FANCY
俺「・・・ここは、これが」
さっきまでのつまらない自分の部屋とは大違いに、目を開くとそこはログハウスのように、生々しい木の板が引き締めな天井があった。最新プリンターでキレイにした木の板のようではなかった。
俺はベットから起き上がると、自分の服装はGパンに白のタンクトップ姿だった。よくあるゲームアバターの初期設定の姿だ。
そう思いながらも、木の扉を開き外に出ると、当然のように光の眩しさに目の前が真っ白になった。少し経って目が光になれるとそこは草原の真っ只中だった。扉から出て閉めると、木の扉は消えていった。
俺「HUNTERFUNGもすごかったが、実際に自分で体験するとすごいや」
そう思いながら、草原を歩いて行った。
とある村で、いろいろな人がいて賑わっていた。市場で店を出す人間やそれを買う人たちで、身動きがとれないくらいだ。
「御霊は、現世に召喚された。主は告げた。この世界は汝らが作るのだ。汝らは・・・」と中央の広場で、叫んでいる司祭が宗教演説をしている。
女性「はぁあ、なんといってもまずは、衣装よね」
と女性はオプションの白のタンクトップから、白のノースリーブのYシャツに着替えて、Gパンから赤チェックのプリーツのスカートにニーソックスに着替えていた。
女性「後はおまけにアクセサリーや髪色を変えたいのにな・・・まぁお金を貯めるしかないか・・」
女性はがっくりと肩を落とすけど、すぐさまに顔を上げた。
女性「その前に、自分の力を知るためにも、鑑定婆の家に行かなくては」
女性は鑑定婆の家に向かった。
鑑定婆の家
ここでは、旅の基本となるアニマの質を鑑定してくれる店である。
アニマは、それは生きる者。全てが体の中に宿している潜在的な力のこと言う。別の名前では魔法や念とも言うが、基本は魂のことになる。
それがこの世界で、冒険してくには必須の力だ。アニマを知って自分を知るみたいに、アニマは人それぞれに違って同じになることは無いと言われるほどだ。
鑑定婆「お主のアニマは・・・外系じゃな!外系は主に、自分とは離れた場所からアニマを使える事を意味する。そしてお主の場合、表現するのがうまいと見た。何か絵など実物に変えれるような力じゃ!だがしかし、m生き物はムズイじゃろう・・・まだそのへんはまだわからないのだろう」と私を見ながら言った。すると鑑定婆は、机の下からカードを取り出し、女性に差し上げた。
鑑定婆「これを持っていくといい!旅のはじめなら役に立つ」と言って、5枚のカードを渡してきた。
女性「ありがとうございます」とお礼をして、振り返り店を出ようとする。
鑑定婆「ルナ!、気をつけていってらっしゃい」と言って送り出してくれた。
ルナ「ありがとう!行ってきます」笑顔で応えて、振り返りながら進むと、人にぶつかった!!
