45/100
同類
去年の秋。
健は川に行ったきり、戻ってこなかった。
行方不明なのだ。
健は佑斗の親友だった。なぜこの馬鹿は、佑斗の気を考えてやらないのだろう。
「実紀っ!」
実紀がビクッと肩を震わせた。
「……あ……、佑斗、ごめん……」
佑斗はスイカを口に運ぶ手を止めた。チリリン、と風鈴が鳴る。
しばらくして、佑斗が口を開いた。
「なあ実結」
ん? と先を促すように首を傾げる。
「お前んちのところで、今度祭りがあるって本当か」
「うん、まあ。行きたいの?」
「いや、そうじゃなくて……」
佑斗が神妙な顔つきになる。
「健に、会えるかもって……」
ああなるほど、と私は妙に納得したような気分になった。
「そういうことか」
私と同じだ。佑斗も。
「声がしたんじゃない?」
「なんで、わかるんだよ。……まさか、実結も?」
私は頷かなかった。
「零波が言ってた。『お祭りで待ってるから。』」
佑斗の目が大きくなった。
「健も、そう言ってた」
ふう、と一息ついて、佑斗は言った。
「それで、調べてみたんだ。あの祭りのこと」




