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反転
すくむ足を無理やりに地面から引き剥がして、私は「人生の交差点」へ飛び出した。
零波は止まらない。
もう違う。私は繰り返さない。
零波のことしか頭に無かった。
腕が伸びるのではないかというくらい精一杯腕を零波へと伸ばし、その名を呼んだ。
零波が、はっと振り返る。
私は強引にその手を掴み、零波を力任せに後ろへ突き飛ばした。
「実結?!」
私と零波が交差した。振り向きざま、私は微笑んだ。
蝉の声が消えた。
とても痛かっただろう。
怖かっただろう。
悲しかっただろう。
辛かっただろう。
零波は。
私は暗い闇の底の刹那、そんなことを思った。