ぶつかった衝撃で、ルナは尻から床に向かって倒れ掛かるが、男に腕を掴まれ引き込まれて、床に倒れずに済んだ。
ルナ「あ・・ありがとう。・・・ってか!あんたがぶつかったんでしょ!」と逆ギレをする。
男「す・・すみません」と言って、手を離し頭を下げて鑑定婆の方に、行く。
ルナ「・・・・・うん~もぉ!」と思いながら、店を後にする。
ルナ「せっかくのこれからの旅だ!ってテンションが台無しだよ」
外へ出ても、イライラしていたが切り替えて、鑑定婆からもらったカードを見た。
ルナ「炎に、水に、雷に、草の蔓に、十字架かぁ、まぁ基本的なマジックだな・・・でも、使い方が肝心だよね!ちょっと試して見るか!」
そう言って、村の路地に隠れて、カードを表現するのを試みた。まずは炎のカードを持って・・・。
ルナ「鑑定婆の話だと、念じれば発動する。内系や体系なら動作などでできるが、外系はイメージで発動をさせるかぁ」
ルナは目を閉じて、カードを持ちながら念じるが・・・数秒で辞めた。もし手元で炎が飛び出したら、大やけどして危ないと思った。
ルナ「・・・う~ん。どうしよう」
ルナはその場で座り込み、膝を抱え込んで悩みだした。
ルナ「うぅ~なんで、こんな能力なのよ~!絵を表現とか・・・まぁ確かに私は絵を書くのは好きだしデッサンなどでの美術の評価は良いし・・・けど、なんでこんな能力なのよ。動物テイマーが良かったな!か、シューティングゲームみたいにガンナーとか」
と言って、持っていた炎のカードを投げ捨てた。それと同時に発動するのかと期待をしたが何も怒らなかった。それを見てルナはさらに膝を抱えて落ち込みイライラしだした。
ルナ「もぉ~なんでよ~」
頭の中で、炎なんだからぼぉんとかぼぉおおって燃えるでしょ!と思っていたら、急に目の前が暖かくなりだした。
顔を上げて、前を見ると、カードの上から炎がメラメラと燃えていた。
ルナ「え、えぇ!やったぁ!」
喜びと同時に、飛び上がった。
ルナ「やぁ~暖かい!」
少しの間、炎の近くで暖を取っていたが、ふとある肝心なことに気づいた。
ルナ「これ消すのってどうしたらいいのだろう。そうだ・・・これが着いたのは思い浮かべた時だから、逆もあるんじゃねぇ」
そう思ったら、ルナは消えるイメージを頭で思い浮かべた。・・・・・・・・しかし、そう簡単には思い浮かばずに煙が出る感じ位しか。
そう思っていると、さっきまでメラメラと燃えていた炎が、お線香のように煙しか出してなかった。靴で踏み潰した。
ルナ「ふ~う、消えたな」
それから、炎のカードを置いていき、その場を立ち去った。
村の広場を歩いていると、さっきまで宗教団体が活動していた場所に、また人が賑わっていた。
興味を持って、奥へと入っていくとそこには、男が5000と賞金を掲げて戦う相手を集めていた。5000は旅の資金としては十分な程の量だった。
村人A「おいおめえ、行ってみたらどうだ?」
村人B「いやいや、ありゃ結構やるやつだよ!肉の付きかたが半端ない」
と村人達がガヤガヤと言うと、ルナはよし決めたこりゃ私が行ってこの人生ウハウハ気分来てやると思って、前に出ようと思った。
ルナ「私が・・・」
男「俺と勝負や!」
とルナの隣にいた男が、大きな声で吠えた。
そして、今
私は、懸賞金をかけて男と戦う試合に挑戦しようとしていたが、他の挑戦者に先を越されてたのだ。
そいつもたぶんプレーヤーだ!
そのプレーヤーは、初期設定の白色タンクトップに青いGパン。そしてビーチサンダルの服装のままに登場した。
対する相手は、ボクサーと言えば、伝わるだろう上半身裸に赤いボクサーパンツを穿いて、同じく赤いブーツ。ただ違うのは、グローブは付けておらずに素手だった。まぁゲームで言うウォーリアだ!
村人A(おいおい、みんな面白いぞ!闘士対若者だぞ!)
大きな声で、周りの人々に伝えた。すると、その男の仲良しなのか、3人の男が加わり出した。
B(どっちが勝つんだ?)
C(俺は、闘士だな!さらに懸賞金をあげてくた暁にや、俺が倒す。それにあの兄ちゃんの格好を見ろ。防備の欠片もなってねぇ)
D(いやぁ、俺は若者に懸ける!)
ABC(!!!)
3人は、驚きの顔をした。
A(おいおい、マジか?)
D(あー!あの兄ちゃんは必ずヤってくれる)
しかし、男は冷静に答えた。
B(きゃ~おもしれぇ!乗った賭けやろうぜ?)
それを聞いたら、勝った事を確信したか?賭け事の話を持ち出した。
C(良いぜ!おい今さら変えても良いぜ!しかしその賭けは無しに成っちゃうがな)
笑いながら、冗談半分に言った。
D(異論はない)
が男の考えをは、変わらなかった。
A(後で後悔するなよ)
B(そうだぜ!)
