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学園軍記スクールブラッド  作者: 級長
その他の記録1
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報告書Y 今までのスクールブラッド

 スイスについて

 クリーチャーの侵攻を出現当時、一番押さえられた国はどこだろうか。実はアメリカなどの軍事国家ではない。スイスなのだ。

 『国民皆兵』を敷いていたスイスには一家に1つアサルトライフルが常備され、町にも防衛設備が多数あった。それゆえ、如何にクリーチャーが銃器に耐性を持つとはいえ、まるで効かないわけではないので抵抗が可能であった。

 ただ、国家単位での防衛政策に重きを置くスイスは個人の努力のみでクリーチャー排除するしかない日本に対し、武器の製造技術で学ぶことがあると考え、留学生を派遣した。

 スイス行き飛行機 機内


 「スイスを襲撃したクリーチャーは、今までにないタイプらしいね」

 長官からの連絡を受けて、救援の為にクラリス達はスイスに向かっていた。国際線が飛ぶ高さなら、クリーチャーに遭遇することはないので飛行機が使える。

 「今までにないタイプ、と言えば桜花学院で見た、ソルジャーキャンドルみたいな?」

 「んー、そうだねー。確かにあれは珍しい」

 クラリスの隣に座っていた紅麓院霊歌と倉木闇人は桜花学院で目撃したソルジャーキャンドルの話を思い出す。あのクリーチャーはキャンドルがクリーチャー化したもので、頭に火を付ければ手なずけられる。

 「あれって、私の派生かな?」

 闇人の隣、通路を挟んで向こうに座る遊木菜緒はその奇妙さを語る。生き物が狂暴に進化したのがクリーチャーなのに、キャンドルがクリーチャー化とはこれいかに。捨てられた人形に、電磁波の影響で魂が宿った遊木と近い存在なのかもしれない。

 「霊歌さんと闇人さんはそこで知り合ったと聞きました。更さんもそこの出身なんですよね?」

 「桜花学院は、没落した家の生徒を予備学科という戦闘専門の学科に入れて、防衛を担当していたの。更もそこにいてね」

 霊歌はクラリスに、闇人と出会った経緯を話す。その出会いこそが、霊歌の運命を大きく変えることとなる。

 「更は予備学科の生徒にされ、学校からの依頼を熟す最中にシェルコンデというクリーチャーの襲撃を受けた。仲間達が全滅して、更も殺されそうになった時、それを助けてくれたのが闇人だった」

 「うんうん。たまたま通りかかってね。更さんから頼まれて、他の予備学科の人達を助けるために、僕は桜花学院に忍び込んだんだ」

 霊歌と闇人は、二年前のことを思い出していた。桜花学院で二人は出会い、予備学科の生徒を解放する為に戦った。

 「なんだか、この世界はお嬢様学校ってことが死亡フラグな気がする」

 遊木の隣に座っていた水色のショートヘアの少女、凍空吹雪はそんな感想を漏らした。吹雪の通う雪原ヶ峰学院も、グレンジシの襲撃を受けて滅んだ。

 強豪校とかお嬢様学校みたいな、なんか凄そうな学校は全体的に死亡フラグがビンビンだ。

 「あの変な怪人、何だったんだろ?」

 雪原ヶ峰学院に関する一連の事件で、敵が持ち出した謎の技術。お城怪人とかいうスーツの流用が困難だしソフビも売れそうにない最悪のデザインをしたモノが、その事件の敵だった。

 「この世界って、割となんでもありだから」

 クラリスは強引に全てをまとめる。確かにそうではあるが、無茶苦茶なものがたまにあるのは如何なものか。

 「ぶっちゃけると、設定が定まってないという部分が露呈して……」

 「メタいこと言うな」

 クラリスに対し、通路を挟んで隣に座る四季がメタ発言をする。クラリスはそれを食い止めた。

 「もうすぐスイスみたいだな。思いのほか、早いな」

 みんなでだべりながら飛行機に乗っていたせいか、四季は到着を早く感じた。一応、ヨーロッパまでは乗り継ぎも必要で結構長旅になるのだが、気心知れた仲間との旅は楽しいので時間が過ぎるのが早い。

