15/100
三文字の一言
「なんなの、あいつ」
不満げに呟く私に、晃太が口を開く。
「実結、あのさ……」
ん? と、私は首を傾げた。はっきりとものを言う晃太が言葉を濁すのは、何か、大切なことを言いたい時だ。
「行こう」
晃太はゆっくりと言った。そして、私を見つめた。
え?
行くって……?
「どこに」
わけが分からない。
……いや、解りたくない。
だって、私が今、行かなきゃいけないところなんて一つしかない。
言わないで。お願い。
けれど、晃太は口を開いた。
「交差点」