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幻の夏祭り  作者: 皐月 満
夢と現実と
43/100

反転

すくむ足を無理やりに地面から引き剥がして、私は「人生の交差点」へ飛び出した。


零波は止まらない。


もう違う。私は繰り返さない。


零波のことしか頭に無かった。


腕が伸びるのではないかというくらい精一杯腕を零波へと伸ばし、その名を呼んだ。


零波が、はっと振り返る。


私は強引にその手を掴み、零波を力任せに後ろへ突き飛ばした。


「実結?!」


私と零波が交差した。振り向きざま、私は微笑んだ。


蝉の声が消えた。



とても痛かっただろう。


怖かっただろう。


悲しかっただろう。


辛かっただろう。


零波は。


私は暗い闇の底の刹那、そんなことを思った。

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