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DREAM  作者: 真亭 甘
HUNTER FUNG
3/31

アニマ

「俺か、俺はダルフだけど?それがどうした?」


俺が襲われていた時に、いきなり現われ一人倒し不意打ちに襲ってきたラームを軽々とかわし、手から炎をだしラームを倒した男の発言が、「俺か?俺はダルフだけど?それがどうした?」


「・・・なんてムカつくやつだっておもったけど、カッコいいじゃないかよ」


って思ったのに。あいつめいきなりきたマルナス自治軍のやつらにつれてかれて、なにやってのだよ。あれから一日、日も暮れそうな夕方。村の宿屋の1階はこれから夜の酒場に向けての準備が慌ただしかった。



「軍のやつらめ、いくら横暴なヤツでも軍人のラームを倒されたからって、ダルフを連れていってなにしているのだ?」


と昨日まで嫌ってたジットが、カウンター席に座りながら言う。


「まぁあまり気になさんな、あれだけ民衆がいたのだ、いくら軍の人たちでも簡単にダルフの命をとるような真似はできまい。むしろ逆に何か事情聴取をしてラームの切ろうとしているのだろう・・・軍の人たちもあのラームの横暴は目にも余るものだろう、ようやく目の上のたんこぶを取れるところだろう。」と店のしたく準備のためにグラスを布巾で拭きながら宿屋の亭主が言う。




「あらら、ジット。昨日まであんなにもダルフさんのことを嫌っていたのに、どうしたの?まさかいままで馬鹿にされムカつきあげくの果てには、殺されかけたけど、ダルフさんがこの村に来てラームを倒してくれた、しかもすごい技を見せてくれた、そんなダルフさんのことがきにいっちゃったの?」

「いったぁ・・・なにするのだよ。」

と昨日ラームに撃たれそうになったのを俺が助けた、この子は、セラ。この宿屋の亭主の娘で、もちろん看板娘だ。その時にかばって撃たれた左肩をわらいながら、こいつは叩いた。

「そんなこと言ってないで、ジットも店を手伝ってよ。そんなところでドリンクなんか飲んでいないで。」


「うるせい、俺は客なのだぞ、座っていてなにがわるのだよ。」


「そうか、ならジットもうお前の修行には付き合わなくてもいいんだな、それなら俺もありがたい」


「いや、オヤジ。ちょっと待ってよ。なんでそうなる、俺まだオヤジからまだハンターとしての技術を身につけてないぜ。それに多分オヤジの修行の先にはダルフの謎の力や技の事や正体が隠されているのだろ。」


「じゃあ、働かなくては。それが修行に付き合う際に交わした約束だろ。」


そう言ってオヤジは、修行を始める前に交わした契約書を俺に出してきた。


「ハンターとして強くなる前に、ハンターになるのならまずはこう言った事をちゃんとしなくては」


「お、おう、やるに決まっているだろう、ただこの1杯を飲んでからやるのだよ。」


「はいはい、じゃあ早く飲んでやる。」



とセラは、持っていたおぼんで俺の頭を叩いてきた。「くそ」そう言って俺は、店の手伝いに加わった。時が刻むに連れて、店に来る来客者も増えてきて、店が慌ただしくなってきた。

「ガチャ」

すると、店の扉が開く音が聞こえた。そこには昨日マルナス軍に連行された、ダルフの姿があった。昨日、「俺か、俺の名は「ダルフ」。旅人だ。」



と言ったその男、ダルフ。とがったような金髪に、白く長いコートに黒いジーンズを履いていた。まだ9才の自分より背が高く170くらいはある男だ。


「ダルフ!!無事だったか」

と俺が叫んだ。ダルフが返事しようとした、その途端にセラが持っていたおぼんで頭を叩きながら


「ダルフ、ではなくダルフさんでしょ。それにジットよりも年上なのだから」


「ハハハ」と店に来ていた来客してきた人たちが大笑いする。「よ、夫婦漫才。今日も仲いいね」と茶化す客やオヤジに「仲のいい二人だね。将来が楽しみだね」ともいう客もいた。そういうオヤジは「ふん、まだまだガキさ」と客の茶化しにも冷静に対応していた。


「お前たちは無事か、なら何よりだが。」ダルフがあらためて、俺たちに返事をしてきた。


店が落ち着き、少し早めに酒場の店締めをして一つのテーブルに集まり席に付き食事をした。料理は店の残りとはいえ、豪華にも近い肉料理やフライ、サラダなどが美味しそうに並べられていた。食事をしているとジットが話しかけた。


