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学園軍記スクールブラッド  作者: 級長
第65次受験大戦 上杉事件
14/35

エピローグ 本物の受験戦争、開幕

 報告書

 名称:第65次受験大戦、上杉事件

 この事件はハクロウ高校付近に公立四天王、黄金札束が進出したことでハクロウ高校15級長『武器商人』上杉四季が応戦。これを皮切りに公立四天王が全滅した事件である。

 私立と公立の間のパワーバランスが崩壊し、第65次受験大戦はこれまでにない混迷を見せた。

 主犯は前述の通り上杉四季。彼は小学生時代にも神力を使用した学生による事件、国際社会がいう『スクールブラッド』に参加している。その際に家族を失うも、あの戦闘民族『ラタトクス一族』に引き取られる。よって、書類上は『シキ・ラタトクス』という名称なので調べる時は注意が必要である。上杉四季という名称ではデータバンク『学園軍記』に乗ってない。

 ハクロウ高校 保健室


 「大剣が無かったら即死だった」

 四季はハクロウ高校の保健室のベッドで寝ながら、届いた合格通知を見ていた。紗夜を受け止めて肋骨が数本折れたが、レイメイ大学を救った功績と書類上の成績が認められ、合格及び大学自治隊への入隊が決まった。

 「あの大剣も合格か。やったな」

 「もう大学の友達が出来たの?」

 隣のベッドで寝る紗夜は、勉強が遅れない様に参考書を見ながら四季と話す。幻夢高校の推薦を貰ったが、彼女はあんなこともあったので普通にハクロウ高校を受験することにした。怪我を直して試験を受ければ、少なくとも奨学金は得られるはずだ。

 「お前なー。あたしらに任せてたらウカウカ受験後ライフが今から始まったのに」

 「そう言うな。エルフィの受験は全力でサポートする」

 お見舞いに来た綴がぼやく。公立四天王は自分が倒したかったので、綴には不満が残る結果となった。闇人が抜け駆けで央田を殴打したので、尚更である。

 「どの道、看護学校受かって大喜びの癒野がハイテンションで治療してくれるから紗夜はともかく俺の退院は早い」

 「紗夜は無理が重なったからな。後はあたしに任せて安心して休みな!」

 15級長に『任せろ』と言われれば頼もしいが、如何せん今は敵がいないので何を任されたかわからないのが紗夜には不安だった。

 任せる相手が『氷室の番人』や『移動病院』の様な比較的常識人ならまだしも、よりによって戦闘民族もオラワクワクする『獣王無尽』四条綴。一体何が起きるのか15歳半ばの女子中学生が想像出来た話では無い。まだ『優しい』の一言で済む『猟犬』倉木闇人と、武器オタクの四季というわかりやすい二人の行動すら予想できないのだ。

 「あ、じゃあ幻夢高校が難癖付けて来る前に壊滅させといて。レジスタンスの作戦に参加しとけ。お前がいるだけでこちらの被害が軽くなる」

 「ヤッホーい! 戦じゃあああっ!」

 四季がレジスタンスの作戦を教えると、綴は大喜びで病院を出た。本当にどこぞの戦闘民族じゃないかと疑いたくなる性格だ。そのうち、スーパー綴2になってフュージョンしないか紗夜は心配になった。

 「なんか……変身系の人は変身する姿に人格が左右されるって聞いたんですけど本当みたいですね」

 「闇人はまた別かもな。多分、宵闇夢憂はサキュバスだからお盛んなんだないろいろ。あの淫乱ピンクめ」

 紗夜は前に防衛科の教科書で読んだ内容を思い出す。綴や夢憂は変身した姿まんまの性格をしていたが、闇人は姿自体もモチーフがわからないので人格への影響も不明だ。

 「受験戦争って言うが、俺はマジの戦争だったな」

 「しかもAOしか終わってませんからね。センターとか世界大戦ですね」

 保健室に二人きりとなった四季と紗夜。受験戦争という言葉は日本が学歴社会に突入した2000年代から言われ始めているが、この2912年は防衛科の存在が原因で本物の戦争になること請け合いだ。

 防衛科が導入されて闘学校が生まれた時から、受験戦争は本物の戦争になる宿命にあったのだろう。受験項目に『防衛科』が加わり、ライバルの排除に暴力を使える様になったその瞬間から。

 「でも公立四天王を全滅させたので、かなり仲間の助けになりましたね」

 「いや、あれくらいなら俺じゃなくても15級長なら倒せたしな。少しは楽できるだろうけど」

 紗夜の評価にも、四季は謙遜する。彼のそれは、自分の強さを自覚してないだけにも紗夜には見えた。自覚のいらない強さがある四季を、彼女は少し羨ましく思った。

 「私ももっと強くならなきゃ……」

 「焦らなくてもなれる。死刃舞があるからな」

 紗夜が呟くと、四季はベッドの横に立て掛けてある刀に目をやる。四季と紗夜のベッドの間には三本の刀が立て掛けてある。白雨、黒牙、そして死刃舞。

 「こいつを信じてりゃ、焦る必要なんてないさ。ちゃんと声を聞いてやれば、こいつが上へ連れてってくれる」

 紗夜は死刃舞を見つめる。その刀は四季の言葉に応呼して『私が貴女を強くする』と言ってる様に、保健室の電灯を誇らしげに反射する。

 「よろしく、死刃舞」

 紗夜はこれからこの刀と強くなるという誓いを立て、死刃舞に挨拶をした。武器が繋いだ絆、四季と紗夜も死刃舞が無ければ出会うことがなかっただろう。四季も死刃舞と紗夜を巡り合わせたが、それは死刃舞が紗夜を認めたから。武器商人は武器が主人を探す手伝いしかしない。

 三本の刀は主人とこれからどんな出会いをして、どんな強敵を切り裂くのか。受験戦争は始まったばかりだ。

 受験大戦とは?

 受験大戦とは、マジで戦争になった受験戦争である。第〇次と標記される様に、複数発生し、その大戦の中でも細かく事件が別れている。例えば、第65次受験大戦の始まりとなった事件は上杉事件と呼ばれ、複数のスクールブラッドが固まって一つの受験大戦を作る。

 第65次が最新だが、受験大戦という名称以外でも同じ様な事例が発生しているので65回切りではない。例えば、第34次受験大戦の翌年は県境を越えて高校を受験する生徒が増えたため、その土地に元々いた生徒が排外運動を始めて『県境侵行戦争』という名称のスクールブラッドになった。

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