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幻の夏祭り  作者: 皐月 満
祖母家にて
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縁側で

夕食を済ませて、私は蚊帳の中に寝転がった。


蚊帳の中は、千代ばあの匂いがした。家中に染み付いている匂い。懐かしい、不思議な匂いだ。


チリリン、と風鈴が鳴る音が、縁側から聞こえた。


ーーそういえば、去年は零波と縁側で夜遅くまで話していたんだっけ。


もう十一時だったが、私は蚊帳を出た。


千代ばあに見つからないように、足音を忍ばせて縁側へと向かう。


頬に風を感じて、私はゆっくり顔を上げた。


縁側には、夜風がゆったりと吹き込んでくる。それに合わせて風鈴が鳴り、簾が揺れる。


私は縁側に腰掛けた。


夜涼みとはまさにこのことだ。昼間の暑さはどこへやら、虫の鳴く声の谺す縁側はまるで別世界だった。


零波はここが好きだった。ここの風は「甘い」のだと言う。去年の私には分からなかったが、今は分かる気がする。


……あれ?


あの時、零波は……。

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