表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園軍記スクールブラッド  作者: 級長
その他の記録1
33/35

番外 ポッキーと友情(?)の紅蓮黒龍槍

 復習コーナー

 鳳凰堂紅

 記念すべき第1回『桜花学院の乱』のヒロイン。(霊歌は主人公)

 桜花学院予備学科のリーダー的存在で、桜花学院壊滅後は母方の実家に引き取られた。桜花学院予備学科は没落した名家の令嬢達が防衛の駒として教育される場所である。並木更も予備学科出身。


 ポッキーの日は過ぎてる? 学園軍記の編纂には時間がかかる(殴

 11月11日 ハクロウ高校 教室


 「あ、紅さん!」

 「よっす、霊歌さん、更、闇人、元気してた?」

 ハクロウ高校を訪れたのは、霊歌達に馴染みのある人物だった。ショートカットの赤毛に、スラリとしたスレンダーな体つきの美少女は桜花学院の予備学科生、鳳凰堂紅だった。

 「髪切った?」

 闇人はタモリみたいな話の切り出し方をする。確かに髪は切った。それでもほんの少ししか会っていない紅を霊歌や闇人が思い出せたのは、霊歌は関わった事件の重大さ、闇人は髪以外に変化がなかったことからだ。

 「あれ? 更は? ハクロウにいるって聞いたんだけど……」

 「保健委員なので保健室にいますよ。それよりその格好……」

 「あ、これ? 二度と着ないとは思ったけどさ……あなた達は変わらないよねー」

 紅は桜花学院予備学科の制服である軍服みたいな上着とプリーツスカートを着込んでいた。以前の様に黒いタイツも穿いている。

 一方、闇人は紅が桜花学院で会った時と同じ様にボンヤリとした表情で、一見少女にも見える顔立ちをしている。霊歌は典型的お嬢様らしく、フンワリした雰囲気の中に凛々しさを感じる少女である。

 この制服は紅や更達予備学科生にとって『トラウマ』でもあるもの。それをまたなんで引っ張り出してきたのか。

 「一体なんでまた?」

 「最近、元桜花学院予備学科生が変な奴らに付け狙われているみたいなんだ。それで敵をおびき出すためにね。ここに友達もいるし、手伝ってもらうことにしたんだ」

 紅が教室の外に目を向ける。そこには予備学科の制服を着た朝凪一舞がいた。二人は紅と一舞が友達だったことに心底驚いたという。

 「一舞くん? 紅さん、どこで知り合ったんですか?」

 「シルベスタファミリーWikiでね。リアルで会うのは初めてだから目印持ってもらって待ち合わせたよ。男の子って聞いてたから驚いちゃった」

 「し、シルベスタファミリーWiki?」

 紅と一舞は共通の趣味を持つ友人だった。シルベスタファミリーが何なのかはさておき、とにかく彼に協力を取り付けるほどの事情があるらしい。

 「それなら僕に言ってくれればよかったのにー」

 「そうですよ! 闇人めっちゃ強いのは紅さんも知ってますよね?」

 闇人と霊歌は自分達に協力を要請してくれなかったことが不満だった。だが、紅には紅の考えがある。

 「二度もあなたの助けを借りるわけにはいかないから。私はあの時の借りだって、返し切れないだろうけど返せてないんだから」

 「えー」

 「そういうことだ、先輩。たまには後輩に任せてもらう。今回の敵は馬鹿田大学のクソサークルらしい」

 紅は闇人に借りがあるため、これ以上闇人に頼れなかった。ただ、闇人としては何より一舞に手を借りたことに懸念があった。

 「でも、一舞は……」

 「『最も多くの人命を奪った個人』だからな。紅さん、俺に殺させたことに引け目を感じる必要はありません。30人くらい、物の数には入りませんから」

 「一舞……」

 一舞は『最も多くの人命を奪った個人』。紅ほど知見のある人間ならば、名前を聞けばそれに気づくはず。それでも手を借りるということは、命のやり取りをすることになるという覚悟があるのだ。