「軍に連れて行かれたけど、その後は一日一体、何をしていたのですか。」


ここで食事をしているみんなが疑問に思いいつ質問をしようかと悩んでいた時であった。




「うんそうだね。あれから俺は、マルナス軍に連れて行かれて自治軍の駐屯施設に行ったのだよ。」


とダルフは応え、それからを語った。


「駐屯施設に行ったら、あの現場に来ていたマルナス自治軍の隊の先頭に立っていた男と、取調室で話し合った。名はランダ。」


「ランダは、このハッシュリー地方の地方軍所属で、オニッシュ村などがあるハリ自治区の監査を行っている人物らしい。階級は准尉。」



「准尉って偉いの」

とセラが質問を投げかけた。


「ちなみに、将校より下の階級、主に軍曹などは出身地域の自治区からやっていくのだよ。ちなみにラームは軍曹なのだよ」と亭主は応えた。


「へぇ、パパよく知っているね」


「何年この通信情報商業共有ギルド「泣かない宿」のオニッシュ村の店の亭主やっているのだ」と亭主は自慢げに語った。



そう言ってジットがふと思った

「あのラームで軍曹か、マルナスは世界の各国と比較してもそれほど大きくはないから、軍事力も大きくはないから隣国の内戦や覇権争いや戦争に巻き込まれるとは限らないしましてや侵略戦争から守っていけるのかも心配って亭主が言っていたのに、軍の階級制はきびしいな」

と考えていたが、それよりも話を戻さなくては。


「で、ダルフさん、そのランダって軍の人に何を聞かれたのですか」とジットがお題に戻す。


「まず、ラームとの戦闘の経緯だね、ありのままのことを答えたよ」


「そして、旅の経緯だね。マルナスの東沿岸部のチルイ地方のジルワットから世界をこのユルシア大陸を巡回することが目的だと告げたがね」


「そう言えば、お兄ちゃん旅人なのだよね」


「あぁ、そうだが、かれこれ一ヶ月はもう旅しているなぁ…一ヶ月も」


「じゃあさぁ、外の世界はたくさんのモンスターや恐竜とかいるの?」


「あぁいるとも、ゴブリンやオーガやレックスにラプトルそれに、山の上の方だけど、ドラゴンらしき姿も観たな」


「ド、ドラゴン」


同時に俺とセラが驚いた。セラは、驚きひきつった顔をしていた。無理もないドラゴンなどの幻獣を見てきたとなれば、驚きを隠そうと思うのが無理のあることだ。シカやクマやゴリラやサルやイノシンやオオカミなどの動物や、ゴブリンやオーガやキノコのお化けやアンデットなどのモンスターがいる。そしてまれに恐竜もいるのだと…いやそれが当たり前なのだと思うのが、村や町で暮らす人々の常識的な事になるのだから…動物やモンスター以外のドラゴンなど幻獣は旅に出てみないとわからない常識だ。しかしこの少年だけは、違った反応を見せていた。目を輝かせて、笑顔で喜んでいたのだ。


