14/100
妹
私はアイスを受け取ると、袋を開けた。
時計を見ると、もう三時だ。
「何時からいたの?」
「一時半くらいから」
アイスを取り出して、晃太の手からさりげなく理科のノートを取り上げた時、玄関のドアが開いた。
「ただいまぁ」
髪を濡らした、真っ黒な肌の実紀が現れる。プールに行ってきたのだろう。
実紀は、晃太の姿を認めると、真っ先に晃太に飛びついた。
「晃ちゃん!」
晃太が小学3年の実紀の頭をくしゃくしゃっと撫でる。
実紀は晃太が好きなのだ。晃太には下の子がいないからか、実紀を可愛がってきたためだろう。
むしろ、実紀は私より晃太になついているかもしれない。
実紀は妹に抱きつかれている幼馴染を眺める私を見て、掌からアイスを奪い取ると、素早く二階へ上がっていった。