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幼馴染み
「ねえ、晃太はさ、私と歩いててなんとも思わないの?」
「何が?」
「何がって……。クラスメイトに色々言われないの?」
晃太は首を傾げた。どうしてこんなに鈍感なのだろう。
しかし、しばらくして晃太は、
「ああ……」
と頷いた。若干私から目を背ける。私もさりげなく視線を爪先に落とした。
「実結、やっぱり身長伸びた?」
「……え?」
「バスケは身長が大事だから身長を伸ばしたいって言ってただろ。気づくことといったらそれくらいだけど」
やはり、そう簡単に視点を変えることはできないらしい。
「伸びたよ。入学してから二センチね!」
私は溜め息を吐いた。
もっとも、こんな私達を一番からかっていたのは零波だった。
「実結、また晃太と出掛けるんだって?」
「うん。そうは言っても、家族ぐるみでのバーベキューだけど」
「またまた。実結ってば本当に大好きなんだね」
「ちょっと零波!」
そんなこともあったな、と急に懐かしくなって、私は小さな笑い声をたてた。