 「それに俺、今回の敵は許せないんでな。価値無き命の為に価値ある命が失われるのを防ぐ、俺はそれだけだ」

 「そうそう! 今回の敵について何も聞いてませんでした!」

 霊歌はそこで、紅が追う敵について知らないことを思い出す。一舞曰く『馬鹿田大学のクソサークル』とのことだが。

 「おいみんな! ポッキーあるぞ! プリッツもだ!」

 そこに金髪でアクセサリーをジャラジャラ付けた響響介がやってくる。


 とりあえず緊迫した空気を何とかするため、響介とポッキーやプリッツを食べることにした。ファンからの贈り物らしいが、一人では食べ切れないのだ。

 響響介はロックシンガーであり、ギターを武器に戦う15級長『雷鳴の演奏家』だ。

 「紅さん! 久しぶりです!」

 「更じゃない! 元気だった?」

 紅は並木更とも再会し、改めて敵について説明する。解説は一舞もする。

 「今回、私が追っているのは桜花学院の予備学科生を付け狙う奴らよ。本学科生は桜花学院が消滅しても似た様な学校にいるから手出し出来ないけど、予備学科生は普通の暮らしをしているからね」

 「その敵は馬鹿田大学のクソサークルっていったが、あの早稲田大学の直系を名乗る『羽化田うかだ大学』のサークルだ」

 「結局読みが馬鹿田大学じゃない……」

 霊歌は話の内容より大学の名前が気になった。しかし、羽化田大学とは厄介な敵だ。それは更が一番詳しい。

 「羽化田大学って、隕石が降る前の日本では有名だったあの早稲田大学の思想を次ぐ学校ですよね? エリートの卵が多くて、犯罪があっても警察で手が出せないっていう……」

 「早稲田大学は復興してるから、羽化田ってもう『偽早稲田』なのよね。そこのサークル『ロックンロール』は大学周辺でよく女性を襲っていて、住民が自警団を組むほどなの。不動産屋さんも地価が下がって悩んでる」

 そんな偽早稲田大学のトンチキサークルが今回の相手なのだという。紅はそのサークル、ロックンロールについて説明した。

 「サークルの名前は『ロックンロール』か……。ま、奴らは警察に手が出せない挙げ句出せても不起訴即釈放確定だ。ロックじゃねぇな」

 「殺していいよな?」

 響介は『ロックンロール』というサークル名が気に入らなかったらしい。ロッカーとしてはそんな奴らにロックを名乗られたくはない。体制に刃向かうのがロックなのだから、体制に守られてロックを叫ぶのは最早ギャグだ。

 「『ロックンロール』は時代への反逆を標榜して好き放題やってる。誰かが止めないと……」

 「それは俺の役目だ。四季先輩から試してほしいって武器を渡されている」

 紅は戦いの決心を固めるが、一舞が大きなポッキーを持って外に出る。ポッキーは1本で剣みたいなサイズがあった。

 「あれは……ポッキーの日を毎年記念して作られる『糖剣ポッキーブレイド』! 鋼力粉で焼いたプレッツェルにアマダムチョコレートをかけた最強の斬撃武器!」

 「知ってるんですか紅さん?」

 紅は一舞の武器を知っていた。一舞がハクロウ高校の外に出ると、近くの河川敷にロックンロールのメンバーがたむろしていた。待ち伏せとは随分小さい真似をする。一舞を追い掛け、紅達も河川敷に来た。

