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ある夏の朝
蝉の声が頭の中をかき回す。日差しに白い白線が浮かび上がる。
──零波ぁ!
もう何度も見た、この夢。
しかし、この夢を見れば零波に会える。
「実結、お母さんもう行ってくるからね」
下から母の声がした。傍で、零波がくれたピンク色の置き時計の金の秒針がゆっくりと回っていた。
トーストを焼いて食べたあと、私はソファに座ってテレビをつけた。
鮮やかな緑色のフィールドで、選手がボールを追っていく。サッカーの試合だ。ボールがネットを揺らした後、すぐに相手のボールもゴールした。
そういえば、零波もサッカーの試合が好きだったな、と思い出し、私はチャンネルを変えた。
ガチャ、と玄関に人が入ってきた。
まだ寝巻だったが、私は一応玄関を覗いた。
額の汗を手の甲で拭いながら、晃太が立っていた。