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温もり
私がもう一度浴衣の袖で目元をこすって顔を上げた時、そこに零波はもういなかった。
零波は行ってしまった。
まるで幻のように一瞬だった。けれど、手にはしっかりと零波の温もりが残っている。疑いなんてしない、今ここであったことは本当だ。
夢の中から覚めたような、すっきりした気分だった。こんな感覚、長いこと味わっていなかった気がする。
私は境界線の役目を終えた鳥居を潜り、ゆっくりと、晃太の待つ本殿への石段を登って行った。
私がもう一度浴衣の袖で目元をこすって顔を上げた時、そこに零波はもういなかった。
零波は行ってしまった。
まるで幻のように一瞬だった。けれど、手にはしっかりと零波の温もりが残っている。疑いなんてしない、今ここであったことは本当だ。
夢の中から覚めたような、すっきりした気分だった。こんな感覚、長いこと味わっていなかった気がする。
私は境界線の役目を終えた鳥居を潜り、ゆっくりと、晃太の待つ本殿への石段を登って行った。
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