

 座る位置は机に置いてあるネーム版に書かれていてるが、探すのに一苦労。

 周りの戦士たちも自身の配置場所を探し回っていた。

 俺も一つ一つ机のネーム版を見て歩く。

 多すぎだろ。すぐには見つけられんわ!

 メジャーな苗字の奴はどうするんだよ。

 佐藤、伊藤、鈴木、高橋とか。

 鷹月で良かった。

(あ、歩夢がいる)

 遠目でも分かる爽やかイケメン柊歩夢。

 もう、自分の席に座っている。

(まさかな……)

 歩夢が居る円卓の机の方へ歩いてみると……。

 そのまさかが当たってしまった。

(マジかよ! イケメンの隣とは運が無いぞ)

「凱斗君。ネーム版を見てホッとしたよ。君が隣で」

(俺はその逆だけどね)

「ああ。俺も歩夢が隣で良かったよ」

 嘘でも言うべき言葉があるのだ。

「凱斗君は心美さんとの交渉を約束できたんだよね? 僕には断りの電話が来たから」

「まぁな。なんかすまない」

「気にすることはないよ。これもプロデューサーの腕が問われる事なんだし。でも、僕も何人かと交渉の約束を取れてね」

 その顔で口説いたのか? やるなイケメン。

 女の子のハートを鷲掴みしたのか。

 イケメンのプラチナ切符はすごい。

「あとは、ドタキャンされない事を祈るだけだな」

「そうだね」

 ドタキャンは珍しいことではない。

 心変わりをするアイドル生は多くはないが、変わる者もいる。

 女の子の心は秋空の様だと誰かが言ったものだが、まさに、その通り。

 変わり得る心。

 絶対に安心は出来ない。俺も大丈夫と言い聞かせているだけ。

 イケメン歩夢は大丈夫だろう。

 清々しい笑顔は女の子のハートにドキュン。

 俺は心配だけど。ただ語りに語っただけ。

 彼女たちを信じてない訳ではないが、俺より後に来た者に心変わりしていないとも限らない。

 それでも彼女たちには非は無い。

 自身の夢のために選んだ道で俺にはその道を作る器量が無いと思われただけのこと。

 恨みもしなければ憎みもしない。

 これが戦場の過酷さであり負けを意味する。

 俺たちの勝敗を左右するのはアイドル生。

 この戦場の勝利の女神はアイドル生。

 大事なので二回言う。

 ―天井の照明の光が薄暗くなった。

 スポットライトが一人の男に当たられた。

 マイクを片手に壇上の端から中央に歩いて来る。

「今年も始まりました。聖桜歌学園のアイドルドラフト。司会を務めさせていただく、詩桜花学園二年生の火野颯太です。よろしくお願いします」

 司会者の火野先輩の意気の良い声が会場に響き、間髪入れずに会場から拍手が巻き起こった。

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