2人は威張り散らすが
D(お前らもな)
冷静に言い返した。
C
そのやりとりを聞いた私は、金が儲かったと思い。
ルナ(その賭け私もいいか?)
と私も参加の申し立てをした。
A(お!良いぜ!姉ちゃんはどっち懸ける?)
ルナ(私は、挑戦者だ!)
当然の格好を見ると、闘士の方が勝つだろう。しかし、挑戦者はプレーヤーだ!プレーヤーなら必ずアニマを使う。ならどんな格好でも、一発逆転がある。それにこれは、ボクシングじゃない!
B(おいおい、姉ちゃんも頭おかしくないか?今ならやり直せるぜ?)
ルナ(心配無用?なんなら、若者が負けたら、変わり私が闘ってやる?しかも負けた時は、倍額でな!)
一瞬時が止まったかのように、村人達は喋らなかった。が
ABC
C(こりゃ参ったぜ?良いぜ!良いぜ!正し負けて払えない時は、楽しませてもらうぜ!)
その男は、私の身体を観ながら、唾を啜った。それに気がついた他の村人が、
(あぁ~てめえずるいぞ!俺らにも分け与えろ!)
と私が負けた瞬間に、売?は確定となった。
なので、勝て!
挑戦者!!!!!!
村人A(お前にかけたんだから頼むぞ!)
言ったらその言葉に答えて闘士は手をあげた!
闘士(分かってる)
村人B(ぎゃはははは。頼むぜ!)
村人A(さあ若者よ!どうするこんなにもギャラリーは俺の味方でお前の味方のなるものは誰一人もいないぞ !)
闘士の言葉に対し挑戦は、ただ黙った。
しかし、それ以上にムカつくのが、闘士は嘘をついているのが、ムカついた!だって、私と村人がいるもん!最低二人はいるよ!村人はシステムでも、プレーヤーはいるぞ!
イライラを他所に、二人の試合は始まりを告げるゴングも無く、始まった。
闘士からの先制攻撃で!
闘士
と掛け声と共に、走り始め挨拶代りの左ジャブを始めた。
ルナ(うわぁ、初歩的な)
完璧な独り言を言ってしまった。今思うと恥ずかしい。
しかしここは、夢の世界なので自分で言っていることでも、外に出てしまう。気を付けなくては。
下向いて、恥ずかしさを感じながらも、試合は私とは関係なく。進んでいた。
闘士は、ボクサーの基本的な闘い方である左、右のコンビネーションや打っては離れたり、アッパーやボディなどへのブローなどをしているが、挑戦者のダメージは無かった。
しかし、全ては避けきれてなく、むしろ、結構殴られている。
大きいのは貰っていないが、やはり一番はアニマによる身体能力の強化が大きい。アニマは、常人より少し身体が強くなったり、特殊な力に目覚める。
避けるばかりで、攻撃してない挑戦者。
しかし、始めての右パンチを出したが、闘士はその右腕の外を回りながら、殴り返した。
カウンターだ!
挑戦者は、まともに受けてしまい倒れてしまった!
村人
村人は、一斉に大声を出し叫び上がった。勝利を確信したのだろう。
ルナ(うそぉ!おいおい、起きなさい。ってか立て!立ち上がれ?)
私は挑戦者に向かって、叫んだ!当然だ、挑戦者に大金を賭けているし!売女いや肉体○○や○便器になってたまるか?
声がはち切れるくらいに、叫んだ途端、挑戦者は立ち上がった。
それを見た村人は、一斉にブーイングの嵐になった。倒れてから起き上がるなって言わんばかりに。しかし、ブーイングは、次第に闘士に向かって、(挑戦者を今度こそ倒せ)に変わっていった。
闘士(おう!)
闘士は、右腕を突き上げて、勝利を確信した?
