一番最初
「誠ー、手紙届いてるわよ、珍しいわね」
今日もうるさい騒音で目が覚め、半分寝ている顔つきをしている鈴木誠はゆっくり自分の部屋から体を持ち出した。
「へー、」
寝癖で上はボサボサだが、少し茶色がかった瞳にサッカーをやってるがぺったんこな胸筋がパジャマから覗いてくる。
まだ声変わりが済んでいないこの高い声の元は階段をゆっくり下り、手紙を受け取る。
それは母の言う通り珍しいこと、手紙なんていつぶりだ?2階に行くのも面倒だと考えその場で手紙を広げる。
「うわっ?!」
この手紙、勝手に文字が動くぞ?!文字が動いてる?
手紙の中が動くなんて珍しいな…。
いやいやいや、珍しいのではない、そんなことは到底ありえない。…普通ならね。
少々怯えながらも手紙を拾おうとする彼の手が伸びる。そんな彼を不思議そうに見る母。
「きゃぁぁぁ?!」
と、息子以上に驚きだし、腰が抜けてる。
「じょ、情報社会ね〜。」
情報社会ね〜っと知ったかぶったように一人でつぶやく母を置いて誠は手紙を拾う。
すると、また勝手に踊り始める文字たち。
なんなんだ、と呆気にとられる暇もなく文字は姿を消し、次はおじさんが現れた。
なんていかついおじさんが、手紙の上で笑ってるんだ…。誠は再び口を閉じることが出来ずに外れそうな顔をしている。
すると、おじさんが口を開いた。