プロローグ~ティータイム~
今日は12月31日。
僕の名は竹中。
この大晦日に僕は西園寺の家に来ていた。
西園寺の家に呼ばれたのは、三吉、石田、長谷部。
そして、僕のいつもの四人だ。
西園寺の家はそれはでかかった。
初めて家に来たのだが、行くまでは本当にボンボンだと言うことを信じていなかったが、これを見た瞬間それは嘘ではないということがわかった。
西園寺は本当に大富豪の息子だ。
僕と同じ用に三人は目を丸くしていた。
インターフォンを押して見る。すると、インターフォンの上に付いているモニターに西園寺の姿が見えた。
僕はモニター越しに西園寺に声をかける。
「西園寺、僕だ」
「ああ、言わなくてもわかるすぐに門を開けるよ」
モニターが暗くなるとすぐに、音が響く。この音は目の前の鉄格子が横に開く音だ。
鉄格子が全部開ききると、馬鹿でかい庭が見える。玄関まで、百メートルはあろうかというほどに長い。
僕たちが西園寺家の敷地内に入ると、また音をたてて鉄格子が今度は閉まる。
「ハイテクだな~」
三吉はキョロキョロしながらそう漏らす。
そして、やっとのこと玄関についた。
玄関につくと西園寺が扉を開けてくれた。
「いやみんなよく来てくれたね。どうぞ、入ってくれ」
玄関に入るとこれまた広い。我が家のリビングより広い玄関だ。四畳半のアパートに住む書生が見たらどう思うだろうか。
僕はそんなことを思いながら靴を脱ぎ西園寺のあとをついていく。
西園寺が招き入れたのは西園寺の自室だ。
西園寺の部屋も一般宅のリビング2個分ほどの広さだ。一人で20畳もある部屋を使うなんて逆に住みづらいのではないかと思ってしまう。
「どうぞ好きなところに座ってくれ」
西園寺は好きなところに座れというが、明らかに指定されている席がある。テーブルの周りに綺麗に座布団が人数分敷かれているのだ。もちろん僕たちは、その座布団に座った。
僕らが座ると西園寺は紅茶を振舞ってくれた。
しかし、これが始まりだったのだ。
この紅茶いっぱいのせいであんなことが起こるとは僕たちは思いもよらなかった。
ただ一人、西園寺を除いて。
僕たちは西園寺の淹れた紅茶を飲んだ。そうここまでは良かったのだ。なんの疑う余地もない。学友が淹れたお茶など誰でも飲む。
しかし、それが間違いだったのだ。
一人また一人とテーブルに突っ伏していくのだ。
僕は飲み干したカップを眺める。
「ま、まさか」
西園寺を見たとき西園寺はニヤリと笑っていた。その瞬間僕は深い眠りに襲われた。