 「スイスに着いたら、本場のチーズフォンデュ食おうぜ」

 「仕事終わったらね」

 四季はもう食べることを考えていた。敵の正体は不明だが、15級長が3人もいれば何とかなることは確定だ。

 飛行機はスイスの空港に降り立つ。タラップから下りて、滑走路の隅を歩いて空港まで向かうのだ。

 「長篠高校の生徒達ね」

 「お前は?」

 空港へ向かっていた一行に声をかける人物がいた。桃色の髪を靡かせ、グラマラスな肢体を露出の高いレザーの服で惜しげもなく見せ付ける蠱惑的な美少女であった。

 「私は幻夢高校の生徒会長、宵闇夢憂。ハクロウ高校の皆さん、私と遊んでかない?」

 「こいつらはクリーチャーを祖国に運び込んだ主犯です! 人間は私に任せてクリーチャーを!」

 空港の警備隊が集結し、夢憂を取り囲んだ。ただの噛ませ臭い警備隊ではない。全員がクラリスと同じハルバードを装備し、屈強な兵士であることがわかる。

 全員男だが、背中がザックリ開いて肩から腕を大胆に露出し、柔らかそうな腹部の肉を晒して、ボトムもホットパンツなのでしなやかな脚を組む夢憂の色香に戸惑うことはない。ツカツカとブーツを鳴らして歩く夢憂は、警備隊に阻まれている。

 「出た! 最強の国境警備隊! ここは任せましょう!」

 彼らの強さを一番理解しているクラリスが任せるという判断を下した。次々と警備隊がクリーチャーを薙ぎ倒しながら合流してくる。

 倒しているクリーチャーもただの雑魚ではない。群れのリーダーである猿型クリーチャー、ファグモンキーと同等サイズにまで成長したキバモンキーだ。中には、ライオンが巨大化したグレンジシや蟹がでかくなって電気を溜めるようになったシェルコンデを連携で片付けた兵士もいる。

 恐らく、スイス軍はクリーチャーの強さよりも数に悩まされているのだろう。夢憂に構っている時間は無い。警備隊に任せた方が良さそうだ。

 「甘いわね」

 「それはこっちの台詞だ! 祖国の敵め!」

 警備隊のリーダーらしき人間が夢憂にハルバードを振るう。しかし、夢憂に当たる直前でハルバードは止まってしまった。

 「か、身体が動かん!」

 「私達もです!」

 警備隊が全員、何故か動けなくなってしまう。夢憂は静かに笑う。

 「身体は正直なんだから。さぁ、愉しみましょう」

 夢憂がリーダーに近付き、右手でリーダーの股間を撫でた。その瞬間、リーダーの身体が比喩とかではなく吹き飛んだ。

 「ば、馬鹿な……!」

 リーダーは上半身だけになり、腸を撒き散らしながら滑走路に落ちた。夢憂の身体には右側を中心に白い粘液が付着していた。

 夢憂は手に着いた粘液を舌で舐め、恍惚の表情で警備隊を見る。

 「あの人は最初にアタックしてきたから、特別にサービスしたのよ。私と肌を合わせて快楽に溺れたいなら、夜に一人で来てね」

 そして、警備隊は炎に焼かれ、雷に打たれ、風で切り裂かれて全滅した。

 「や、奴は一人で様々な神力を使えるの?」

 「い、痛そう、コワイ!」

 霊歌は夢憂の能力に戦慄した。普通、神力は身体強化と何か一つくらいしか使えないものだ。それを夢憂は、少なくとも身体強化を除いて3つ使った。あの半裸に近い衣服では武器も持っている気配はない。