 ロックンロールの一人が、一舞に近寄る。メンズ雑誌からそのまま飛び出した様なテンプレートのファッションをしており、着る人間のレベルが低いからか劣化して見える。

 一舞を数人の男達が囲んだ。一人相手に数のアドバンテージを欲しがる人間のクズだ。

 「あんた予備学科の人間か。家が没落して困ってんだろ。俺が嫁にもらぶげ!」

 「ひでぶ!」

 「ほげー」

 一舞は何も言わず、男達を全員斬り捨てた。何やら怒っているらしい。

 「お前らな……襲われるのがどれほど恐ろしいかわかってんのか、あぁん?」

 「めっさキレてらっしゃる」

 紅は一舞の怒りを理解した。恐らく、見た目が見た目だけに女の子に間違えられて襲われたことがあるらしい。

 「この外見のおかげでヤられかけた上に娼館に売られかけたんだぞ! キッチリそこの経営者と人買い共は殺したがな!」

 一舞は旅人故にいろいろな経験をしたらしい。確かに一舞の外見なら男娼でも余裕でやって行けそうだが。

 ロックンロールの面々はメンバーが殺されても『ライバルが減った』くらいにしか思ってないのか、一舞を諭そうとする。

 「ま、まぁまぁ落ち着いて……俺らとポッキーゲームしなばらッ!」

 「ほう、ポッキーゲームがお望みか? よかろう、口を開けろ」

 一舞はポッキーブレイドで相手の顔面を貫き、ポッキーブレイドの柄に炎をデザインしたチェーンのアクセサリーを取り付ける。

 「あ、あいつらロックに死んだな」

 「あれって、神力を流すと武器に属性を与えるアクセサリー?」

 響介と紅は手を合わせて南無南無と念仏を唱える。一舞=サンから溢れ出るサツバツアトモスフィアは実際怖い。

 一舞は相手の顔面前でポッキーブレイドを振り、赤い斬撃の跡で『*』の文字を作る。そしてその中央に突きを放った。

 「セイヤーッ!」

 「アバーッ!」

 顔面に最強攻撃を受けた三下のロックンロールメンバーは跡形も無く吹き飛んだ。攻撃の余波はなかなかで、余裕をかまして後ろで見ていたメンバーも巻き込んだ。

 「グワーッ!」

 「ぐべしッ!」

 「熱いよーッ!」

 熱線と化した斬撃に巻き込まれたメンバーは身体の一部を吹き飛ばし、断面は焦げたネギトロめいていた。そして技名は最後に言うスタイル。

 「紅憐黒龍槍……!」

 「に、逃げろ」

 「待て!」

 メンバー達は慌てて逃げ出した。後ろから一舞が燃える斬撃を放ちながら追ってきた。コワイ!

 「に、逃げる相手まで追わなくても……」

 これにはさすがの紅も引いた。普段から気難しい顔をしておいて、結構感情的な部分がある。追い掛けながら、一舞はなんと国道まで出た。

 殆どが死滅しつつ、専用のバスで逃亡を謀るロックンロール。待機組までいるらしく、大型のシャトルバスは7台ある。待機組が収穫を聞こうとして後ろにいる一舞で辞める。

 「待てぇー!」

 なんと一舞はバスを自分の足で追い掛けた。もうあいつ一人でいいんじゃないかな。そして2台ほど抜いた。

 「死ね!」

 一舞がバスを追い越しながら、左側を切り裂いていく。ポッキーで、である。運転手は無事なのでまだ走っているそのバスに対し、一舞はスピードを緩めて右側から追い抜かせる。そこを一気にバッサリ斬る。

 バスは真っ二つにされてバランスを崩し、横転した。横転したバスの残骸に先程抜いた2台が衝突する。横転したバスが爆発を起こし、残る2台も巻き込まれた。

 一舞はまだバスを追っており、殺る気満々だ。

 「セイヤーッ!」

 比較的大きな鉄橋、矢作橋にバスが差し掛かったところで本日二度目のセイヤー。熱と共に空間ごと3台のバスが切断され、それが一度元に戻った。すると、バスだけがバッサリ斬れて大爆発。

 「紅蓮黒龍斬!」

 交通量が少ない時間帯だったため、爆発に巻き込まれた人はいなかった。そして、戦闘のバスが後ろを黒龍斬が掠めて橋から落ちた。

 「逃がさん!」

 「お前がぶっ飛ばしたんだろ」

 響介もこれには呆れた。よりによって先頭のバスは待機組だったため、たくさん乗っている。それを斬撃乱射で爆発させた。

 「今ので100はいったかな?」

 クラリスも呆然と見つめていた。日本のポッキーゲームとはかように恐ろしいものか。この情報がスイスに流れ、ポッキーゲームに人々が怯えることとなったのは言うまでもない。

 学園軍記速報

 先日、羽化田大学のサークル『ロックンロール』が壊滅しました。彼らは以前から桜花学院予備学科の学生を狙っており、鳳凰堂紅と親交のあった朝凪一舞に撃破された模様。

 如何に権力を持ち、警察をも無力化出来る組織であれ、心正しき者が防衛科を修めれば被害者が泣き寝入りせずに済む例の一つとしてスクールブラッド認定し、学園軍記に記載した。

 『羽化田大学ロックンロール壊滅事件』

 主犯:朝凪一舞

 主な動機:友人が狙われたため。

 死亡者:285名

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