「お兄ちゃんそれ本当なの。本当にドラゴンはいたの。」


「あぁいた…対峙した訳ではないが、翼の生えた竜が空を飛び立っていた。あれは間違いなくドラゴンだ。」


「スゲー。本当にドラゴンはいたんだ。オヤジ、俺は将来絶対ドラゴンを倒してみせる。そしてオヤジやセラにも見せてやるぜ」


「ハハハ、それは楽しみなものだ。何年先になるかわからないが。」


「なんだと。」と二人は話した。するとそこにセラがこう言った。


「じゃあ私はジットより先に、ドラゴンを倒す。」


「え?」


二人は鳩が豆鉄砲でも食らったかのようにきょとんとした顔をした。そして次の瞬間。


「えー」


二人は大声を出した。セラの発言を理解したのである。



「ちょっとまて、セラちゃん。(お前がドラゴンを倒す?)ハハハ、面白い冗談を言うね。おとうさん違う意味で嬉しいぞ。」

「違うよ、おとうさん。冗談じゃなく本当に冒険に出て倒すのだよ。このダルフさんみたいに」



「いやいや、ちょっと待て、女のお前がそんなの無理だろ。第一に武器も持ってない。それに持っていたとしても扱えないだろ。」


「武器なんてダルフさんも持ってないよ。」


「ダルフさんは経験や武術流派を習得しているのだよ。」


基本的にこの世界では、素手を使って戦う拳法や柔術、刀や槍や弓を使った刀流に槍術に弓術などもある。戦い方や人により編み出される流派が数多く存在していた。


「そうだよ。ジットの言う通りだ。辞めなさい。」


別に武術や流派に頼らなくても、アニマがある。


「!!!」


「昨日、ダルフさんがラームを倒したあの炎を出した技、あれアニマでしょ。私知っているんだから。」


「アニマ・・・セラ、お前知っていたのか。これこそが武術や流派やましてや武器に頼らなくてもいい手段があることを。」とオヤジはボソリと告げた。


「うん、前旅の人と話すときや昔の仲間の人やギルド関係の仲間の人と話している時に、何回か聞いている時にわかってきた。そして昨日ダルフさんのあの技を見て確信が持てた。」

「そうか」とオヤジは言った




「・・・」

俺は何も話せなかった。俺の知らないことをセラが知っていて、驚いて話せなかった。そこにセラには更に追い討ちをかけるように、ダルフに質問をした。


「ねぇねぇダルフさん、私にもアニマを教えて」


「あーずるい、俺にも教えてよ」と俺が言うと。


「なによ、ジット。あなたには、パパがいるじゃない」とセラが言うと、亭主が「そうだ俺の修行は嫌なのか。それよりセラちゃんパパよりどうしてダルフさんを選ぶのよ。」といつも男気が溢れている亭主が今回だけは情けなくしょぼくれたように言っていた。



「いやオヤジ、別に嫌って訳はないんだ、セラが教えて貰うなら俺もって思っただけだよ。それを言うならお前こそおやっさんに教えてもらえよ。」


「そうだよ。パパならジットに教えている修行よりも、特別にコツとか、いろいろと分かりやすく教えてあげるから。それにダルフさんは旅人だよ。いつもまでもここに滞在している訳にはいかないでしょ。」と亭主がさらに情けなくなってきた。とそこにダルフが応えるように、話した。


「それが軍のランダって人に、少し私の監査期間はこの村に滞在して貰うことが、軍のメンツを保つための条件を出してきてので、それを飲んだのだよ。なんせ飲まずに出発すると軍に攻撃した扱いで指名手配扱いにしなければならないからね。一応向こう側に非があって、もラームはこのマルナス軍の人間だからね」とランダから言われたことを、ダルフは語った。


「なら、修行を付けてもらえるのですか」とセラやジットは、笑顔で言った。


「おいおいそんなことダメだろ。」と亭主が口を挟む。


けどダルフは、「まぁいいですよ。特にすることないですし、先ほど言ったように軍隊さんがいる間はいてくれってことになっているので。」と言う。


「やった」とセラやジットが大声で喜ぶ。


「もぉうるさい、今何時だと思っているの。いくらダルフさんが戻ってきて話が聞けるから店が終わったらパーとするからってもう深夜よ、明日にしなさい。」と亭主の奥さんでセラのお母さんが言ってきたのだ。


「はい、じゃあダルフさん明日お願いね」とセラが言い。


「わかりました。じゃあまた明日、おやすみ」と言ってジットは、店を後にした。


「じゃあダルフさんも、これ部屋の鍵ね。宿屋は左隣の棟だけど、私たちの住まいは奥の離れにあるの、その1階の玄関の直ぐにある部屋ね。普段は物置として使っているけど、話を聞いて寝泊りできるように整理しておいたで。家賃は修行をみる講習費でいいかしら。」と亭主の奥さんは言った。




「いえいえ。むしろありがとうございます。宿泊費まで考えてくださって、自分のこれからのこの村にいる滞在期間をどう過ごすか悩んでいて、この宿屋に来てよかった。」とダルフが言った。



