六月の日曜日
トラックのクラクションが鳴り響き、私は何故か身の危険を強く感じた。
あの日以来、車が怖くてたまらない。
轢かれるんじゃないか、そう思って私は目を開けた。
しかし、ここはあの場所だった。歩道の上、歩行者専用の信号の前。
六月のあの日、私と零波はここで……。
「あぁぁぁぁああ!」
私は絶叫した。
六月の終わり、私と零波は日曜日を利用して近くの市民プールに遊びに行っていた。その帰り。
「うん、やっぱりプールは最高だよねぇ。ね、来週も遊べるって、前に言ってたよね。また行かない?」
零波に尋ねる。確か、だいじょうぶだって言っていた。
「あ……、ごめんね、実結。来週は、お兄ちゃんのところに行かなきゃいけなくなっちゃったの。再来週は家の用事で……」
私は眉をひそめた。だって、この前はいいって言っていたから。
「なんで? そういうの、私が嫌いって知ってるよね。他人の幸せだけじゃ、生きていけないよ?」
零波が、うん、でも……、と曖昧な返事を返す。
零波は争いを好まない。だから、自分に非がある時ははっきりと物を言えない。謝ることしか出来ない。
「ごめん実結、でも、今回だけだから……」
はっきりしない零波に、私は牙を剥いた。