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急にそんなこと言われても訳が分からい。もう少しこの状況が落ち着いてから話してくれないかと思いながらも必死に話を聞いた。
(その前に俺の体形何とかならないのかね)
声が出ない以上頭で会話するしかないが、相手の頭に直接話しかけるとか何処のコンビニ行けばわかるんですかねと話しかけながら僕に顔を向けた。
「あっ・・・そうだね、少し待って」と彼が言った。
その途端、彼が小さな声で詠唱を唱えボクの姿が本来の姿に足から順序に戻ってくる。
刹那、「えっ」という声が重なり合った。
目の前の僕はボクではなくまさかの女性だった事に驚きを隠せなかった。たった数分の出来事で男が女に代わるなんて見たことがあるか、否。それはない。けど、もしかしたら仮に彼女が魔法使いだったらわざと女性に変化したのではないかと考えるが、どうも「えっ」という単語に引っかかってしまう。だから、ボクは手を伸ばして本物か本物ではないかを確かめるために彼女に触れてみた。
「結構、柔らかいんだな。どんな魔法使えばこんなに柔らかくなるんだ」
これまた急な事に頬っぺたに何か硬いものがぶち当たった。
「おいおいおいおいおいおいおい、いや待てよ。お前女子かよ、嘘だろおい」
殴られた瞬間に確信を得た。コレDカップだ。
「けど、女子に殴られるのは悪くないな、うん」また、勝手に口が滑ってしまった。
落ち着け、魁。まず、先にすることは何かまず先にすることは、相手が本当に女子であるかを再度確認することではないか。軽く咳ばらいをしてゆっくりと口を動かした。
「質問なんだけっ・・」
何故か、いや、不可思議なことにまたぶん殴られた。
「ちょ、せめて質問だけ言わせてから殴ってよ」
けど、彼をよく確認したら服を着ていないことに気づいてしまった。
「もしかして、服貸してとか言いたかったりする」と話しかけたら、彼女は小さく頷いた。
状況も落ち着き、ひと段落したところで彼女が先に話しかけてきた。
「本当は男性でも、あなたのコピーでもなく、正真正銘の女の子です。」と彼女が言った。
でも、本心はすごくうれしかった。この言葉があってるか分からないがギャルゲーをしてるみたいでめちゃくちゃ興奮した。
「いやーめちゃくちゃ興奮しましたわ。まさか遥々遠くからやってきた男子が実は女性でした、みたいな感じギャルゲーぽくて最高だと俺は思う、最高だ」
本心、また拳が飛んでくるのかなとハラハラしながら発言したが、クスクスと彼女は笑ってくれた。
けど、何やら彼女は少々落ち着かない様子だった。確かに、見知らる男性の部屋に入ってきて平然といられる方が怖いが。
「あの、さっきからパソコンから流れてる音声消してくれない。落ち着かないんだけど」
その時は、ボクは思い出した。昨日いや、正確には昨日一昨日発売されたエロゲ「春の色、春の風」の続編でもある「夏の影、夏の空」のサービスシーンが駄々漏れであった。
(し、し、しまったああああああああああああああ)
「やべーよ、おい。内心ボクの部屋には何も変なのがないと思ってしまった自分が恥ずかしいよ」
「あの、変などころかきわどいポスターやタペストリーを飾られてる状態でそんな事言われても説得力が微塵とも感じないです」
(きゃあああああああああああああ)
「け、けけけ、けどあれだよね。折角だから一緒にエロゲやろーか、面白いよ」
何言っちゃってんの、相手女子だよ。よく見るとかわいいし。俺好みの黒髪ツインテール。しかも、出てるとこは出て、肉付きも最高な具合。
「じゃなくて」
頭を振り我に必死に返ろうとするが彼女を前にすると緊張して落ち着けない。
彼女は頭の上にはてなマークが出てるかのような様子でボクの事を見ていた。
「あなたさっきから独り言激しいよ。もっと冷静になったらいかが」と彼は言った。
「そうだな、ではこのままで」と発言したが彼女の目つきが変わったので一応音声だけ消して再び話しかけた。