「おいおい、ちょっと待て、我が家にダルフさんを泊めるつもりかい。わざわざ空き部屋があるのに。なんでうちに泊める。それにセラだっているのに」と亭主が言った。


「別に、私たちの寝室は2階じゃない。それにわざわざ宿部屋に泊めるなら、維持費の足りない分はあなたの小遣いから引きますよ。」と奥さんが亭主に訴えた。


「え、あ、あ、わかった」と唖然として返事をした亭主。


「じゃあよろしくお願いね」と奥さん。


「あ、はい。わかりました。では部屋へ行きます。今日はこれで、当分お世話にします」とダルフは返事をする。


「はい、おやすみなさい」と夫妻は言う。



次の日の朝


オニッシュ村、外の草原


「おはよう、さてお二人の修行を始めようか」


「はい、お願いします」とセラは生き生き。


「お願いします」ジットはひねくれながら言った。なぜならセラと同じ屋根の下で寝ていたことに、しょぼくれている。


「じゃあまず、アニマについて説明するね。」


「アニマ。それは生きる者。全てが体の中に宿している潜在的な力のこと言う。別の名前では魔法や念とも言うが、基本は魂のことさ。」


「とまぁ、説明はこれだけだ。説明しても何も始まらないし根源を考えても・・・今の君たちにはまだ先の話、アニマを使えて更に極めてから考えればいいさ。」


「まずアニマを自然に出す為に基本的なことをやるぞ。」



「目をつぶって、立っている。」


「え」二人が驚く。そして「それってどういうことですか」と質問する。


「簡単だ、ただ目をつぶって、その場でふらつかず立っているだけ、ふらついたり倒れたりズレたらおしまい。じゃあ始めるぞ、3,2,1、はじめ」とダルフが急かす。


「え、うーん」と目をつぶりただ立っているだけの修行が始まった。


目つぶり初めて直ぐなのに、こんなに疲れるのだ。なぜもうふらつく、頑張って耐えようとしたが、俺は前から倒れていった。


ドシャン


「ジットもバテたのね」そうか、セラはもうとっくにバテているよな、そうだとも俺より先にバテてなくてはおかしい。・・・ん、そう言えばセラのバテた時の声が聞こえなかったな、気絶したのかでもさっき声がしたし、なんでだ。

「よし、ひと休憩も終わったことだし、もう一度やってみるか」


「ええ、ちょっと休ませておくれ」


「そうね、ジットはさっき終わったし、休んでいて。私一人でやる。」


セラが疲れた顔をしながら、楽しそうに目をつぶり始めた。


「いや、セラがやるなら。俺も続きをやる。」とジットが威勢を張って這い上がって膝に手をつけて立ち上がろうとした、その瞬間に全身の力が抜けて、倒れ落ちた。


「あれ、なぜ」ジットが不思議そうにしていた。


「じゃあ、ジットはそのまま休みながら見てなさい」とダルフが言ったので、ふたりの様子を観察してみた。


するとダルフがセラに手をかざした。そしたらセラの体がラームを倒した時のダルフさんみたいに、うっすらとだが少し光りだした。とその瞬間にセラ膝から倒れ落ちた。


「あぁだるい、疲れる、もうちょっといけるのだけどな」と悔しそうに言うと、そこにダルフがつぶやいた。


「いや、頑張ったよ、アニマの着火が早くなった」


「アニマの着火」とジットが疑問に訪ねた。


「そう、アニマの着火。これがこの修行の目的。アニマを自然に着火すること、いわゆるアニマ自らの意思で使えるようにすることなんだ」


「それで、ダルフさんはセラに手をかざして何をやっていたのですか。」と新たに聞き返す。


「あぁ、これはアニマを目覚めされるに為にアニマを使って火をつけているのだよ。そもそも説明したようにアニマは魂みたいに体にある潜在的な力の事なんだ、本来は自然に目覚める力なんだよ、力に目覚める人は、軍やギルドなどの人たちが訓練や試練から目覚めて使えるのだよ。

 それを修行で目覚める為には、アニマをかざして自然にアニマを目覚めさせる。それがいい方法なのさ。火がくすめば、その後は亭主さんが一人前になるまでまた修行ができる、少しキツくなるが大きい力になるよ」と説明した。


「そうなんだ、じゃあもっと修行を続けなければ」


「いや、もうジットはある程度、アニマが目覚め始めている」


「それにジットはさっき1時間もやっていたのだよ」


「ええ、1時間も。始まってすぐに倒れた記憶しかないんだけど」



「それがこの修行の大きな特徴なんだ、アニマを目覚めさせることは、魂に話しかけることなんだ、だから受けている側は、深層心理に入ってすごい集中している状態と変わらないんだ。だから人の声も聞こえない、時間が早く感じるんだ。」


