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学園軍記スクールブラッド  作者: 級長
第65次受験大戦 上杉事件
18/35

番外 クリスマス中止のお知らせ

 クリーチャー図鑑

 サンダグロス

 身長3メートルのオッサン。雷を纏い、金色に輝く。ソリにのり、トナカイのクリーチャーに引かせている。

 キルレートは4000。1匹倒すのに一個師団が壊滅するが、クリスマスには100匹単位の群れが現れる。

 ハクロウ高校 保健室


 柊紗夜は先日の事件で負傷したため、ハクロウ高校の保護下にあった。幻夢高校が彼女を拷問した際に、家族も殺されたため今は一人だ。

 クリスマスになると家族連れやカップルが町にいて、そのどちらもいない紗夜の気持ちは沈む一方。だが、他にクリスマスを共に過ごす相手がいない生徒が保健室に集まっていたので、寂しくはなかった。

 「はい。これあなたの特殊制服」

 「あ、ありがとうございます」

 15級長『人形師』遊木菜緒が紙袋を紗夜に渡す。特殊制服とはクリーチャー素材から出来た制服で、着たまま授業を受けられる防具みたいなものだ。

 今日の菜緒は赤いゴシック衣装に身を包んだ、ブロンドの人形だった。人形とはいえ、人間くらいのサイズはある。彼女は魂を人形を移す力があり、服を着替えるように姿を変えるのだ。

 「リア充なんてみんなクリスマスに奮発して河豚食べて死ねばいい」

 「クリスマスは河豚は食べませんよ」

 ケーキの飾り付けをしているのは保健委員会に所属する15級長『移動病院』癒野療子と並木更。普段からそこら中を飛び回って医療活動に当たる彼女には、男に現を抜かす時間は無い。更ははかなげな美人であるため、男子からの人気が高いが、彼女に告白して撃沈した者は数知れない。

 「来たよー」

 「あ、闇人に霊歌。ほら闇人、雪被ってる」

 更は保健室に入ってきた闇人を見て、頭に降り積もった雪を払う。彼女は闇人に相当入れ込んでおり、男子が撃沈する理由もこれだ。

 初めは英雄か救世主のように闇人を見ていた更だが、彼と接する内に子供っぽくてほおっておけない存在になった、らしい。

 「いやー、今年のサンタは手強かった」

 「これで今年のクリスマスは中止ね」

 遅れて15級長『武器商人』上杉四季と『狙撃手』エルフィ・ラタトクスが来る。彼らが言うのは、毎年恒例のサンタ狩りのこと。この時期にしかいないクリーチャー『サンダグロス』を倒し、雷属性の武器を手に入れようというイベントだ。

 名前からお察しの通り、サンダーとグロスの掛け言葉が由来なので、サンダグロス自体が雷を発して輝く強敵。普通は回避すべき災害である。ただ、プレゼントとして身体を構成する宝石をばらまく習性がある。

 「さて、全員揃ったね。これからクリスマス会を始める!」

 「15級長が5人って凄いですね……」

 クリスマス会の発案者は菜緒。参加者の大半が15級長とは、恐ろしいクリスマス会だ。しばらく考えていた癒野が、一度に聞いてみる

 「そういえば、サンダグロスで思い出したけどいつまでサンタさん信じてた?」

 「え? 私は小学生までですよ」

 15級長にこの質問。普通、15級長の名前を聞いただけで怖じけついて出来ないだろう質問だ。紗夜は小学生までらしい。

 「私はサンタの野郎が前の持ち主にプレゼントしたからな。サンタは親だよ」

 「おもちゃがサンタさんを全否定? というかその台詞だと菜緒さんって初めから人形だったんですか?」

 菜緒は初めから信じてない様子。15級長について知らないことも多い紗夜は、彼女の発言がとても気になった。

 「うん。持ち主に捨てられ、怨念が宿ってから18年になるね。捨てられるまで30年くらいあったけど」

 「その、サンタさんが渡した人形が本体なんですか?」

 「魂そのものが本体だからあまり関係ないかもね。初めに人間サイズの人間作るのは苦労したよ」

 菜緒はなんと人間じゃなかった。霊歌は3年前に桜花学院で見た蝋燭のクリーチャーを思い出し、納得してしまう。

 「闇人さんはサンタさん信じてそうですよね」

 「信じてないよー」

 「闇人って迷信には割とシビアなのよ」

 紗夜はイメージから、闇人がサンタさんを信じていると思った。しかし彼は妙にその辺で厳しかったりする。3年前、自分も同じことを思った霊歌も気持ちはわかった。

 「大変だ! 討ち漏らしのサンダグロスがこっちに来てる!」

 「えぇ?」

 「出番だ、15級長!」

 「癒野も行くんだよ!」

 生徒の一人が緊迫した声でクリーチャーの接近を伝えた。よっこらせと15級長が立ち上がり、戦闘の準備をした。紗夜が焦っても、他のメンバーは冷静だ。

 紗夜が焦るのも無理はない。なぜなら、サンダグロスに学校を包囲されていたからだ。金ぴかに輝くサンタのおじさんの群れはシュール。それを15級長達は校舎の屋根に昇って眺める。

