晃太の結論
実結は黙っていた。何を思っているのか、俺には分からない。拒否されたことに、怒りを感じているかもしれない。答えを意外に思ったかもしれない。失望した可能性だってある。それでも構わなかった。
俺は口を開いた。
「言いたかったら、言ってればいい。俺はそういうの興味ないし、女子とかよく分かんねえから。面倒なの嫌いだしな」
実結が手を握りしめたのが分かった。そして、深呼吸するように肩の力を抜く。
「……だよね、いいよ。私、あんなにしてもらってまだわがままとか。ごめん晃太。もう行こ」
小さな声だった。それでも、諦めたことは容易に分かる。俺は、歩き始めた実結の背中に声をかけた。
「でも」
実結は立ち止まり、振り返った。でもなに、と首を傾げる。
「俺、死んだりしないし。多分ずっとこんな感じだし。やっぱり恋愛に興味ないし。だから実結が一人になったりはしねえよ」
ずっとのほほんと付き合ってやる。日陰になれないなら、水をかけ続けてやるだけでもいい。そのうち、どうすればいいのかわかるはずだ。さっきの感情の正体も。そのとき、どうするか考えればいい。
「……ほら、アイス買い行くぞ」
急に恥ずかしくなってはぐらかす。実結は固まっていた。──そして、突然笑い出した。