「でもまぁ、目覚めかけている力と一緒やっていたら、まだ目覚めの兆しが来ないセラのアニマが芽を出すかも知れない」


「そうなの、ならジットすぐに立ちなさい、私のアニマのために頑張るのよ」



「えぇ、なんだそりゃあ。でもセラの力が目覚めるならいいし、それに俺の力が形になるなら」といい二人はまた立ち上がり目をつぶって修行を再開した。ジットは今度は深く潜れてるみたいで安定し始めている、亭主さんいや「天樹」の修行のおかげだな、基礎ができている。それにセラの方もジットの力を借りているのもあるけど娘ってこともあって、目覚めがいい。


これなら一人前になる頃は大きな力になっているだろ。修行をやり直して2時間が経った頃に二人は休んだ。


「やぁお疲れ、今回はお互い結構長く経っていられたね。その分アニマの器ができたよ」


「え、私も」


「そうだよ、セラもジットと同じようにアニマの形が成ったのだよ。ジットが力を貸してくれたのだろ」


「じゃあ、アニマをもう使えるの」


「いやそれはまだだね、それとこれとはまた別の話だし別の修行だね」


「なら早く次の修行をやろうよ」


「いや今日は、ここまで」


「ええ、なんでなんだ。早く次の修行をやろうよ。まだ私たちやれるし、日もまだ明るいし。」


「いやだめだ、今日はアニマを人為的に目覚めるのを早めた、さっきも言ったようにアニマは何かしらのきっかけと同時に目覚めるものなんだ。だから体がまだ消耗に気づいていないのだよ。今日はここまで、それに今日でアニマが形としてなるとは思っていないのだ、だから消耗による疲労感はハンパない最悪下手に修行を続けてアニマや体が動かなくなったら元もこうもない」


「そうなんだ、ならわかった今日はここまでにするよ」と二人はわかってくれたように、村に帰り始めた。村の門に着くと、いきなり村の中心の鐘楼の鐘が鳴りだした。


ゴーン、ゴーン、ゴーン、といつもとは違う鐘の音が鳴っていた。


「なんだ、いきなりどうしたんだ。」


「ちょっとこの鐘の音って、敵襲」


「敵襲って一体、何なんだよ。軍、モンスター」状況を知るために門兵に聞いた。


「まだ正確に規模はわからないけど、どうやら、最近の討伐目標のオーガオールの関係のオーガやウルフェンの群れがこっち向かってきているみたいだ」


「だが、モンスターには分が悪い。こっちには中央の方から来た地方軍の人たちがちょうど訪問してきているからな。モンスターの群れも直ぐに片付くさ」と村の人たちが自慢げに語る。


「なら安心か」とそこに更なる、鐘の音が鳴り響いた。


ゴーン、ゴーン、ゴーン、と草原の方からオーガやウルフェンの群れがやってきた。


「自治軍は門や壁の付近で陣形を作り待機、後は俺が相手する」とランダ准尉が門に来て軍の人たちに指示をしていると、こちらの方に来た。


「やあ、君たちもここにいたのかい。なら早く村の中の方に行きたまえ。これから戦闘になる民間人を守るのが我々の役目なんでね」と偉そうに語るのもムカついたが、俺たちが今日この修行ができたのもこの人のおかげであるから、素直に避難しようとしたが



