表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻の夏祭り  作者: 皐月 満
祖母家にて
37/100

受話器

「もしもし、片岡ですけど」


私は内心ホッとした。出てくれて良かった。


「もしもし。晃太、私」


「実結? お前、千代ばあの家に居るんじゃないのかよ」


「千代ばあの家から電話かけてるから」


晃太がハハ、とちょっと笑った。


「で、なんの用だよ」


笑いを含んだ声で晃太が尋ねる。


私は視線を落とした。口元が綻んでいるのが自分でも分かる。


「宿題、終わった?」


「まだ。実結終わった?」


「うん。終わらないと行かせないってお母さんが」


「千代ばあの家に?」


「お祭りにも。今何してるの?」


「祭りの準備。宿題も終わってねえのにさ」


「早くやっておけば良かったのに」


「そうだな。宿題は夏の敵だ」


「なに、夏の敵って」


私が笑うと、電話の向こうで晃太も笑う。


ああ、電話して良かった、と私は思った。


晃太の声は安心する。ずっと側に居たからだろうか、胸にすとんと落ちる。


私は微笑みながら言った。


「声が聞けて良かった。じゃあね」


そう言って、私は受話器を置いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