しかし、挑戦者は右手を広げて、前に突き出した。
次の瞬間、挑戦者の右手から、黒い球が出現し、闘士を後方の壁まで弾き飛ばした!その後、闘士は気を失ってしまった。
この瞬間、挑戦者の勝利が決定した?
しかし、村人は納得せず、(ふざけるな)と言い出し、物を投げ付けるほどの大ブーイングとなった。
挑戦者は村人の一斉のブーイングにより怯えだし、膝を曲げ両手で頭を抱えながら殻に籠るようにその場から動かなくなった。
村人 A(なんじゃそらそれで勝ってよ、嬉しいのか?答えろボケ)
村人 B(そうじゃ、そうじゃ、恥を知れ)
罵声を聞いた挑戦者はより一層、殻に閉じこもった。
それらを聞いた私はいてもたってもいられなくなって挑戦者の前に行き、挑戦者を守るように立った。
ルナ(皆さんおかしいですよ!だってそんな拳どうしでの決着だなんて言ってませんじゃないですか?)
村人C(うるせぇ!アマ、賞金が欲しいからって、助太刀てんじゃねーよ)
私は更にむかついた殴り合いという決着とルールもないのになぜそんなにみんなは怒るのか?
そして、自分達の都合で怒り出すという醜態を見た、私はさらにむかつき心の中からこみ上げてくる炎が一気に爆発し、大きな叫び声で(ワァー)と叫んだ。
すると建物附近で高さ6メートル程の火柱が立ち上がった!
それに気付いた村人達は一斉に慌てだし、火柱の方へと駆け寄った。火事だ、火事だ、火を消せ!村が燃えるぞ!
それを見た私は、先ほど練習したアニマの場所辺りではないかと思ったしかも火は消したはずなのにまた燃えるとは、まさかまだアニマは続いてたなんて思いもしなかった。
しかし私はこれはチャンスだと思い、挑戦者の腕を引っ張ろうとしたが硬くなに動かなかったので、横から突き倒し挑戦者が体を崩れた時に大丈夫と一旦聞いてから、腕を掴み(逃げるよ)と言って、その場から立ち去った。
広々とした草原の中で、二人の若い男女が息を切らせていた。
ルナ「ふ~う。なんとか逃げ切れたね」
後ろに振り返りながら、言った。
青年「・・・」
何とも言わない青年似たして、ルナは少々苛立ちを感じていた。
(何も言わない喋らない、蹲っている。ホントになんやコイツ!お礼も言わないの?)
青年「・・・」
そう思っていると、青年はかなり小さい声で、ボソボソと言っている。それに気づいたルナは、聞き取るために顔を近づけた。
青年「あああああ、あい・・あり・・が・・・ありが・・とう・・・・・・」
ルナ「?」
青年「あり・・あ・・とう・・が・・あ・・ありがとう」
ほとんどボソボソと小さな声だったが、最後のありがとうはムキになったのか、少し大きな声だった。
ルナ「!」
ルナは、ボソボソ声だったのでか、お互いの顔が30cm以内まで近づいていたので、ビックリして、体が反射的に後ろに倒れた。それからルナは、怒るのでは無く。落ち着いた声で、青年の声に応えた。
ルナ「なんだ!ちゃんと喋れるじゃん!」と言って、ルナは笑顔に笑った。それに釣られてか、青年の顔が少し笑顔になった。
ルナ「私は、ルナ!よろしくね」と手を差し伸べて、挨拶をした。
青年「あ・・・」
それを見た青年は、少し顔を下に下ろし、目をキョロキョロとした。が、焦らずにルナは待っている。それを感じた青年は、頑張るように少しずつ顔を、ブルブルと震わせながら、ルナと顔を向き合わせた。
青年「あ・・・あ・ああ・・・。」
一瞬目があったのか、青年はビックリしてしまい。顔を下げてしまった。ルナは困ったような顔をしたが、青年はすぐさまに顔を上げた。しかし、目線は左斜め下を向いているが!