 唯一、一行で男性の四季は違う意味で戦慄した。下半身破裂とか嫌過ぎる死に方だ。しかも即死じゃない模様。

 この女こそ、一年の後に上杉四季と死闘を繰り広げる公立四天王の一人、宵闇夢憂である。

 四季は知らぬことだが、久々の受験戦争勃発は彼女との戦いが契機になる。そこで救う一人の少女、柊紗夜が新たなハクロウのエースとなるのだ。

 柊紗夜、銀髪のショートヘアを揺らし、黒衣を纏って刀を振るう美少女が、後にハクロウの守護神として名を馳せる。

 「倉木闇人、あなたも身体が男である限り、私には勝てない!」

 夢憂が自信満々で闇人に勝利宣言をする。闇人なら夢憂に勝てるだろうが、そんなことしている時間はない。

 「大変です! とうとう町にクリーチャーが!」

 空港の職員が窮地を伝える。いよいよ、ピンチである。さらに、空港のフェンスを突き破って何かが出て来た。それは、全身に葛の蔦を生やした牛だった。

 「あれは、リョクギュウの群れか! やったな! よくも、リョクギュウを2頭も持ち込んでくれたな!」

 四季はスイスの状態が最悪にあることを悟った。リョクギュウは自らに生えた葛で腹を満たすクリーチャー。つまり、餌が無くても生きていける。

 最悪な事に繁殖力は最高クラスで、雌の腹に子供がいるのは僅か1週間! 同時に産む赤子は最低でも3頭! 子が成熟し、雄が種を注ぎ、雌が孕める様になるまで同じく1週間! その癖、耐久性は進化元の生物である『牛』と同等! 3億も卵を産み落とすマンボウは虚弱だからこその繁殖力、しかし奴らは違う!

 奴らは雌雄同体、つまり2頭いれば増える! 際限なく、葛の蔦が町を覆う様に増えるのだ!

 15級長が全員集まらねばならない! この絶望を打開するには、人類が手を取り合わねばならない! リョクギュウを餌にする肉食クリーチャーがやって来る前に!

 ああ、だが悲しいのは人の性! こんな時でさえ、敵対する人類の宿命! この事態を引き起こしたのも、人の業!

 「さぁ、私に追われながらクリーチャーを倒すか市民を見捨てるか! 選びなさい! このためのリョクギュウ! 貴方達は罠に掛かったの」

 「闇人! こいつは俺が倒す! クリーチャーは任せた!」

 四季は闇人達にクリーチャーを倒させ、自分が夢憂を倒す決断を選んだ。四季は刀を手に夢憂へ走り寄る。夢憂も唇に手を当ててからそれを胸元に下ろし、そこに出現した魔法陣から剣を呼び出す。

 四季と夢憂が激突しようとしたその時、ミサイルがリョクギュウの群れを直撃した。そして、夢憂の頭上目掛けて何かが飛来した。

 「あんっ! 何っ?」

 翼で迫る刃を防いだが、夢憂は影に気付かなかった。彼女の背後に降り立った人影は、ハクロウ高校の男子の制服を着込んだ、中性的な顔立ちをした男子生徒だった。黒地に蜘蛛の巣柄のマフラーをして、十字架が刻印されたグローブを付けている。

 武器は背中に背負った太刀が一本。背丈ほどある刀で、金属で打たれた代物だ。

 「あいつは……朝凪一舞!」

 「誰だ?」

 「8組の朝凪だ。強いらしい」

 四季がその男子生徒の正体を突き止める。髪は黒髪でピアスもしていない、所謂優等生カラーなのに、ニヤついた顔が何処か悪そうだ。紫の瞳が夢憂を見下した様に見据える。彼はミサイルに乗ってダイナミック入国して来たのだ。

 「祭の場所はここかぁ?」

 「くっ、あなたは……うぁ、翼が……」

 夢憂は初撃を防御したのに、翼がボロボロになっていた。一舞の持つ太刀は赤いオーラを纏っていた。

 「朝凪一舞だ。覚える時間は、無いよな」

 「くっ、無名の剣士に私が……」

 「先輩方、ここは俺に任せて先にクリーチャーを!」

 四季達は一舞に夢憂を任せ、クリーチャー退治に向かう。後輩が任せろと言っているのだ。ちょっとやそっとで死ぬ様な奴、ハクロウ生にはいない。

 一舞は夢憂に太刀を向ける。彼の能力は切れ味を増幅させること。故に、硬さなど無意味。あらゆるものを両断する。一舞は両手で太刀を持ち、深呼吸した。彼の周りに赤いオーラが集まっていく。

