↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/587

67弾 ちょこっと寝返りしてもらおう

「では、グランドキャットを連れて行くことで、大丈夫ですね。そう依頼主に連絡していただければ。後は、依頼主から場所とかの指示があるでしょう。」


「わかったわ、その代わりと言ってはなんだけど、条件があるわ。」


「俺が、あなた方の正体をバラさない、という条件、以外に別条件ですか。」


 こっちも条件が合わなければ、大暴れしてやるつもりだったが、


「あの………、その、………メム…ちゃんを触らせてくれて、そしてモフモフさせてくれれば。」


 と恥ずかしそうにヘルバティアは、その別条件を言ったのだった。妹達は、ジト目かつ呆れた目で姉を見つめていた。


「まあ、いいですよ。うまくやってくれれば、一緒にメムとのお散歩もつけますよ。いかがですか。」


 ここは、インセンティブでこれくらい条件つけるか。


「も、もちろん、喜んで。さあ、頑張るわよ。」


 ヘルバティアは、これで落ちたようだ。


(まあ、いいけど。いいのかしら………これ。)


 メムが念話術で、この3人に半ば呆れていることを伝える。

 さて、これで引き上げるか、と思い席を立とうとすると


「ニシキ様、あなたもここにいてくれませんか。」


 とミアンが、俺に提案してきた。

 俺が、怪訝な顔をすると、


「いえ、あなた様を裏切ろうとかではなく、今帰ると、多分、姉が変に暴走しそうなので、一緒にいれば落ち着くかもしれません。あと、下手に街をウロウロすると、回収した、という報告に信憑性がなくなる可能性があります。」


 と理由を説明してくれた。

 しかし、末妹のミヤンは、


「えー、こんな奴を泊めるのー。反対ー。」


 と言い出す。

 ヘルバティアは、


「ミヤン、黙りなさい。私は、泊めるのに大賛成です。ミアン、空き部屋に案内なさい。」


と姉の威厳?をもって命令したのだった。



 空き部屋に案内されて、メムと俺は、一息つく。部屋は、まあ普通の部屋か。マットレスと寝袋と毛布が用意されている。

 俺は、マットレスに腰を下ろす。


「まあ、寝返ったのでしょうけど………。愛でられるのは、いいとしてもねえ。」


「まさか、あそこまで熱狂的なメム様のファンだとは、俺も思わなかったです。」


 思わぬ対応に、少し俺たちは戸惑っている。

 当分の間は、この部屋で過ごす事になりそうだ。


「ところで、私を囮にするという事だけど、念話術の効果範囲は、約20メートル、この異世界の単位だと約20マータラだからね。」


「ええ、森とかで試してみましたからね。この能力を活用するしかないでしょう。」


「しかし、危なくなったら全力で、逃げ帰るからね。」


「それは、それで問題ないでしょう。うまく飼いならせない奴らの責任と言い訳できますし。」


「ああ、なるほどね。しかし、よく気付いたわね。王都で私を最初に触った子が、あのヘルバティアだったなんて。」


 メムが、ものすごく感嘆して、俺に尊敬の眼差しを送る。


「すみません、褒めていただいて恐縮ですが、あれは、言ってみたら当たったみたいな感じです。」


 俺がそう言うと、尊敬の眼差しがあっという間に、唖然とした眼差しに変わってしまう。


「だとしても、なんていい勘してるのかしら。……すごいギャンブラーね、ダンは。」


「それに、以前、メム様を茶店で触らせてあげた後、メム様はあの子に違和感を覚えていたじゃないですか。それもヒントになったようなものですから。」


「ふーん、意外と観ているのね。で、あなたの考えた策はどういうふうにするつもりなの。」


「単純です。連れて来られた場所で、暴れるだけです。」


「へ、暴れるだけ。それって策も何もないじゃない。」


 メムはさらに呆れた様子で、俺に言う。


「ただ今の状況では、そう言わざるを得ない、だけです。相手の受け取り先とかがどこになるのかと言う情報や、あの3人をいかに巻き込まずに暴れるか、を考える必要があるのです。」


「まあ、今は待つだけなのね。」


「ええ、降りかかる火の粉は払いたいですから。しかし、一気にファチオア親子やあのアンチージョを潰せない、その可能性が大きいです。多分、ファチオア商店の本部に行くことはないでしょうからから。ただ、この国かこの街への出先を潰しておくのはありかもしれません。」


 俺の説明に、少しメムは考えてから発言する


「………でも欲しているのは、あのファチオア親子だから、本部に行く事になるのじゃない。」


「力ずくで奪ったようなものだから、誤魔化しのために、行く先は細かく、あちこちたらい回しになるでしょう。後から探しにくくするために。時間もかけるでしょう。」


「じゃあ、受け取り先で暴れると言うのは、あの3人が私を相手に渡して、3人が引き上げてから行動する、と言う事になるのね。」


「それなら、裏切った感もなく、俺が追跡してきたという言い方もできます。」


「まあ、わかったわ。」


 そこへ、ドアをノックして、俺が返事をすると、ドアを開けて、ミアンが現れる。


「昼食の準備ができましたので、どうぞ。」


 俺は慌てて念話術で


(あまり大食いを見せないで、控えめな量の食事をお願いします。)


(わかったわ。毒とか盛られるかもしれないから、気をつけるわ。)


 よかった、意外と考えてくれていた、か。


(ついでに、ヘルバティアに媚びてやれば、安全になるかもしれません。いかがですか。メム様。)


(いいけど、どうなるかしらね。)


 と、安全の確保のためにメムを使う。

 昼食は皆で一緒にとり、淡々と終わった。

 俺が、横にいるメムを指差しながら、


「いかがですか、この子と遊びますか。」


 と言うと、ヘルバティアが満面の笑みで、


「いいのですか。いいのですか。」


 と、大喜びになる。双子の妹たちは、冷めた目で姉を見つめていた。

 俺は、メムを置いて部屋に戻り、策を考える。

 その後は、夕食になる。

 夕食も一緒にとったが、ヘルバティアの横にメムがいる。

 その夕食後、妹達から


「すみません、一緒の部屋でお過ごし下さい。」


「お願いします。そうしないと、ティア姉さんがダメになりそうなので。」


 そう言って懇願され、半ば強制的にメムと部屋に戻る事になった。

 風呂を終えて、…まあ、ヘルバティアがメムと一緒に入りたがったのを、妹達は必死で抑えていたが、部屋に戻る。


「ねえ、ダン。安全は確保できたようだけど、あれじゃかえって私が疲れるわ。」


「あのメムに対する熱狂ぶりは、確かに引きますね。」


 昼食後、メムはヘルバティアの膝枕で昼寝をしたら、一緒に寝入ったようで、妹達が


「姉さん、仕事してください。」


「ダメね、これじゃ。どうするの。」


 などと言っていたという。

 うーん、かえって迷惑をかけてしまったような気がしてならない。

 そのまま、メムと一緒に眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。