 「全員、いっせいので必殺技使うか?」

 「おーけー、やるよー? お前ら皆殺しだ」

 「寒いから早くやろう」

 「戦闘向きじゃないのにー」

 「説得力無いから、それ」

 四季が愛用の大太刀『鬼神斬魔刀・真打』を抜き、闇人は制服の袖を捲って腕を獣のそれに変じさせ、エルフィはマシンガンを用意、癒野は色とりどりの液体が入った試験管を白衣から取り出し、遊木は紗夜と同い年くらいの着飾った少女達を並べる。

 「あれ……人形ですよね?」

 「残念ながら、人間。ま、心は死んで人形にされてるけど」

 遊木の武器はなんと、心を奪った少女達を材料にした『肉人形リアルマリオネット』。紗夜はその残酷さに戦慄したが、結局敵を即殺すのと結果は大差無い。相手が15級長なので諦めた。人形に人道を説く意味は無い。

 四季の号令で、全員の必殺技が拡散する。

 「いっせいの……【大虎徹・震撃爪】!」

 「【番狼の鳴爪(ケロベロス・ジエンド)】!」

 「【バレットスワロー・サウスムービング】!」

 「【疫病・真極ペストZ型エボラ複合タイプ】!」

 「【悲惨な人形撃シェイクスピア・マリオネート】!」

 「ね、ネーミングセンスが……」

 紗夜の指摘通り、悲惨なネーミングセンスの必殺技を四方八方に飛ばす15級長。四季が太刀から放った灰色の斬撃が校庭に群がるサンダグロスを蹴散らす。全員粉々だ。

 今度は紅いエネルギー波がサンダグロス達を襲う。先程とは桁違いの犠牲が出た。死体は燃えて無くなる。

 それを逃れても、鉄の燕達が正確にサンダグロスの脳天気や心臓を貫く。

 残るサンダグロスが身体に紫の斑点を浮かべ、冗談みたいな量のどす黒い血を口から吐いて倒れていく。

 残党を人形少女達が狩る。あっという間にサンダグロスは全滅した。紗夜は一気にツッコミを入れることにした。

 「あの、まず闇人さんの技なんですか? オーラ?」

 「殺気でショック死させるのー」

 「ショック死で死体は燃えません。後、癒野さんはこの病気広がりませんよね?」

 「もう手遅れ」

 癒野の必殺技は、遊木の人形少女に被害をもたらしていた。白いロリータファッションを血に染め、苦しむ少女がいた。

 「がはっ? ぐぼぼ……助け……」

 「ひぃぃぃ! 遊木さん! あなたの武器なら管理して下さいよ!」

 「いや、受験戦争で捕虜が捕まるから、ちょうど新しいのと入れ替えようかと思って」

 「悪い子しかいないんですか? この学校!」

 まだハクロウ高校のノリに慣れていない紗夜を眺め、霊歌や更は昔の自分を懐かしむ。

 「あと、何よりサンダグロスが100匹くらい死んでることにツッコミは?」

 「サンダグロスって雑魚じゃね? 15級長最弱の俺が倒せるくらいだし」

 「四季さんが最弱って、15級長はいったい……」

 紗夜は昔、サンダグロスの『キルレート』を知って恐怖した記憶があった。キルレートとは、クリーチャーを1匹倒すのに何人の犠牲が必要かという指針だ。

 サンダグロスはキルレートが4000。つまり、1匹殺すのに一個師団が壊滅する必要がある。15級長は化け物である。

 「風邪ひいちゃうよ。中入ろー?」

 「え、ええ」

 ツッコミを封鎖し、紗夜にコートを掛けて部屋に入れる。ただ、15級長は優しさを持った化け物であることは確かだった。こうして、家族を失った紗夜のためにできることをしようとしているのだからだ。

 次回予告

 遂に大晦日! 紗夜と伊勢神宮に初詣に来た15級長は、新たなクリーチャーと遭遇する。

 奴の名前は……イセイエビ!

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