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図々しい客
「実結、今日部活だろ。いいのかよ」
「あ……、忘れてた。コーチには謝っておくよ。」
晃太は「上がっていいか?」と尋ね、返事を待たずに靴を脱ぎ始めた。
私は頷いて、リビングに引っ込んだ。
晃太は昔からこうだ。私の家で、自宅にいる時のように振る舞う。
「落ち込んでるな。」
「そうかな」
晃太は戸棚からコップを二つ取り出し、持ってきたコーラをついだ。一つが私に渡される。
「仕方ないんじゃねえの。目の当たりにしたんだから」
コーラを一気に飲み干して、晃太ははぁあ、と息を吐いた。そして、勝手にリモコンを取るとチャンネルを回した。
サッカーの試合が映る。晃太はぱっとチャンネルを変えてくれた。