青年「・・・ロイ」
ルナ「ロイって言うんだ!よろしくね」
二人は握手した。
ルナ「黒い弾出したけど、凄いね!あれって重力関係?それとも陰陽系?」
先程の戦闘で、ロイが出した黒い弾についてルナは、気になっていた。
ロイ「・・・」
下をキョロキョロとしながら、ただ黙っていた。
それを見た、ルナはゲームルールを思い出し、手のひらを重ねて謝った。
ルナ「あ~ごめん、ごめん。相手の事を聞き出すのってルール違反だよね?」
どんなに、仮装世界が楽しくても、プライバシーを守らなくてはならない。その範囲を越えるような行いは、禁止とされて、厳重な注意を貰うこともあり、最悪リンクが出来なくなることもある。
しかし、ルナは考えて手段を改めた。
ルナ「自分の事を話さずに、人の事を聞き出すのって図々しいよね!現実でもそんなことやる人は、やっぱり距離を置かれるよね・・・ごめんね。その代わり、私の事を話すね。ただ、私が話したからって、君は話さなくても良いからね!」
私はそう言って、自分の能力について話した。それを聞いていた彼は、最初は下をキョロキョロとしていたが、私の手元を見始めた。それはチラリチラリとした程だったのに、今では目や顔を見てくれなくても、手元やカードの方をずっと見てくれている。それでも私は、人との交流が一歩進んだように感じれて嬉しかったし、何より彼は、少年の用なキラキラとした目をしていた。
ルナ「以上が、私のアニマ」
自分の説明を、終えて一安心とさらに距離を置かれる事が無くて、落ち着いた。
すると、彼が
ロイ「アニマは、黒」
ルナ「黒?黒い弾の事?良いよ!別に話さなくても良いからね!急に迫っちゃってごめんね」
手を降って、話すのを止めた。しかし、ロイは、話すと言って自分のアニマの説明をしてくれた。その行為に、私はまた嬉しくなった。
ロイ「あ、アニマは、黒・・・なんだ。」
ルナ「?」
ロイ「・・・」
ルナ「・・・」
ロイ「・・・」
ルナ「・・・え?」
ロイ「・・・黒・・・なんだ・」
ルナ「えーと、黒の何?」
ロイ「・・・」
それから、ロイは黙り始めて、下を向き直した。
ルナは、心の中で、しくじりを感じた。さっきまで話せて、心の壁を減らせたと思ったのに、また距離が開いた。
そう思うと、私も頭を下げたくなった。そう言えば、思い出したことがある。このゲームは元々は精神病患者など、カウンセリングとリハビリを用いた。医療ソフトって事を!しかし、そういう人は、まず最初の村を越えることができない。何故なら、人が苦手などでは、村に行っても、すぐに出る。行ったとしても、鑑定婆は店が出現しない。これは幼稚園児も含まれる。親などが、利用者となった場合に偶然を含まれた措置だ。小学校低学年は、村を出て草原までとなっている。
しかし、ロイは、それらを越えてきた。なら、ただ人と話すのが苦手か、喋るのが苦手かも。
ルナ「ごめんね」
ロイ「アニマは、黒なんだよ」
二人は同じタイミングで、喋った。
ロイ「あ・・・」
下を向き始めるが、私がすぐさまに話しかけた。
ルナ「えーと、アニマが黒って事なの?」
その一言に、ロイはすぐに顔を上げてくれた。
ロイ「そう・・・」
ロイが喋りかけると、5体のゴブリンが襲ってきた。
これはいい戦闘練習や経験になると思った。しかし、ロイは手を差し伸べて、何かを言おうとしたが、ルナには聞こえてなかった。
ルナとロイが、草原の中で話し合っていると、4体のゴブリンがやって来た。
ルナ「ゴブリンなら良し、簡単、簡単」
ルナは、ゴブリンを見ると喜んで立ちあがり、ゴブリンに向かって歩いていった。
しかし、それを見たロイは、ルナに掴みかかるかの様に手を伸ばした。が、ルナには届かず、歩いて行ってしまった。