 「昨日の夕飯、思い出せるか?」

 一舞は不意に、夢憂へそんな質問をする。夢憂は一昨日でなければ思い出せる、と答えてしまう。

 「え? 豆乳鍋だけど……」

 「それがお前の、最後の晩餐になる」

 一舞の質問の意図を汲み取った夢憂は、唇に手を当ててそれを胸元に下ろした。魔法陣が出現し、夢憂の衣服が溶けていく。一瞬、一糸纏わぬ姿を見せながら、装備を換装した。

 「私が切れると思っているの? 私の装束は、切れないわ」

 夢憂が纏った衣装は、全身を覆うライダースーツ。防具としては隙がない。

 一舞は右下から左上に刀を切り上げ、その勢いで刀を下に下ろしてから、左下から右上に切り上げる。赤い斬撃が夢憂に当たるも、彼女は微動だにしない。

 「ハッ!」

 一舞が太刀を水平に振り、斬撃を放つ。赤い斬撃が3本、電話のあまり使わない『*』記号の様な形で重なる。そこの中央に向けて、一舞は太刀を向ける。

 「セイヤーッ!」

 夢憂に向かって、一舞は太刀を突き出す。一舞の必殺技、『黒龍槍』だ。夢憂は一歩だけ後退し、彼女の来ているライダースーツのチャックが破壊される。汗で輝く夢憂の白い肌が外気に晒された。

 「かはっ……!」

 「チッ、無駄に堅いな!」

 夢憂は体勢を立て直し、スーツの傷を見る。壊れたチャックは熱を持っている。夢憂は即座に、新たな衣装へ着替えた。受け続ければ、無理矢理防具を破壊されかねない。

 「当たらければ無意味ね」

 夢憂が次に着たのは、ただの布きれである。胸元と腰に一枚ずつ黒い布を巻いただけの姿で、スピードを高める作戦らしい。彼女は指をくわえて、音を立てながら舐めた。

 「フフッ、久しぶりに会えたわ。私を熱くしちゃう人」

 「だったら物理的に焼いてやろうか?」

 夢憂は身体が火照っていた。彼女と互角に戦える人間など、まずいないからだ。教員連の命令で戦っているとはいえ、楽しみも必要だ。一舞に言い返され、夢憂は身体を抱いて悶える。

 「それは楽しみね。私と渡り合える人間は、本当に久しぶりなの。もう、興奮でびしょびしょ」

 夢憂は自分の内股を熱い蜜が濡らしていくのを感じていた。好戦的な興奮と、性的な興奮が混ざっているのだ。

 「命までは奪わないわ。貴方、かわいいもの。死ぬ時は私と快楽に溺れて、暖かな床で私に抱かれながら、ね。狂わして、気持ちいいことしか考えられない様にして、壊れるまで搾ってあげる」

 「お喋りはそこまでだ。俺の童貞は妻への贈物なんだ、お前みたいな尻軽女にはやれんなぁ」

 夢憂は既に勝った後のことを想像して、身体を汗が覆っている。恍惚の表情で、一舞を求める。当の一舞は、完全にドン引きだった。

 「あら、そんなところも可愛いのね。私が妻なら、貴方の手で快楽の絶頂に導いてほしいわ。貴方の欲望を身体の中に注がれて孕むんですもの、それくらいしてほしいのよ」

 夢憂が話していると、一舞がいきなり切り掛かる。縦に振り下ろされた太刀、夢憂はそれを避けて、自分の内股を撫でる。指に粘性の液体が絡み、それを舌でねぶる。

 「余裕かましてられるのも、今のうちだ」

 「何が……きゃあっ!」

 太刀からいきなり突風が吹きすさび、夢憂は吹き飛ばされた。コンクリートに何度も強く打ち付けられ、バウンドしながら飛ばされた彼女はジャンボジェットにぶつかってようやく止まる。

 「う……あぁっ!」

 激しい衝撃により、夢憂はしばらく呼吸が出来なかった。全身の至るところに小さな切り傷がある。

 「お前がお喋りしている間に、精神集中は完了した。終わりだ!」

 「あ……やめっ……!」

 一舞は太刀を強く水平に振る。赤い斬撃が夢憂へ向かって飛翔し、彼女に直撃する。すぐに防御力の高い衣服に着替えようとしていた夢憂だが、タイミングが悪く、よりによって一旦全裸になるという無防備な姿を晒した瞬間に直撃を許した。