「おいそこの者、旅人。ダルフ。ちょっと待て」とランダが呼び止めた。


「あ、なんだよ。軍隊さん、まだ用があるのかよ」それを言ったのはジットであった。


「ちょっと、ジットには関係ないでしょ。変に絡んで迷惑かけてこれ以上ダルフさんに困らせないでよ」とセラが呼び止めた。


「で、まあこの子達の言う通りにまだ俺になんか用があるのかよ」とダルフさんが喧嘩売る様に言った。


「ふん、挑発的だね。だが、まあいい。今回は別の要件だよ。我々と一生にモンスター退治に協力してくれないか。軍曹か、うちの者を倒したのだ」とまた偉そうに語る。


「断る」とダルフも歯向かう。


「ならいいだろう、今ここに通信機器のスポットがある。これを使って地方本部に連絡してダルフ貴様を、国家反逆罪にしてやる」と更にランダは脅しをかけた。


「准尉それは、おかしいのでは」


「きたねぇぞ。それが軍のやることか」ジットは怒るように抗議した。


「わかったぜ、やるぜ」とダルフが冷静にすました顔で言った。


「ちょ、ダルフさんそれはおかしいよ。いくらなんでも脅されたからって、やらなくても」


「そうよ、ジットの言うとおりよ」と二人はダルフを呼び止めた。


「いや、脅しは別に意味はないだろう。昨日ランダ達は監査でこの村に来たって言ってた」


「だからなんなのさ」




「いわゆる、ランダ。彼以外は戦闘兵では無いということだ。昨日やここにいる兵達からしてそう見えるし、兵たちの焦りよう、それに兵の展開がおかしいあまり広げずに本当の戦争でもやるような配置だ、おかしすぎる」とダルフはなにもかも事情を知ったように話す。


「ふう、やれやれ。昨日しゃべりすぎたかな。そうだとも、今や自治の少数の兵か俺以外実戦向きの兵はいないんだ。あとは砲術を使うモノたち。それにアニマは俺だけしか使えず、手が足りない。自治兵たちは、門近くで村に来る兵の最終防衛だけ、村の防衛とは言えない。ので力を貸してもらいたい」とランダは言った。お辞儀や頭も下げずに。


「わかった、それよりジットたちは早く避難を任せたい」


「わかった、ダルフさん頑張って、さあジット行くよ」


「お、おい俺も参加するぜ」


「バカいっていないで行くよ」とジットを引っ張るようにセラが連れて行った。


「じゃあ、お願いする」とランダとダルフを一緒に戦場に向かう


「おい、離せよ。俺も戦闘に加わりたかったのに」


「ふん。馬鹿ね、あそこでダダこねてもどうせ他の軍の人に連れてかれるよ。監視付きでね。」


「なるほど、でどうするの」


「こっちの方に抜け道があるのよ」


「おぉ、なんでこんなの知ってんだ。それはジットの修行をのぞき見してたのよ」


「はぁ」


「大声出さない、周囲に気づかれる。行くわよ」


「お、おう」

建物と建物の間の小道を歩いてぬけると、そこには半径15cmほどの木の丸太材が2m辺りの高さまであり、その先は鉛筆のようにとがったように削られた柱が建っていた。それはさっき居た門から連なっていた壁で門から何十何百と建っていた。


「なあ、壁があるどこにも抜け道はないよ」


「馬鹿、ここじゃないよ。こっち」とセラはジットの手をつかみ、引っ張りながら走る。壁沿いを走っているとたまに体を横にして肩や背中、腹を擦らせながらゆっくりと歩く幅しかないときもあったけど、それでも走る。


「おい、抜け道なんてぜんぜんないじゃんかよ」


「うるさい、黙って走る」

そう言われながら走っていると、丸太材の木の壁が無くなり自分たちの背丈の高さの垣根が連なった。すると少し10cmと間が空いた垣根があった。がセラはさらに背をかがめ、匍匐前進をするように垣根を潜り抜けようとしていた。そう見ているとセラが50cmくらいの幅がある垣根を越えていて立ち上がりジットを呼び寄せ、壁の向こう側にあった木々に向かおうとしてたので、俺は置いて行かれないように急いで垣根を潜り抜けセラを追った。


「なんだよ、ここは俺は知らないぞ」


「ここは果樹園や野菜畑などがある。農業地域よ、ここなら戦争になってもいいように自給用や市場に置かれてる分もあるよ、なぜ知っているかはここは店の食材を八百屋の人からもらう時に案内されたからよ」


「それはわかったけど、なんでこんな低い草木に囲われているのだよ。これだと敵やモンスターの襲来にぜんぜん守ってくれないだろ。さっきまでの丸太の木の方が安全のように思うぜ」


「それは、まず垣根が特殊の香りを出す木で、モンスターや獣はこの香りを嫌がってこないのよ。そして人敵用にもトラップが仕掛けられているのよ。」



「おいおい、ちょっと待て。それじゃあ俺たちもそのトラップの餌食になるのじゃないかよ」といい、ジットは思いっきりブレーキをかけて足を止めた。


「もお馬鹿、言ってないで行くわよ。そんなトラップにかからないように私がいるでしょ。私は何回もここを往復しているのよ」そう言ってセラは駆け抜けていくので、しょうがなくジットも追いかける。すると木々を抜け、また垣根が連なっていた。がセラは避けることなく突っ込んでいった。またジットは足を止め、セラに言った。