何故だか、ロイからは声も出さず、ただ見ているだけだった。
ルナは早速カードを出し、確認した。しかし、炎のカードは村から逃げるときに、置いてきた。手元に残っているカードは、水、雷、蔓、十字架だった。
十字架は、戦闘向けじゃなく回復と見るのがいいと感じた。残るは、水と雷と蔓…
ルナ「良し、雷だ」
ルナは、雷のカードは出したが、発動しない。
ルナ「えぇ~なんで?」
ルナ「そっかイメージか」
ルナ「・・・」
念じるが、発動しない。
ルナは、発動した頃を思いだした。
ルナ「そうか!手元から離れなくてはダメか!」
そう考えると、ルナは雷のカードを投げた。
雷のカードは、そのままゴブリン達の足元に落ちた。そしてルナは念じながら、叫んだ。
ルナ「落ちろ」
しかし、雷のカードは、発動しない。
ましてや、ゴブリンがキョトンとした後に、笑われる有り様だった。
ルナ「えーなんで?なら放電!」
またカードに手を伸ばすが…発動しない。
ルナ「うっそぉ!」
なんで発動しないのか悩んでいるうちに、ゴブリン達は急接近。ルナを囲むと、持っていた木の棒で袋叩きに、攻撃した来た。
元々の攻撃が低いゴブリンのお陰もあり、ダメージは少ない。しかし、この状態を何とかしなくてはと考えた。その時、ロイの事を思い出した!ロイは?と思いで、ロイを見ると手を伸ばしたまま動いていなかった。
ルナ「え?なんで、あのままなの?」
ロイの不自然な姿を見て驚いていた時、頭の中で…
「チュートリアルモードが解除されます。と同時に、アニマの発動が可能になります。さぁここからが、夢の世界です!存分に楽しんでください」
アナウンスが終わると、体が一気に元気になるのを感じた。
囲っているゴブリンを払おうと、手足に力を入れた瞬間。
ロイが黒い剣を出現させて、ゴブリンを後ろから突き刺し助けてくれた。
ロイ「ハァハァ、大丈夫ですか?」
ルナ「え、ええ!危ない!」
ロイの背後からゴブリンは、木の棒で襲いかかろうとしていた。ルナは手に持っていた水のカードを、ゴブリンに向けた。
その瞬間、カードから水が勢い良くゴブリンの顔に掛かった。
ルナ「えっ!できた」
ロイは反対側のゴブリンを、殴り倒した。
ルナ「なんで出来るの?さっきまで出来なかったのに」
まだ草の上に座ったルナは、発動したアニマにきょとんとしていた。
しかし、ゴブリンはそんなルナに待ってくれず、木の棒で襲いかかった。
ルナ「きゃああああ」
ロイは黒い玉を放ち、ゴブリンを弾き飛ばしてゴブリンを撃退した。
ロイ「ハァハァ、大丈夫?」
こんなセリフをさっき聞いた覚えもあるような感じをしたが、それは今気にしないようにした。それに今回は、手を指し伸ばしてくれたので、それに掴みかかった。
ルナ「ありがとう」
ロイ「・・・」
ルナ「・・・」
ロイ「・・・」
ルナ「さっきのって・・・え~、もしかして、チュートリアルなの」
ロイ「・・・あ、あぁ。そう、そうなの!」
ルナ「ってことは、あの村での試合も、チュートリアルで攻撃できなかったの?」
ロイ「そうなの、ただでさえ黒って言われて、複雑なのに・・・おまけに、アニマをイメージしても、発動しないし。殴ろうとしたら体が固まり出して、カウンターを入れられるは、チュートリアルが終わってアニマが使えると思ったら、村人から反則になるし・・・」
ロイはさっきまでとは別に、喋りだした。私はそれを見た瞬間に笑った。
ルナ「あははは、やっと喋りだした」
ロイ「え・・」
ルナ「大丈夫、大丈夫。変じゃないよ。ただ、チュートリアルがあって、集団リンチされて。それが終わったと思ったら、おしゃべりできて、あ~もう、いろいろあって疲れた」
そう言うと私は、大の字で草の上に寝転がった。