 「いやぁっ!」

 ジャンボジェット数台を真っ二つにした斬撃であったが、直撃からコンマ一秒遅れてライダースーツを着れた夢憂は寸断されなかった。だが、ジャンボジェットの大爆発に巻き込まれてしまう。

 「【黒龍翼】」

 爆発を背に、一舞は技名を言う。夢憂が話している間に、必殺の一撃を放てるだけ神力を練り上げていたのだ。

 爆発の跡には、力無く夢憂が横たわっていた。辛うじて着込んだライダースーツもボロボロで、既に半裸の状態である。

 「まだ死んでないな。お楽しみはこれからだ」

 「ぁ、ぁあ……」

 一舞は夢憂の髪を掴んで引き起こす。その時、彼女の桃色だった髪が茶色くなり、ライダースーツも消えて無くなる。夢憂は全く別人になってしまった。

 「馬鹿な……!」

 一舞は驚きながら、夢憂だった少女に自分のブレザーの上着を羽織らせる。神力を渡し、治療まで持たせることにした。

 神力は受け渡しが可能。このおかげで霊歌も助けられたシーンがある。

 「無関係な人間を巻き込むか、額田大王みたいで嫌な奴だな」

 一舞は少女を抱き上げ、空港の医務室まで運んだ。額田大王、額田同胞団。あの時の一舞は、この少女の様な存在だったのだ。


 日本 ホテル


 「どうしたんだい?」

 「スイスから帰ってきたわ」

 高級ホテルの天蓋付きベッドの中で、夢憂の本体は目を覚ました。シャワーから戻って来た男は黄金札束。夢憂に入れ込み、ホテルなど彼女に貢いでいる高校生だ。

 夢憂はシーツを胸元で押さえながら起き上がり、結果を報告する。

 「作戦は失敗、だけどスイスに被害は与えたわ」

 「15級長は始末出来なかったか。お仕置きが必要だな」

 「んっ……」

 札束は夢憂の艶やかな唇を貪りながら押し倒す。彼女はその熱を帯びた肢体を隅々まで俎上に上げられながら、先程のことを思い出す。

 (負けちゃったけど、あの子は欲しいわね。名前聞いとけばよかった)

 「うっ、あぁ!」

 興奮が臨界に達し、蜜が溢れ出す。札束が夢憂の中に侵入し、彼女を掻き乱していく。喉の奥から嬌声を上げながらも、夢憂が想うのは目の前の男では無い。朝凪一舞だ。

 (可愛くて強いのね。そんな貴方だからこそ、床では支配したい)

 今まさに、身体を欲望で蹂躙されながら、夢憂は一舞が自分に屈服する姿を思い描いていた。腕の中で快楽に耐えていた一舞は遂に果て、自分に熱いものを注いでくれる。あまりの気持ち良さに涙を流す彼のそれを、舌で拭いてあげたい。

 「夢憂、どうだい? お仕置きの味は?」

 「ぁ、う……もっと、もっと!」

 身体を強く抱きしめられ、悶絶のよじりさえも許されない夢憂の思考はそこで途切れた。頭がぼやけ、一舞のことは考えられなくなる。

 「苦しそうだね、やめようか?」

 「や、やめないで……! お願い、最後まで……」

 「わかった」

 札束がお仕置きをやめようとするので、夢憂は無意識に懇願する。何度か夢憂が喘ぎを漏らすと、とうとう札束の欲望が熱量を帯びて夢憂に注がれる。思考は真っ白に塗り潰される。


 もっと、気持ち良くなりたい……。


 夢憂を突き動かす衝動はそれだけだった。だが、彼女の命は一舞ではなく上杉四季によって終わらせられることになる。

 朝凪一舞

 能力:斬撃強化

 武器の切れ味を増加し、斬撃を飛ばせるようになる。


 装備

 太刀:鉄刀【露払】

 東洋の技術を応用した大刀。鉱石を丹念に打った、練りの強い逸品。手入れが肝心。

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