輝く新星たち11
アイドルを探して三千里、どうも、凱斗です。
詩乃との話し合いの後、俺はライブを見て回っていた。
夕日の光が高層ビルに反射し眩しい。
帰宅するサラリーマンが行き交う。
夏休みとは縁のない大人の世界の成れ果ての姿。
哀愁が漂うような。
ライブハウスに行くサラリーマンもいる。
会社のストレスを散させるのだなと思った。
(アイドルはあなたの心を癒しますよ。俺が保障します。どうぞ、快楽の楽園へゴーです)
ライブハウスに足を進めるサラリーマンを遠巻きに見送る俺。
見送った後は黙って背を向け俺は去る。
サラリーマンに混じって歩いている俺だが、詩乃に次いで三人のアイドル生のライブを見た。
結果、どーん! が来ない。
俺の中のどーん! が無いのは直感的にビリビリと来ない事を意味している。
例えるなら、どーん! が来たら自分に雷が落ちる。
絢音と詩乃にはそれがあった。
二人を取った理由もそれだ。理由なんてない。俺は自分の直感を信じて取る。
普通はアイドル生の彼女たちの実力的な面を重きに置いて取ろうとするのが当たり前。
そのやり方を否定はしないが俺はしない。
実力があっても、プロデューサー自身の力が無ければ花は咲くことはない。
その逆も然り。
仮に、実力のあるアイドル生を取っても、互いに相互理解も出来ない場合だってある。
そうなったら、プロデュースどころではない。
何もいえねぇ。目を当てれねぇ。日光にある有名なお寺にあるサルになるよ。
口を塞いで言わざる。眼を塞いで見ざる。
それは絶対に嫌だ。
俺は実力ではなく、自分の直感と信念をアイドル生に熱く伝え、その同意のもとでアイドル生を取る。
いざ、プロデュースの青春が始まっても互いに気持ちが分かるから。
当たって砕けても悔いなし……ちょっとだけあるかも。
(まだ、粘ってみよう)
ライブ出来る時間は午後七時までと原則されている。
今は五時、まだ行ける。
俺はパンフレットを見て今の時間帯にライブをしているアイドル生を見た。
(岸川美野里、椅野梨花、真田心美など)
写真も載っておりアイドル生の写真をがん見。
気になったのは。
『真田心美、見た目の可愛には似合わず乱暴な口調、反則的な女子、この反則行為に耐えられるかな? 可愛くも牙のある口調に甘噛みされたらお終いだぞ』
(面白そうなだ。真田心美の所へ行ってみるか)
俺は真田心美がライブしている聖桜歌学園が系列しているアイドル生グッズ専門店へと走って行く。
三人いれば一応グループは完成。
最悪、絢音と詩乃だけになるけど。
そうは俺がやらせない。何としても真田心美を説得して三人グループにしてやる。
滾る思いが足を速めた。