「セラ待て、ぶつかるぞ」がセラはジットの呼びかけを無視して、突っ込むと垣根が左右に避けるように引いて、ちょうど人が通れるような隙間ができて、セラはその隙間を駆け抜けていきジットも後を追いかけて垣根を越えた。


「ふう、なんであぁなるってわかっていたんだ」


「それはここを始めて通った時にウサギがいたのよ、そのウサギは垣根に行ったはすると垣根はさっきみたいに避けた。それで私も後を追って試したら今と同じようになった訳よ。もういい、さっさと行くはよ」


「おぉ「くそ、なんかセラはおれの知らないことが多すぎて、悔しい」」セラと一緒に駆け抜けた先には、ダルフさんと軍人のランダさんがモンスターと戦闘を繰り返していた。


「すごい、これがアニマを使った戦い方」


ダルフさんの力はラーム戦でも見たけど、一頭一頭で迫りくるウルフェンには拳や蹴りをかます肉弾戦でウルフェンを倒していき、複数で迫り来る場合には炎のアニマを放出して一掃していった。その戦いぶりには数多くの経験があることが伝わりあれはドラゴンとも一線をしていると思える程の強さに思う。そんな俺がダルフさんの戦闘に夢中になっていると、セラが軍人のランダを見て感心していた。俺もランダの戦闘を見ると、ランダはダルフさんみたいに肉弾戦をせず、アニマを使った戦い方をしていた。右手をウルフェンに構えてその手のひらからミニボールくらいの光弾を一直線に放ちウルフェンにぶつけ爆発させる、一頭一頭光弾をぶつけて倒す、希にウルフェンの俊敏性が優って避けられるが数をものすごいスピードで減らしていく。その二人の姿はまさに無双だ、と二人は圧倒された。

そして二人は、ウルフェンの数を減らしたらオーガに向かった。オーガはウルフェンとは違い鈍行で俊敏性は無いが、図体の大きい部分、強固で図太い腕からなす握力は半端なく骨や岩を砕くほどの力である。

そのためにもアニマを受けても怯まないが、ダルフが手から放出して炎がダルフの右手の辺りをまとわりつくような動きをして、前後に伸びていき槍の形をしだした。そしてオーガに向けて構え投げ放った。オーガの体の真ん中に命中してオーガの正面が爆発した。そして背中から炎が噴出した。ランダの方も負けじとさっきまで放出してた光弾とは違う大きさの光弾を解き放ちオーガを吹き飛ばした。


「すげぇオーガをもろともしない。ダルフさんもすごいけど、軍人さんもすごい。あれで准尉なら、その上の階級の人たち、中央軍本部はどれくらい強いのだろう」と二人がオーガの退治も終わりかけているとそこに、一頭のウルフェンが私たちの方に襲いかかってきた。


「きゃあぁぁ」


そこにセラがあまりに実戦経験もないあまりに悲鳴を叫んだ。そこにオーガやウルフェンなど辺りの敵を倒しきった二人が気づいた。


「くそ、遠いし、なんであんな所にいるのだよ」とランダが言う


「そんなことはどうでもいい、とりあえず行くぞ彼らを助けなければ」と二人はジットやセラに襲いかかろうとしているウルフェンに向かって走った。しかし、ウルフェンの移動速度にも追いつけず、ランダの光弾も走りあっているのでうまくウルフェンに当たらず、そのまま二人の方に向かっていく、そこでジットが持っていた弓矢を取り出しウルフェンに放った、しかし当たらず何度も何度も放つが躱された。


「くそぉ」


「きゃあぁぁ」


そしてウルフェンはふたりに噛み付きかかろうと飛び跳ね上がった。ゴン、と鈍い音と同時にウルフェンが、きゅんぅ、ひ弱な鳴き声がしたがすぐさまランダが光弾で倒した。同時に二人の近くでガシャガシャと鉄製の足音がした。その音の方に目を合わせると、そこには鉄製の鎧がいた。と同時に元は白色だと思うロングジャケットが薄く汚れ灰色になっていれ袖の部分は肩から破れ剥がされて筋肉のついた強固な腕がされけ出されて、ジャケットの下には下着の服を身につけておらずジャケットとジーンズに軍隊用ブーツを身につけた、男がウルフェンを追い払った、鎧の少し後ろの方から現れた。


「ガキンチョども、無事か」



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