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ペットボトル
晃太がコップを取りに立ち上がろうとした。コーラを分けてやるつもりらしい。が、
「あ、涼介は炭酸駄目なんだっけ」
と呟き、また腰掛けた。
「そうなんだよ。ごめんな」
涼介は鞄の中からスポーツドリンクのペットボトルを取り出した。
──零波はいつもそうなんだよ……!だから……。
日差しの中、零波の手から同じペットボトルが落ちていく。
「いやぁああぁぁ!」
私は頭をかきむしった。
あの夏の日が蘇る。零波が、消えていく……!
呆然としている涼介を横目に、晃太はさっと立ち上がった。
「実結、フラッシュバックか? 落ち着け、大丈夫」
晃太は私の背をさすり始めた。こういう時の晃太はとても頼りになる。
「涼介、水汲んで」
晃太が声をかけると、涼介は頷いてコップに水を注いだ。
私は咳き込むようにして水を飲み干した。